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転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



中村鷹之資(たかのすけ)の『船弁慶』を観るためだけに、
昨日今日の一泊二日で歌舞伎座へ行って来た。
五世中村富十郎の十三回忌追善ということで、長男・鷹之資が
前シテの静御前、後シテの平知盛を務めていたのだ。

私が年々、尾上松緑を贔屓にするようになったのも
彼の踊りに魅せられた面が大きいのだが、
鷹之資もまた、踊るために富十郎の息子として生まれて来たのだなと
今回の舞台を観て心から納得した。
鷹之資23歳。富十郎69歳のとき誕生した忘れ形見である。
綿々と受け継がれてきた歌舞伎舞踊の系譜を体現した、鷹之資。
圧巻の『舟弁慶』であった。
まさに「舞踊の神様に愛された美しい青年」!

天王寺屋 友の會

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尾上菊五郎、孫・寺嶋眞秀が初代尾上眞秀に 目尻を下げる(ORICON News)
『俳優の寺島しのぶ(50)とクリエイティブディレクターのローラン・グナシア氏の長男・寺嶋眞秀(10)が、今年5月の歌舞伎座新開場十周年『團菊祭五月大歌舞伎』で初代尾上眞秀(しょだい おのえまほろ)を名乗り、初舞台を勤めることが7日、発表された。同日、広尾にあるフランス大使公邸で記者発表も行われた。』『初代尾上眞秀となった経緯について、菊五郎は「いろいろ名前を考えたんです。菊なんとかとか。だけど、当人が尾上眞秀と。1番、売れている眞秀を使いたい、ということなので出発することになりました。どうなるか、あとはわかりませんけど」と説明していた。』

音羽屋の旦那さんはマホロンをどうするのかなと、
彼の成長・活躍ぶりを見るにつけ、私なりに注目していた。
「継がせる名前がなくてね」
という旦那さんの発言も以前あったが、
菊五郎の弟さんの、尾上榮三郎の名があったよね?
などとも思ったり……。
ともあれ、このたび初代の眞秀を名乗ることになった由、
おめでたい限りだ。

しのぶちゃんも、さぞや嬉しかろう。
しのぶちゃんが女性であるがゆえに関わることのできなかった歌舞伎の世界で、
彼女の一人息子がこれから本格的にやって行くことになったのだから。

寺嶋眞秀が初代尾上眞秀に 母・寺島しのぶが激励「自分で選択をして前に進んで行って」 成長に感慨も(ORICON News)
『フランス語であいさつした後に眞秀は「どうも、こんにちは。寺島眞秀です。僕は、小さいころから歌舞伎が好きでした。そして今年の5月、尾上眞秀として初舞台を踏むことになりました」と話す。「僕は、いつか僕とパパの母国のフランスで歌舞伎公演をやってみたいと思います」と夢を語ると「お客様に楽しんでもらえるように練習に励みますので、5月の舞台に、どうぞお越しください」と呼びかけていた。』

ときに、音羽屋の旦那さんはお元気そうな感じだ。
5月の團菊祭にはお出になる由、順調なご回復を心から祈っている。

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書くのが遅くなったが、新年の国立劇場の菊五郎劇団の公演を
今年はなんとか観ることができた。
ポゴレリチ演奏会があった13日(金)の翌日、14日(土)の公演を観た。
現・国立劇場は建て替えが決まっているので、
新春歌舞伎公演としてはこれが最後の機会となった。
私にとっては国立劇場は、ある意味、歌舞伎座より思い出が多く、
舞台機構だけでなく、客席のしつらえや全体の佇まいもかなり気に入っていたので、
これらがすべて失われるのかと思うと惜しまれてならなかった。

令和5年初春歌舞伎公演『通し狂言 遠山桜天保日記-歌舞伎の恩人・遠山の金さん-』(国立劇場)

  

音羽屋の旦那さん(菊五郎)が主演の遠山金四郎ではあったが、
内容は松緑・菊之助・彦三郎の3人が主に物語を動かし、
『三人吉三』に『切られ与三』フレイバーを足したような(笑)
歌舞伎らしい楽しさ満載の舞台だった。
権十郎の芝居をたっぷりと見せて貰えたのが、長年のファンとして嬉しかったし、
梅枝の充実ぶりは勿論、坂東亀蔵、萬太郎らの活躍も見応えがあった。
また、劇中の役どころとはいえ尾上右近の本職の清元も聴けたし、
左近もなかなか良い役を貰っていて、着実に成長していることが伺われた。
反面、せっかく左團次が出ているのに、出番はあれだけ…?と
残念に思ったりもしたが、年齢的・体力的な問題もあったのかもしれない。

