病院の厨房で働いていた時の同僚、はるちゃん。
入って来た時、なんて派手な人だろうと思った。
コーディネートがすごいのだ。
年も近く、そのうち親しくなったので聞いてみた。
「原色が好きなの?」
はるちゃん、服は基本的に買わない主義だと言う。
もらい物ばかりなので、組み合わせとか
似合う似合わないを考えていたら着られないそうだ。
人からもらう服というのは、たいてい派手で
着回しが困難なものと相場が決まっている。
それに合わせてアクセサリーをつけ
バランスをとるのが、はるちゃん流の「おしゃれ」なのだそうだ。
そして、元気に言う。
「大丈夫です!車に乗れば、首から上しか見えません」
はるちゃんの生き甲斐はママさんバレー。
遅番の時は、そのままユニフォームに着替えて直行だ。
ふと足元を見ると、ソックスから指先とカカトが丸出し。
「どうしたの?」
「破れました。もう4年くらいこれ一足なので」
「ソ…ソックスの役割りは…?」
はるちゃん、こともなげに言う。
「大丈夫です!靴をはいたら見えません」
はるちゃんの趣味は貯金。
自分のパート代で家族の生活費をまかない
ご主人の給料は全額貯金すると言う。
厨房いち、リッチなのだ。
厨房のメンバーで食事に行き、その日は私が立て替えたので
翌日みんながそれぞれ割り勘の分をくれる。
はるちゃん、重そうなきんちゃくを抱えて出勤してきた。
う…悪い予感…。
きんちゃくをドサリと置き
「はい、これ、昨日の分です!」
「ええっ?」
中には硬貨がいっぱい。
「いやだよ~!こんなの!」
はるちゃん、厳しく言う。
「あら、お金はお金でしょ?」
お札は農協へ、硬貨はこういう時のために家で貯めていると言う。
はるちゃんの家は兼業農家だ。
ケチなはるちゃんが
いつになく段ボール箱いっぱいのじゃがいもを持って来た。
「うちにあったものですけど、皆さんで分けてください」
はるちゃんにしては珍しいので、みんなで中をのぞいた。
そこには、シワシワにひからびた
元じゃがいもさんたちがコンニチハ。
「はるちゃん…これ…」
「芽が伸びてましたけど、私が全部むしりました」
「食べられないじゃん…」
家でいらなくなったのを持って来たのだ。
はるちゃん、涼しい顔で
「あら、イモはイモでしょ?」
しばらく、そんなはるちゃんが嫌いだった。
やがて、年に一度の草刈りデーがやってきた。
各部署から一人ずつ出て、病院の裏庭の草を刈らなければならない。
例年は押しつけ合いだが、今回ははるちゃんが名乗り出てくれた。
当日はるちゃんは、野良着姿もいさましく
愛車の軽トラをかっとばしてやって来た。
愛用の草刈り機の音もかろやかに、慣れた手つきで草を刈る。
めちゃ、かっこえ~!
一同の賞賛に、はるちゃんはさらりと答える。
「プロですから」
その日から、私ははるちゃんを尊敬するようになった。
入って来た時、なんて派手な人だろうと思った。
コーディネートがすごいのだ。
年も近く、そのうち親しくなったので聞いてみた。
「原色が好きなの?」
はるちゃん、服は基本的に買わない主義だと言う。
もらい物ばかりなので、組み合わせとか
似合う似合わないを考えていたら着られないそうだ。
人からもらう服というのは、たいてい派手で
着回しが困難なものと相場が決まっている。
それに合わせてアクセサリーをつけ
バランスをとるのが、はるちゃん流の「おしゃれ」なのだそうだ。
そして、元気に言う。
「大丈夫です!車に乗れば、首から上しか見えません」
はるちゃんの生き甲斐はママさんバレー。
遅番の時は、そのままユニフォームに着替えて直行だ。
ふと足元を見ると、ソックスから指先とカカトが丸出し。
「どうしたの?」
「破れました。もう4年くらいこれ一足なので」
「ソ…ソックスの役割りは…?」
はるちゃん、こともなげに言う。
「大丈夫です!靴をはいたら見えません」
はるちゃんの趣味は貯金。
自分のパート代で家族の生活費をまかない
ご主人の給料は全額貯金すると言う。
厨房いち、リッチなのだ。
厨房のメンバーで食事に行き、その日は私が立て替えたので
翌日みんながそれぞれ割り勘の分をくれる。
はるちゃん、重そうなきんちゃくを抱えて出勤してきた。
う…悪い予感…。
きんちゃくをドサリと置き
「はい、これ、昨日の分です!」
「ええっ?」
中には硬貨がいっぱい。
「いやだよ~!こんなの!」
はるちゃん、厳しく言う。
「あら、お金はお金でしょ?」
お札は農協へ、硬貨はこういう時のために家で貯めていると言う。
はるちゃんの家は兼業農家だ。
ケチなはるちゃんが
いつになく段ボール箱いっぱいのじゃがいもを持って来た。
「うちにあったものですけど、皆さんで分けてください」
はるちゃんにしては珍しいので、みんなで中をのぞいた。
そこには、シワシワにひからびた
元じゃがいもさんたちがコンニチハ。
「はるちゃん…これ…」
「芽が伸びてましたけど、私が全部むしりました」
「食べられないじゃん…」
家でいらなくなったのを持って来たのだ。
はるちゃん、涼しい顔で
「あら、イモはイモでしょ?」
しばらく、そんなはるちゃんが嫌いだった。
やがて、年に一度の草刈りデーがやってきた。
各部署から一人ずつ出て、病院の裏庭の草を刈らなければならない。
例年は押しつけ合いだが、今回ははるちゃんが名乗り出てくれた。
当日はるちゃんは、野良着姿もいさましく
愛車の軽トラをかっとばしてやって来た。
愛用の草刈り機の音もかろやかに、慣れた手つきで草を刈る。
めちゃ、かっこえ~!
一同の賞賛に、はるちゃんはさらりと答える。
「プロですから」
その日から、私ははるちゃんを尊敬するようになった。