転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



広島市街地は今朝から上空を取材ヘリが飛び交い、
光市母子殺害事件の差し戻し控訴審での高裁判断がどうなるか
……つまり、死刑判決が出るかどうか、について、
さかんな報道が始まっていた。

裁判所には傍聴の抽選整理券を求めて3886人が並んだそうで、
傍聴席は60あったが、遺族席や報道関係者席が予め確保されているので、
一般の傍聴人になることができたのは、実際には26名だったとのことだ。
そういえば大学時代、同期が新聞社だか雑誌社だかに雇われ、
裁判傍聴の抽選に並ぶバイトをしていたことを思い出した。
当日朝、指定された裁判所の、決められた場所に行って、
抽選に参加するだけで、アタリでもハズレでもバイト代が貰え、
所要時間はせいぜい一時間程度、なかなかオイシかった、
……と言っていたものだった(爆)。

私は散歩の道順を変更して、裁判所のほうにまわってみたのだが、
10時を過ぎ、既に開廷している筈なのに、たくさんの人がいて、
各社テレビカメラ等も待機を続けており、動きがないようだった。
つまり、判決はまだ伝わってきていない、ということだった。
「死刑だね」
と近くにいた全然知らないオジさんが唐突に私に話しかけてきた。
「え。そーなんですか。私は今、来たばっかりなんで」
と答えたら、オジさんはイヤホンで携帯ラジオを聞きながら、
「だって主文後回しだしね。無期なら問題ないから最初に言うね。
こうやって待ってても、これは当分、時間かかるよ~」
と言って、すたすたと裁判所前を離れた。

私は、判決速報を告げるため傍聴席から我勝ちに駆けだしてくる、
報道関係記者の様子と、それにドっと群がる取材陣の風景を見たい、
という気が、しないでもなく、
とりあえず喧噪から離れ、明子ねえちゃん@巨人の星のように、
裁判所向い側の木陰からひっそり見守っていたが、
どうもこういう興味の持ち方は不謹慎だなと反省したのと、
判決理由朗読だけで3時間4時間と続く公判だってあるから、
まだ10時半では、これからどんだけ待つことかと考え直し、
結局、しばらくして帰った。

帰宅して、一時間以上経った頃、
昼食をとっていたら、テレビに(←さすがに点けていた)
死刑判決
と大きな文字が出て、
傍聴席から飛び出してきたに違いない記者が画面中央に映り、
主文についての速報を息せき切って読み始めた。
主文言い渡しまでだいたい2時間を費やした判決公判だった。

この事件の一審判決の頃は、裁判所の判断は全体的に、
死刑判決に対し、良くも悪くも、今より慎重であったと思う。
ましてや、18歳1ヶ月という犯行当時の少年の年齢を考えると、
「1ヵ月でも18歳を越えていたから」では括れない、
「僅か1ヵ月早く生まれていたというだけで
18歳以上として死刑適用することに抵抗がある」
という感覚のほうが、司法の場において支配的だったはずだ。
しかし犯人・容疑者の人権に関してそのように手厚いことに較べ、
被害者や遺族の感情にあまりにも配慮がないという批判が、
民意として高まり、昨今の司法判断も変化してきたように思う。

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