最後の総踊りになると、時蔵の麗しい姿が見られて眼福であった。
また、マホロン(眞秀)や亀三郎、小川大晴くんなど、
各家の御曹司や次代の若手スター候補が並び、
菊五郎劇団の繁栄をとても嬉しく思った。
丑之助は言うまでもなく大活躍で、本編の芝居のほうでも
素直な芸風としっかりした演技力を発揮していたが、
こうした子役たちが頑張っていると、しばしば客席から笑い声が起こり、
それは完全に好意的なものではあったが、その点についてだけ、
私には微かながら無視できない不愉快さが残った。

私自身、自分の幼少期に関して記憶のあるところなのだが、
子供が一生懸命に何かを言ったりしたりしていると、周囲の大人は、
その「一丁前」な姿が「可愛いから」だろうが、すぐに笑う。
お~!よう出来た!上手上手!等のニュアンスで、大人は、
その一挙手一投足に対して、その都度、笑う。
しかし、当の子供は大真面目なので、何が可笑しいのかと
場合によっては悔しく思うものだ。少なくとも私はそうだった。
同じことをしても、大人であれば笑われないのに子供だというだけで、
感想を言っても字を書いても朗読しても、いちいち笑われるのだ。

今回の丑之助も、既に子役の芝居に留まらず、
丁稚辰吉の心情を丁寧に演じ、立派な位取りで演じていたのに、
どの場面でも、彼が何か言うたびに客席は笑い声でそれを迎えていた。
「ボクの演技は間違っているか。どこがそんなに可笑しいのか教えてほしい」
と私が子役なら泣きべそになったかもしれない。…考えすぎかな(^_^;。
観客としての私は、丑之助の芝居に感じ入った瞬間が幾度もあったし、
客席の笑い声は邪魔であった。
子役の間は、芝居の本筋とは必ずしも関係なくお客さんは笑うのだと、
父の菊之助から、もしかしたら丑之助は事前に言い含められていただろうか。

ところで、私が観た日、菊五郎は相変わらず台詞は冴え冴えとしてたが、
動きが悪く、歩くのさえキレが良くなくて、
「トシには勝てんのだろうか。口だけ達者な年寄り系(^_^;?」
と私は失礼なことを思っていたのだが(殴)
実は、脊柱管狭窄症で、相当に足腰に痛みのある状態であったらしいことが
数日前の松竹からの発表でわかった。
ももも申し訳ございません、旦那!!

歌舞伎座「三月大歌舞伎」、尾上菊五郎 休演のお詫びと配役変更のお知らせ(松竹株式会社)
『歌舞伎座「三月大歌舞伎」第二部『身替座禅』の山蔭右京に出演を予定しておりました尾上菊五郎ですが、「脊柱管狭窄症」(せきちゅうかんきょうさくしょう)との診断を受け、当面の間、療養に専念することになりました。』『つきましては、出演を予定しておりました歌舞伎座新開場十周年「三月大歌舞伎」第二部『身替座禅』は休演し、下記の通り配役を変更して上演いたします。』

初代国立劇場としては最後の初春歌舞伎公演とあって、
かなり無理をしての出演であったのかもしれない。
想像に過ぎないが、舞台のために保存的療法は既に試みただろうから、
『当面の間、療養に専念』ということは手術を受けるのではないだろうか。
役者さんはそうでなくとも腰や下肢を傷めることが多いだろうから、
この機会にたっぷりと休養され、ご快癒されますようにと願っている。

