森進一「おふくろさん」めぐり泥仕合(nikkansports)
今夜、ビールで酔っぱらった主人が画期的なことを言った。
この一連の揉め事は、プロレスで言う「アングル」である、と。
プロレスが純然たるガチンコ勝負ではなく、
それなりの設定や筋書きをふまえたものであることは、
今では多くの人の了解するところだと思うが、
そうした、リングの外でのストーリー展開のことを、
業界用語で「アングル」というのだ。
今回の問題に関しては、誰がマッチ・メイカーであるかは不明だが、
とにかく、歌手と作詞家とが、揉め事を演じて注目を集め、
問題となった曲が売れるようにする、というのが大まかな狙いだ。
作詞家が因縁をつけ、歌手はそれに対してヘタな対応をし、
作詞家は「私の言う通りじゃないと二度と歌わせない」と激怒、
歌手は平身低頭するが、とき既に遅く、事態は泥沼へ。
テレビはその両者の姿やコメントを繰り返し報道する。
必然的に、そのバックにかならず当該の曲が流れる。
すると、その曲を多くの人が今回、改めて聞く、もしくは、
初めて聴く者も増え、曲は耳目を集め、結果として売れる。
歌手も作詞家も、大もうけ、・・・というワケだ。
歌手はヒール(悪役)に徹することになるが、
地味に「いいヒト」でいたって儲かるわけではないし、
これまでだってスキャンダルで注目を集めて来たのだから今更だ。
作詞家の先生にはもとより恥をかかせるような話ではないし、
作曲家はとっくにこの世のヒトではないから、彼の意向は無問題。
そこへ持ってきて、「ほんなら俺がその歌うたおうか」などと、
大先輩の苦境に全く心を動かされないどころか、
便乗して何かやりたがるという、
吉幾三みたいなヒトが出て来るのもお約束だ。
もしこれが本当にCD化されれば、タイミング次第ではきっと売れる。
少なくともこの事態が長びいている限り、
カバー曲は「どんなもんか一度は聞いてみたい」ものとして支持される。
二名の歌手による新しい対立構造が加わるから、
話はよけいに面白くなるのだ。
そして本家も『おふくろさん2007』を出しちゃったりなんかして、
こっちも旧版と合わせてそれなりに注目され、また儲かる。
要は、騒動は引っ張れば引っ張るだけ、オイシイわけで、
プロレスだったら多分、今後、まだまだ登場人物が増え、
「因縁アングル」としていつまでも使われ続けることだろう。
・・・という、主人の解釈は、なかなか良いと私も思った。
そーゆーことは誰かが既に○ちゃんで言っているのではないか、
と私は思って、芸能板を覗きに行ってみたが、
「森はアホ。つぶされる」
「相手が悪かった」
「川内○範の耳毛の長さは異常」
などと書いてあった程度で、
まさかこれが壮大なアングルであるとまで考え、発言した人は、
まだ、一般的でないようだった。
だが、仮に、転夫まーくんが、名探偵コナンのように
高度な推理力を発揮することができたのだとしても、
困るのは、「だから何だというのだ!?」になってしまうことだ。
2007年3月2日現在で『おふくろさん』騒動はアングルである、
と見抜いたとしても、誰からも感謝されず、
主人本人にはなんら見返りがなく、ひと儲けできるわけでもないのだ。
それどころか、これはまさに、
プロレスに向かって「それ八百長!」と言っているようなもので、
コトの真っ最中にそんなこと指摘するのは野暮の最たるモノ、
『面白くなくなっただけだろーが!』という話でしかないのだった。
サーベルで猪木を突きまくるタイガー・ジェット・シンを、
心の底から本気で憎んでいたときが
わたしゃ、いちばん、楽しかったもんな~~~
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