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殿は今夜もご乱心

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女子会なのか?

2023年06月01日 10時06分31秒 | 手抜き料理
今年も祭がやって来る。

同級生ユリちゃんの実家のお寺で開催される夏祭だ。

そこで先日、ユリ寺の料理番である同級生のマミちゃん、モンちゃん

そして私は、打ち合わせのための女子会を行った。


今回の女子会には、我々の同級生リッくんを召集した。

リッくんのことは、いつぞやお話ししたことがある。

茶道の師範として活動している独身男だ。

アメリカで日本語教師をしていた経歴を持っている。


彼は昨年の祭で、ユリちゃんのご主人モクネン君の厚意により

献茶の儀式を行った。

祭が始まる前の法要で、仏様にお茶を捧げるのだ。

献茶は、茶道に関わる人にとって憧れの儀式らしく

彼は今年もやる気満々、料理のお給仕も手伝うというので呼んだ。


女子会にはもう一人、参加者がいる。

リッくんの開くお茶席を手伝っている70代の女性、シノブさん。

この人は、フリーのツアコン。

さすが世界を知る女…見識が広く、おしゃれで優しい。

それでいて謙虚な可愛らしい人だ。


毎月行われるリッくんのお茶席に参加するうち

我々はすっかり彼女に魅了され、親しく交流するようになった。

最近の女子会は、もっぱらユリちゃん抜きでシノブさんを誘い

4人で行っているが、イベント好きのシノブさんも

ユリ寺のお祭を手伝いたいと言うので一も二もなく呼んだ。


ちなみに、リッくんとシノブさんは親友。

とある仕事に関わったのが縁で、知り合った。

二人は親を見送った後、一人暮らしをしながら

姉と弟のような良い関係を保っているのだった。



さて、我々3人とリッくん、シノブさんの女子会は

マミちゃんのお義兄さんがやっている和食店で賑やかに始まった。

我々はまず、リッくんの悩みを聞く。

「今年も献茶を行う予定でよろしいですか?」

ユリちゃんにそうLINEを送ったら、いつも返信の早い彼女なのに

一週間も返事が無かったという。

そしたら昨日、やっと返信があったが、いつもの優しいユリちゃんではなく

「やりたければやってもいい」といった冷淡な文面だったので

気にしているそうだ。


私はユリちゃんの返事が遅れた理由も、冷淡な返信の理由も知っていた。

彼女からの電話で、直接聞いたからだ。

リッくんの文面が、上から目線だというのである。

自分が上から目線なので、人にやられると非常に腹が立つらしい。

「感じ悪かったから返してないの」


もっともじゃ…

私はその時、ユリちゃんに言った。

リッくんの文面に、「俺は師範なんだから」という気位を感じたからだ。

去年は同級生のよしみでやらせたところ

リッくんは緊張しつつも喜んでいたというのに

今年は「やってあげるぞよ」みたいな立ち位置に変わっとるじゃないの。

私でも「お願いします」とは、素直に言えないかもね。


「昨年は献茶の栄誉に預かり、誠にありがとうございました。

お陰様で、良い経験をさせて頂くことができました。

つきましては今年もぜひやらせて頂きたいのですが

ご都合はいかがでしょうか?」

相手は選民、それくらいの謙(へりくだ)りは必要である。

こちらが先に折れてこそ、寺との穏便な関係が成立するのだ。


「師範でござい」は通用しない。

モクネン君は、皆から“お上人(しょうにん)”と呼ばれていて

その宗派においては尊き存在。

ユリちゃんはその妻であり、やはりお上人と呼ばれていた亡き父親の娘だ。

言うなれば、生まれながらに俗世より高〜い所に居ると自負している。

その気位に比べれば、師範なんてシモジモのうちである。


寺というのは面倒くさい所なのじゃ。

今後も献茶をするつもりなら、リッくんには師範の気位を捨ててもらい

謙遜を習得してもらわねばのぅ。

向こうもハンパなく気位が高いんだから、ぶつかり合うと

献茶どころか喧嘩になるからのぅ。


ともあれ私はユリちゃんに、早く返信するように言っておいた。

先延ばしにしても、いいことは無い…

リッくんには、私から厳しく言っておく…。

これを聞いて心が落ち着いたユリちゃんは翌日、返信したようだ。

文面が冷たいあしらいになったのは、無理もないことである。


そして女子会では、リッくんにユリちゃんとのやり取りを言わず

寺との付き合い方をレクチャー。

お上人と師範じゃあ、師範が負ける…

今後もやりたいのなら、こっちがプライドを捨てるように…

うちらが奉仕するのはユリちゃんでなく、仏だと心得よ…。


つくづく自分のことをコウモリみたいだと思うが

ユリちゃんとリッくんの両方に本当のことを伝えるわけにはいかない。

調整は大事だ。

こういう準備をすっ飛ばし、いきなり寺の台所に入れると

不満が出たり喧嘩になったり、面白くない結果を招くことが多い。


シノブさんは早くも

「私、お手伝いするのは今年が最初で最後になりそう」

と笑い、皆も笑う。

リラックスできる店で、美味い酒に美味い料理…

気の置けない女子会は、楽しく進行するのだった。


ところで、男が混ざった女子会なんて、おかしいんじゃないか…

そう思われるかもしれない。

しかしこの日、リッくんから正式にカミングアウトがあった。

彼はゲイである。

お化粧をしたりナヨナヨする方面ではなく

見た目は全くの男性で、心が女性というクチ。

彼は中学生の頃、自身の傾向に気がついたそうだ。

よって、女子会でも問題は無いような気がする。

シノブさんとの親友関係も、だからこそ成り立っているのである。


「俺さ、ゲイなのよ」

リッくんが軽いノリで言った時

マミちゃんとモンちゃんは口もきけないほど驚愕し

固まっていた。

私は中学生の頃から感じていた、彼の中性的な印象に納得がいって

感慨深いものがあった。

「独身、ロス在住の過去、年取ってからの茶道とくれば

まずゲイよ」

海外事情に詳しいシノブさんは言ったものだ。


その後は祭で作る献立を決め、役割分担も話し合った。

今年からはお客様が喜ぶ料理ではなく、我々が楽に作れる料理と決めている。

それでもこのところ、私が家で作る料理は手抜きばっかりなので

体力が続くかどうか心配だ。


『カプレーゼ』


プチトマトとモッツァレラチーズに

パセリとテキトーなドレッシングかけて

「イタリアンじゃ!」と言い張り、威張る。

パセリはもちろん刻まない。

買ったら形のまんま、洗って水を切って冷凍。

使う時は、カチカチの冷凍パセリを手で崩しながらかけるだけ。

おかずにはならんが、彩りだけはいい。


『ナスと厚揚げの炒め煮』


文字通りナスと厚揚げを油で炒めて、ダシと砂糖醤油で煮ただけ。

「シンプルな和食」と言い張りながら

買い置きのモズク酢や刺身こんにゃく

冷奴なんかを日替わりで添えて、作ったフリ。

もうね、長時間台所に立って、こねくり回して作るのがしんどい。


心も身体もすっかりナマッてしまって、祭ではちゃんとできるのかしら。

今から体力作りしても、間に合わんわね。

頑張りま〜す。
コメント (4)
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