……それで、山蔭右京の代役が、あらしちゃん(松緑)なのだね(^_^;。
どうしようかな、三月も歌舞伎座を観ないといけないかな(^_^;。

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極寒の強制労働予定
私の記憶では、昭和の頃は、村の神社は元日しか開けていなかった。
人もまばらで、大晦日から元旦の、宮司さんが来られるときだけ開けて、
2日以降はときどき父や総代会の面々が賽銭箱を見に行く程度で、
社殿そのものは施錠されていた。
それが徐々に、地元の人の「破魔矢は無いですか」の声に応えて、
三が日に巫女さんを置いて縁起物の頒布をするようになり、
15年くらい前から正月5日くらいまで初詣仕様で開ける習慣になり、
ここ何年かは、明らかに参拝客が増え、企業の安全祈願祭もびっしりになって、
いつしか我々は11連勤が当たり前になった。
成人の日が1月二週目の月曜日になり、ここが必ず連休になったことも、
神社の初詣対応期間が延びる原因になった。
そしてついに、今度の正月奉仕は1月12日まで連続がっつり予定が入った。
12月31日(9:00-12:00と21:00-02:30の二度出勤)に始まり、
1月1日~12日まで連日8:00-17:00は確定、日によって7:00開始。

ドMな話
これだけでも自分としては笑うしかない悲惨さなのに、
1月13日にポゴレリチの浜離宮公演があるとは、マゾ過ぎて、もう。
強制労働明けの褒美、と思うべきだとは重々、承知しているのだが、
せめて半日でも、とりあえず「無」になってからにしたかったよ。
よりによって、自分にとって最重量級の演奏家が来るなんて。まじ無理。
13日朝まで心身がモって、首尾良く新幹線に乗れたとして、
車内で瞬殺で意識がなくなるのは確定だ。
先日買った社務専用スマホには留守録機能があるのだから完全ミュートにし、
私用スマホは電源offにして黙らせ、バッグの奥底に閉じ込めておこう。
品川などという中途半端な場所で起きて降りる能力は残っていないだろうから、
終点・東京まで寝倒す覚悟で行くのだ。そこから築地の定宿まで路線バスだな。
いやもう、バスの行く先を確かめる頭も残っていないかもしれないから、
東京駅からタクシーでも良かろうよな(^_^;。

それでも道楽人は行く
上記の年頭Mプレイのあとは、翌14日に国立劇場に行こうかと思っている。
道楽者は、こうなったら毒食らわば皿まで。
令和5年初春歌舞伎公演『通し狂言 遠山桜天保日記-歌舞伎の恩人・遠山の金さん-』
菊五郎劇団による『遠山の金さん』である!
国立劇場の新春公演としては当面、最後になるので、
音羽屋の旦那さんやプリンス菊之助、あらしちゃん(松緑)に左近ちゃん、
お馴染みの劇団の面々に会えるとあっては、このうえない企画だ。
となると、年末からの怒濤の強制労働の仕上げにポゴ氏に拷問して貰い、
その夜はホテルで初めて開放されて眠り、翌日、菊五郎旦那に楽しませて貰って、
ああようやく正月が来たなというか、私の1年はこれにて終了というか(笑)。
考えようによっては、良い順序ではあるかもしれない。
…………そこまで持ち堪えられれば、な(汗)。

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松本白鸚が体調不良 十三代目市川團十郎白猿襲名披露の口上を当面の間休演(サンスポ)
『歌舞伎俳優、松本白鸚(80)が体調不良のため、東京・歌舞伎座「十一月吉例顔見世大歌舞伎」の夜の部の口上を19日から当面の間、休演すると同日、松竹から発表された。』

市川宗家の團十郎の襲名において、一門の偉大なる先達として、
襲名披露口上の言わば「仕切り」役を務めていた白鸚だが、
ここに来て、体調不良のため当面、休演する、と発表された。
弟・吉右衛門の死去もあり、気力の面でも体力の面でも、
昨今は厳しかったのではないかという気がする。

白鸚は、私のようなアラカン世代にとっては「染五郎さま」だ。
あの神秘的だった染五郎さまが今や80歳(驚!)、
息子が幸四郎で孫が染五郎、ってアナタ。
『十六年は一昔』どころか、時の流れは本当に一瞬であることよ。

それで、白鸚の代理となると、菊五郎旦那なのであった(^_^;。
本日観劇された方々のtweetを見る限り、
旦那さんらしく鮮やかに見事にお務めになったようで、
初日には新・團十郎を「暴れん坊将軍」と呼んでらしたりしたが、
今日はもう、そういうオフザケもなく、万事、滞りなく……。
俳優協会理事長なので、これは務めざるを得なかったであろう。

なんか、初日以前には、口上には出たくないとかなんとか、
旦那さんが仰ってたとか聞いた気がしましたが、
あぁ、ありゃ夢だ、夢だった、よ、な……(逃)?

