殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

組長・4

2009年05月11日 13時38分41秒 | 組長
昨日、月番の女性が我が家に来た。

「あの、Cさんからの伝言なんですが…」

Cというのは、我が自治会の平和をかき乱すあのじじい、Sの一味である。


「自治会長さんがまだ入院中でしょう。

 ご本人も辞めたいと言われてるので

 新しい自治会長を決める必要があるそうなんです」


それは私も聞いていた。

聞いていたが、めんどくさいので保留にしていた。

老会長はダミーで置いておき、実質的な仕事は我々でこなそうと思っていたのだ。


「それでCさんがおっしゃるには、まず総会を開けと…」

また総会かよ…。

「その席で“みんなのために”CさんがSさんを推薦するそうです。

 そして、今後は毎年Sさんに会長をやってもらうように

 話を持っていくから、同意してほしいとおっしゃってました。

 それが“みんなのため”だと…」


この月番夫人は、Cの隣に越して来て年月が浅い。

仕事が忙しくて事情を何も知らないので

それはいい話だと思ってうちに来たらしい。

「熱心な方がいてくださると、助かりますわねぇ」


私は月番夫人に、奴らの悪行三昧を話してやった。

「まあ!そんなこと、ちっとも知らなくて!」

    「やりたい人にやらせてあげたいのはやまやまだけど

     そうはいきません」


直接言って却下されたら元も子もないので

何も知らない他人を月番だからと理由をつけて使い

こちらの出方を見るつもりであろう。

いかにも肝が小さく、セコい手だこと…。


前年度の決算にしつこく異議を唱えているのも

その口実で総会を開き、Sじじいを推薦して会長に据えることが目的なのだ。

推薦され、頭を下げられ、しぶしぶ引き受けるの図を夢見て…。


CとSの間で、話はすでに出来上がっていたらしい。

バカどもの考えそうなことだ。

うまいこと老会長を葬ったまではよかったが

我々役員が言われるままに総会を開き

Sじじいをすんなり承認するとでも思っているのだろうか。


自治会費の集金や決算が公正でないといちゃもんをつけておきながら

同じ人間を半永久的に会長に据えるのはOKという

主張そのものに無理がある。

そうはいくかい…。


「じゃあ私、Cさんになんてお返事したらいいんでしょうか…

 隣だし、もめるのは怖いです…」

    「2~3日待ってと言っておいてください。

     必ずCさんに直接お返事します。     

     それから、次回から言いたいことがあれば

     又聞きではわからないのでうちへ直接来てくださいと。

     それだけ伝えてください」   


じゃかましい!寝言言うな!と伝えたいところだが

あまり過激な内容をだと、図らずも伝令となった月番夫人に

被害が及ぶ恐れがある。


「あの…私…ガキの使いと思われませんかね?」

   「Cさんから頼まれた伝言自体、ガキの伝言ですから

    バランスがとれてちょうどいいでしょう」

それとも、私が今話したことを全部Cさんに伝えてもいいですよ…

「いえ!役立たずと思われて本望ですっ!」


私は前年度の三役と、今年一緒にやる会計の子に招集をかけた。

…絶対に総会は開かない。

…会長は現行のまま、または来年の順番で。

という即決の結論と共に

万一奴らが予期せぬ強行策に出た場合の対策も検討。


なにしろ普通の考えが通用しない者どもが相手なので

各自に個人的な攻撃が来ても同じ返答ができるように

打ち合わせをしておく。


しかし実際に表立って攻撃を受けるのは、おそらく今年度の役員である

私と会計の子であろう。

出産したばかりだし、出来ればこういうことには巻き込みたくなかったのだが

こうなってはいたしかたない。

つまらぬことでガタガタするのは、あほらしくてみっともないが

そのつまらぬことに心血を注いでこだわる者がいる限り

いつまで経ってもこのままなのだ。


この女の子は、偶然にも長男の友達の妹である。

小さい時からよく知っていて我が子同然、しかも威勢がいい。


「おばちゃん!戦おう!あいつら、常識がないんじゃ!」

彼女は言う。

ヤンキーな彼女から常識という言葉が出るとは思わず

我々おじさんおばさんは大ウケ。


さらに

「…追い込んでやる…」

なんとたのもしい!

我々は、固い絆を確かめ合って解散した。


家に帰ると、夫が言う。

「さっき誰か来て、何か用事があると言ってたぞ~」

    「誰?」

「知らん。また来るって」

    「男?女?」

「どっかのおばさん」

    「名前くらい聞いてくれればよかったのに…」

「知らんわいっ!なんでオレがそこまでせにゃならんのじゃっ!」

と逆ギレして大声で叫ぶ。

ガキの使いとは、こういうことを言うのだ…。

この役立たずめが…!
コメント (16)
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