病院の厨房で同僚だったはるちゃんは、筋金入りの節約家だ。
節約家というより、ケチや吝嗇(りんしょく)に近いかもしれない。
しかし、彼女から多くのことを学んだのは確かである。
私は夫が金銭的援助の必要な女性と交際していた数年間
自分の収入だけで食べ盛りの男の子を二人育てた経験があるので
節約に関しては、少々自信を持っていた。
しかし、はるちゃんには、とうていかなわない。
はるちゃんの家の食費は、毎月2万。
何があろうと絶対にこれは守る。
子供達は独立しているので、姑さんとご主人との3人暮らしだ。
米と野菜を作る農家なので、この金額でいける。
爪に火をともすような生活は、姑さん直伝らしい。
おかずの量や品数が多いと、小言を言われるそうだ。
はるちゃんもご主人も元々節約好きなので、問題は起こらない。
はるちゃんの家では、シイタケのジクは炒め物に
ニンジンや大根の皮はキンピラになる。
納豆は、1パックを3人で分ける。
焼きそばは、ひと玉で3人分作る。
肉は原則として食するためでなく「ダシ」の扱い。
家に野菜が豊富なはるちゃんだから出来るのだが
お金を出さないと手に入らない物
値の張る物の分量を少なくするのは
なかなかのコツといえよう。
さらに究極の技が…。
ご主人の月給を全て貯蓄に回して自宅を新築したが
この時代にあえて、トイレはくみ取り式にした。
水と下水道料金がもったいないからだと言う。
真似をしようとは思わないが、このいさぎよさが私の好みではある。
節約術なんかテレビでよくやっているが
トイレのタンクにペットボトルだの
安い卵を買うために2度並ぶだのよりも
同じやるなら、これくらいの覚悟はしてからテレビに出てもらいたい。
へん!やれるもんなら、やってみぃ!と
自分のことでもないのに鼻の穴をふくらませる私である。
ついでに私の節約術…と言えるものかどうかわからないが
食費部門を公開しておこう。
それは、買物の回数を極力減らすというものだ。
電気を消して歩いたり
風呂の湯張り温度を気にしたりというのは
性に合わないのでやらない。
暗闇で転んだり、湯船でしっかり温まれずに
風邪をこじらせたりしては、元も子もないからである。
特売を求めてスーパーをハシゴ…なんてよく聞くが
ガソリン代やオイル代、果ては長い目で見て
走行距離で査定が下がることを考えたら、まったく節約ではない。
食費を浮かせるために車の経費を高めるなど
本末転倒もいいとこだ。
徒歩や自転車だとハシゴしてもいいのではないか…そうではない。
お金では買えない貴重なもの…時間を浪費している。
目先のお金のために、大切なことを見失ってはならない。
そもそも、誘惑の巣窟とも呼べるスーパーへ頻繁に出入りすること自体
忍耐力の無駄遣いである。
あまたの商品を目にしながらおのれに強いる我慢は
気付かないうちに自分の心を痛めつけ
そのほこ先は、罪のない子供や亭主の収入に向けられる。
度々買物に行って無意味な自己抑制を繰り返すよりも
行く回数を減らしてしっかり買うほうが
財布にも心にも優しいと私は考える。
チリも積もれば山…と節約の大家はおっしゃるが
私を含め節約に向かない多くの人間がそれに習うと
ストレスも山と積もっていくものだ。
家族の一挙手一投足に目を光らせ、家庭を殺伐とさせながら
無理をして浮かせたお金は
必ずどこかで、しかも不本意な形で吐き出す運命となる。
お金を大切に思うならば、まず店に近づかない。
冷蔵庫にあるもので、家族の喜ぶ食事を作る頭と腕を磨く。
それが真の節約である。
しかし最も効率がいいのは、偏食の無い子供に育てることだ。
よくいるのだ。
さっきまで、生活が大変…とぼやいていたその口で
「子供の牛乳が切れたから、買わなくちゃ」
しかし買いに行くと、絶対牛乳だけでは終わらない。
菓子パンや牛乳など、消費期限の短い特定の食品を好物にしてしまうと
補充のために買物の回数が多くなる。
野菜を食べない子供にしてしまうと、食費どころか医療費までかさむ。
米は安くて保存のきく、節約には優良な食品である。
おいしいおかずを作って、ごはん好きの
何でも喜んで食べる子供に仕向ける。
何が、牛乳が無いと機嫌が悪い…だ。
何が、朝パンじゃないと食べない…だ。
子供をのさばらせることはないんじゃ。
ということで、はなはだ乱暴ではあるが