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昨日今日の一泊二日で、昨年11月以来10か月ぶりに、東京に行って来た。
先月下旬から、コロナ感染者数が順調に減り始めていたし、
私自身、4回目接種から2週間というタイミングを逃したくなかったし、
父があまり具合が良くないこともあって予定を先延ばしするのも不安で、
今だ!と思い至り、怒濤の勢いで行って来た。
どなたにもお知らせせず、ご挨拶も申し上げず、
大変失礼を致しました!!

4日の初日の第二部と第三部、本日5日の第一部を観て来た。
二世中村吉右衛門 一周忌追善。
第二部から入ったので、白鸚・歌六・梅玉の追善口上のある『松浦の太鼓』を
最初に観ることになった。
私のような者が詳しい事情など知る由もないが、
吉右衛門の生前は、白鸚との間柄は必ずしも良かったとは言えないものがあり、
単に「弟を喪った」寂しさなどでは表現しきれない思いが、
白鸚の胸中にあったことだろうと想像した。
しかし、白鸚が傘寿にして、弟の当たり芸を初役で務め追善としたこの舞台に、
そうした過去の思いのすべてが、昇華されていたことと思う。

この追善興行はまた、頼もしい世代交代を示したものでもあった。
それらについては、また、改めて。
なお、本日は講談師の六代目神田伯山が観劇していた。
松緑の松王丸を観に来られたものと思われた。

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というわけで、昨日は博多座に行って来たのである。
新型コロナ感染者数が、西日本に関しては減少傾向が続いているが、
このところの首都圏の有様を見るにつけ、
再増加に転じるのは時間の問題ではと感じるようになり、
今行かないでどうするよ!と、不意に思い立って決行した。
……と大仰に言うが、博多座は実は近所なのである(^_^;。
新幹線で広島ー博多が1時間、そこから地下鉄で博多ー中洲川端が3分。
自宅からうちの実家の村まで片道1時間半はくだらん、という状況を思えば
極めて気軽に行って来る感覚では、あった(^_^;。

以下、昼の部感想、覚え書き。

・最初は『橋弁慶』で、武蔵坊弁慶が彦三郎、牛若丸が萬太郎。
萬太郎は、いたずらっ子なのにむちゃくちゃ腕が立つという、
この舞踊においての牛若丸の設定どおり、
とても生き生きして爽快な踊りだった。
対する弁慶の彦三郎は、柄が大きく、声も立派で、
単なる力自慢の単純な弁慶ではなくて、
思慮深く、腕に覚えもあり、かつ、豪壮な僧、
というのがよくわかった。

・次が菊之助の『鷺娘』だったのだが、これが圧巻だった。
登場場面の白無垢の美しいこと、一気にひんやりとした雪の世界になり、
綿帽子がはらりと開くと、客席から「ほぉ~~……」と溜息が漏れるほど
超・幻想的で、この世のものとは思われぬ美貌と眼差しなのだった。
それから引き抜き等の華やかな演出があって、
愛らしい振り袖姿の乙女になり、恋の切なさ、未練、を切々と表現し、
合間に「傘尽くし」の楽しい踊りもあって、
最後に鷺の精そのものになるのだが、この「ぶっかえり」から後が強烈だった。
恋への執着ゆえに成仏が許されず、地獄の責め苦に遭うのだが、
もうもう、あまりにも、凄まじい美の世界で
玉三郎の薫陶を受けたことはここに繋がっているのだなと、
菊之助の精進にいたく感じ入った。
洋舞のような美も併せ持った舞踊だなと思って観ていたのだが、
あとで解説を読んだら、アンナ・パブロワの『瀕死の白鳥』の影響があって、
最後の息絶える場面が完成したということだった。
とにかく、菊之助の充実ぶりが凄かった。圧倒的な一幕!

・『すし屋』の弥左衛門が権十郎、女房おくらが橘太郎で、
以前なら團蔵や竹三郎でよく観たよなあ、となんだか切なくなった。
権十郎は巧かったが、お目々まん丸でなんとも可愛いお爺ちゃんだった(笑)。
いつも思うのだが、『すし屋』だけが上演されることが多く、
前半の『小金吾討死』が無いので、ここだけ観る人にとっては、
弥左衛門が風呂敷に包んで持って帰ってきた小金吾の首が、随分と唐突ではないだろうか。
人の良さそうなじーさんが、なんで生首なんか持って来やがった!?という。
この生首が後でどう役に立つかは、芝居を観ていればわかるのだけれども。

