魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

働き過ぎ(1)

2009年07月03日 | 日記・エッセイ・コラム

日本生産性本部が1972年から続けているアンケートによると、
「残業とデートのどちらを選ぶか?」では、「残業を選ぶ」が82.8%で過去最高になった。

しかも、男78.6%に対し、女88.4%で、10%も多かった。
他にも、共稼ぎ派(男49%、女63%)、婚活の必要(男35%、女26%)等もあって、面白かった。

この結果には、いろいろの見方があるだろう。
経済環境の厳しさ、女性の置かれた環境の厳しさ。という見方が出そうだが、それだけとは思わない。

むしろ、日本人が本来の姿に目覚めてきた。そういうことだと思う。
日本が経済発展している頃。どこからともなく「日本人は働き過ぎだ」という声が聞こえてきた。

草食動物
産業革命後の欧米社会で始まった、大量生産と労働搾取の弊害を改革しようとする動きから見れば、日本ほどひどい社会は無いことになり、「休め」「個人生活を優先しろ」の布教が盛んになった。

神様も7日に1日休む、西欧社会からすれば、「休日」の無い社会は、野蛮な異教徒そのものだ。
「文明人」は、必ず、神様のルールに従わなければならない。

確かに、産業革命も、神の賜物であれば、神の声に従うことで、破滅から救われる。大量生産には、ほどほどの生産調整が役に立つ。
肉食獣は毎日は食べないものだ。

栄養吸収の少ない草食動物は常に食べ続けなければならない。
ところが、肉食獣に追いつめられた草食動物は、肉食を始めた。
すると、草食と同じように、休むことなく肉食をする。それでは獲物がいなくなり、共食いをするしかなくなるではないか。

日本の生産効率を見て、西欧の神の子羊たちは、休まない労働は神を冒涜するものだ。と言いだした。

農耕は労働時間を自分で決められない。収穫が終わるまでは、定休など取れない。お天道さんと相談しながら、合間、合間に休むしかない。
日本人が休まないわけではないが、7日に1日の、決まった休日はなかった。

災害列島日本
お天道さまどころか、台風がしょっちゅうやってくる日本列島には、地震まである。「定期的に休む」など、思いもつかなかっただろう。

こうして、一時も気を抜けない環境の中で、日本人はちゃんと休んでいた・・・たぶん。
人間、休みが無くては働けるはずがない。
日本人は、どうも、働くこと自体を慰安としていた。と思われる。
その逆説的な証拠は、今日、休日ともなれば渋滞も恐れず遊びに出かける。大変なエネルギー消耗の大仕事をする。