あくまで我が家のやり方なので、あしからず。
節約家というより、ケチや吝嗇(りんしょく)に近いかもしれない。
しかし、彼女から多くのことを学んだのは確かである。
私は夫が金銭的援助の必要な女性と交際していた数年間
自分の収入だけで食べ盛りの男の子を二人育てた経験があるので
節約に関しては、少々自信を持っていた。
しかし、はるちゃんには、とうていかなわない。
はるちゃんの家の食費は、毎月2万。
何があろうと絶対にこれは守る。
子供達は独立しているので、姑さんとご主人との3人暮らしだ。
米と野菜を作る農家なので、この金額でいける。
爪に火をともすような生活は、姑さん直伝らしい。
おかずの量や品数が多いと、小言を言われるそうだ。
はるちゃんもご主人も元々節約好きなので、問題は起こらない。
はるちゃんの家では、シイタケのジクは炒め物に
ニンジンや大根の皮はキンピラになる。
納豆は、1パックを3人で分ける。
焼きそばは、ひと玉で3人分作る。
肉は原則として食するためでなく「ダシ」の扱い。
家に野菜が豊富なはるちゃんだから出来るのだが
お金を出さないと手に入らない物
値の張る物の分量を少なくするのは
なかなかのコツといえよう。
さらに究極の技が…。
ご主人の月給を全て貯蓄に回して自宅を新築したが
この時代にあえて、トイレはくみ取り式にした。
水と下水道料金がもったいないからだと言う。
真似をしようとは思わないが、このいさぎよさが私の好みではある。
節約術なんかテレビでよくやっているが
トイレのタンクにペットボトルだの
安い卵を買うために2度並ぶだのよりも
同じやるなら、これくらいの覚悟はしてからテレビに出てもらいたい。
へん!やれるもんなら、やってみぃ!と
自分のことでもないのに鼻の穴をふくらませる私である。
ついでに私の節約術…と言えるものかどうかわからないが
食費部門を公開しておこう。
それは、買物の回数を極力減らすというものだ。
電気を消して歩いたり
風呂の湯張り温度を気にしたりというのは
性に合わないのでやらない。
暗闇で転んだり、湯船でしっかり温まれずに
風邪をこじらせたりしては、元も子もないからである。
特売を求めてスーパーをハシゴ…なんてよく聞くが
ガソリン代やオイル代、果ては長い目で見て
走行距離で査定が下がることを考えたら、まったく節約ではない。
食費を浮かせるために車の経費を高めるなど
本末転倒もいいとこだ。
徒歩や自転車だとハシゴしてもいいのではないか…そうではない。
お金では買えない貴重なもの…時間を浪費している。
目先のお金のために、大切なことを見失ってはならない。
そもそも、誘惑の巣窟とも呼べるスーパーへ頻繁に出入りすること自体
忍耐力の無駄遣いである。
あまたの商品を目にしながらおのれに強いる我慢は
気付かないうちに自分の心を痛めつけ
そのほこ先は、罪のない子供や亭主の収入に向けられる。
度々買物に行って無意味な自己抑制を繰り返すよりも
行く回数を減らしてしっかり買うほうが
財布にも心にも優しいと私は考える。
チリも積もれば山…と節約の大家はおっしゃるが
私を含め節約に向かない多くの人間がそれに習うと
ストレスも山と積もっていくものだ。
家族の一挙手一投足に目を光らせ、家庭を殺伐とさせながら
無理をして浮かせたお金は
必ずどこかで、しかも不本意な形で吐き出す運命となる。
お金を大切に思うならば、まず店に近づかない。
冷蔵庫にあるもので、家族の喜ぶ食事を作る頭と腕を磨く。
それが真の節約である。
しかし最も効率がいいのは、偏食の無い子供に育てることだ。
よくいるのだ。
さっきまで、生活が大変…とぼやいていたその口で
「子供の牛乳が切れたから、買わなくちゃ」
しかし買いに行くと、絶対牛乳だけでは終わらない。
菓子パンや牛乳など、消費期限の短い特定の食品を好物にしてしまうと
補充のために買物の回数が多くなる。
野菜を食べない子供にしてしまうと、食費どころか医療費までかさむ。
米は安くて保存のきく、節約には優良な食品である。
おいしいおかずを作って、ごはん好きの
何でも喜んで食べる子供に仕向ける。
何が、牛乳が無いと機嫌が悪い…だ。
何が、朝パンじゃないと食べない…だ。
子供をのさばらせることはないんじゃ。
ということで、はなはだ乱暴ではあるが
あくまで我が家のやり方なので、あしからず。