・おくら役の橘太郎は達者で文句はないのだが、
いつもは可笑しさ満点の役が多いので、こういうのもあるんだなぁと新鮮だった。
ときに、弥左衛門の女房の名前って、上方では「およね」じゃなかった??
「おくら」って、……台本による??
原典にあたろうと文楽のほうの資料を見たが、そもそも名前がなかったorz

・米吉が若葉の内侍で、大変に美しかった。
夫の平維盛=弥助(時蔵)が、すし屋の娘お里との間のことを語る間、
うつむき加減に話を聞いているのだが、美貌ゆえにきつい顔にも見える瞬間があり、
そりゃ妻として内心は複雑だろうよねと、
台詞のない部分でも若葉の内侍の心の動きに、同情を感じた(笑)。
この役は、いちいち台詞を言わないし動きも少ないのだが、
米吉は、まるで能面のように、僅かな角度の違いによって、
若葉の内侍の内心を見せてくれていたように思った。

・梶原平三に芝翫。御馳走であった(笑)。
この役は、これくらいのスター性があると、やはり面白いと思った。
そして、これほどの人が、権太ごときに、まんまと騙される訳はないよな、
という納得感も大きかった。

・梅枝は本当に素晴らしい。何をやっても一級品だ。
弥助との良いところを兄の権太に邪魔されて、
「ととさんは、留守!」と、つんと答えるところなど声音も含めて最高。
弥助との祝言の夜、ふたりきりになって、
「お月さんも、もう寝やしゃんしたわいな」の場面も、
清らかな夜空も見えて、本当に清楚で愛らしい、お里ちゃんであった。
その後、思いも寄らない弥助の身の上を知ってしまい、
身分違いの恋だったのだと涙を落とす可憐な風情も良かったし、
弥助(実は平維盛)一家を落ち延びさせる決意の姿も、実に美しかった。

・梅枝@お里、に対峙する弥助は、生半可なお色気では釣り合わないが、
時蔵だったので最高だった。
品格も艶っぽさも、そして高貴な「三位中将維盛」としての存在感も、
時蔵なので自由自在であった。眼福~~。

・菊五郎の権太、私の先入観もあるかもしれないが、あまりに立派で(爆)
ひねくれ者の田舎者、には見えなかった。格好良過ぎ(爆)。
一方、「いがんで」いて「ごんた」な感じは如何にもで、愛おしかった。
平維盛を先回りして捕まえてやる!と息巻いて、すし桶をつかんで
花道を走り去って行くところ、既に権太はヒーローだった。
もう改心していて、維盛を救う気満々、というのが
台詞とは裏腹に、それらしい演出もないがよくわかった。

**************

客席での飲食は禁止されていることがわかっていたので、
事前にネットで博多座内のお店を調べて、
二階客席から出てきたところのカフェでのランチを、
開場したときに予約しておいた。
窓に面したカウンター席で、「黙食」となっており、万事、巧く行った。
食べるのに素手で触れるサンドイッチは回避して、ロコモコにした(^_^;。

**************

昨年11月に歌舞伎座に行ったとき、劇場内での私語を控えるようにと
会場アナウンスがあり、会場係がそれを明記したプラカードを持って
あちこち見せて歩いており、客席では特によく守られているという印象だった。
ロビーでの会話も、当時、ゼロではなかったがかなり控えられていた。
それが、今回の博多座は全く駄目だったorz
同じように注意の案内はあったが、誰も聞いていない&見ていなかった。
会場係も、東京のように個別に目配せをしに寄って来たりは全くしなかった。
客席中が喋っているので、どうしようもなかったのだろう(汗)。

私の隣の席にいた老女二人組(って私と同年齢くらいかね(爆))など、
休憩時は一方の人がず~~~っと「うちの娘」の話をしており、
もう一人は聞き役だったが、とにかく話し声がやむことがなく、
幕間30分のあとなど、戻って来てから紙袋をごそごそやり、
饅頭を出して、マスクを外し、食べながら普通の声量で会話を続けていた。
客席での飲食禁止、というのも最初からハッキリ言われ・書かれているのだが、
弁当でないし私たちのはイイ、という感覚なのか。
食べ終わったらさすがにマスクはつけたが、引き続きお喋り(汗)。
私は行動の面ではマスク警察ではないし、他人には期待していないので、
黙ってやり過ごしたが、ああいう人たちももしコロナに罹ったら、
「きちんと感染対策していた。どうして罹ったのかわからない」
と言うのだろうかなorz。
間近でマスク無しで飲食&お喋りされたのだから、
私の方がうつされる可能性も勿論あった訳だが、もう仕方がなかった。
社会生活をしている以上、他人の行動をいちいちどうこうできない。
内心でこうしていろいろ思うだけだ。

福岡市地下鉄空港線でも、感染対策に関する基準は同様で、
「特別な事情のある場合以外はマスクを着用する」
「緊急時以外は車両内での私語は控える」
等々の内容のアナウンスがあり、表示も出ていて、
私の居た車両でも全員がマスクを着用していた。
ただ、若い男性二人組だけが、声高に喋り続けていた。
走行音やアナウンス以外に物音のない、静まりかえった車両内に、
彼らの会話は響き渡り、申し訳ないが内容は筒抜けであった。
彼らにとっては緊急時の会話だったのであろうorz
しかしともあれ、どこへ行ってもマスク着用率は100%であった。
マスクをつけていない人を、昨日、私は1人も見かけなかった。
どこも冷房されていて、熱中症予防に外そうと考える人が居なかったからか。

そうそう、観劇前、博多座に上がって行くと、
劇場前で不織布マスク3枚セットを配っていた。
「持って来るのを忘れたから、つけられなかった」
は無しってことね(汗)。
感染制御されていてこそ、劇場は機能するのだから、
こういう努力は買いたいと思った。

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数日前に思いついて、きょうは六月博多座大歌舞伎の昼の部を観てきた。
博多まで出かけたのは、コロナ前の2019年の六月大歌舞伎以来だった。
昼の部の演目は、『橋弁慶』『鷺娘』『義経千本桜 すし屋』。

  

菊之助の『鷺娘』が絶品だった。
なんとも凄みのある美しさ!
そのうえ、夜は『魚屋宗五郎』を演っているのだから、
次代の菊五郎としての着々たる歩みには、圧倒される思いだった。

ほかにもいろいろ思ったことはあるのだが、とりあえず……。

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海老蔵さん、團十郎襲名へ 11~12月に披露公演―松竹(時事通信)
『松竹は31日、延期していた「十三代目市川團十郎白猿襲名披露」の公演を、11、12月に東京・歌舞伎座で行うと発表した。歌舞伎俳優の市川海老蔵さん(44)が歌舞伎界の大名跡を継ぐ注目の舞台で、長男の堀越勸玄君(9)も八代目市川新之助を同時に襲名し、初舞台を踏む。』

キターーーー!!
先の、團菊祭の記者会見で菊五郎旦那が
「今年は團十郎が…」と匂わせてらしたので、
いよいよあるんだなとは思っていたが、ついに!!!!

………超のつく特別な興行ゆえ、破格の切符代に、なるんかね(大汗)。

追記:1等席が2万3000円、2等席が1万8000円、3階A席が8000円、3階B席が6000円。
1階桟敷席が2万5000円。……とのことだ。争奪戦のうえに、ご祝儀切符代か(爆)。

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3月に道楽旅行がもし出来るとしたら、理想は、
3月5日(土)14:00 舞踊公演『素踊りの世界』@国立劇場 小劇場
3月6日(日)12:00 歌舞伎公演『近江源氏先陣館-盛綱陣屋-』@国立劇場 大劇場
3月7日(月)14:40 三月大歌舞伎 第二部@歌舞伎座
を二泊三日で観ることだな~~。

『素踊りの世界』は、松緑の『供奴』が目当て。
『盛綱陣屋』は菊之助・梅枝・萬太郎・種之介・莟玉・丑之助、等々、
次世代「菊五郎劇団」が観られる。
歌舞伎座の第二部は、仁左衛門の『河内山』に菊五郎の『芝浜革財布』で、
「いずれまた」を期待するのは難しいほどの、むちゃくちゃ重量級。
マホロン(寺嶋眞秀)も出るしな(^^)。

およそ三週間後に、コロナ感染拡大状況がどうなっているか、
また自分が3回目ワクチン接種を終えているかどうか、を考えると、
ちょっと、この時期に動くのはまだ厳しいだろうか。
5日の松緑を諦めるのなら、盛綱陣屋と歌舞伎座は3月後半でも良いことは良いが。

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