オバマ政権:戦略核1000発に削減する新軍縮案検討
毎日新聞 2013年05月19日
【ワシントン白戸圭一】
オバマ米政権1期目の国家安全保障会議で核不拡散問題を統括したゲーリー・セイモア前調整官が17日、毎日新聞のインタビューに応じ、オバマ政権が米露の戦略核弾頭の配備上限をそれぞれ1000発程度まで削減する新たな核軍縮案を検討していることを明らかにした。
オバマ大統領は今年2月の2期目最初の一般教書演説で、ロシアに核軍縮交渉を促す考えを明言している。来月17、18日に英国の北アイルランドで開かれる主要8カ国首脳会議(G8サミット)でロシアのプーチン大統領と会談し、交渉開始を求める見通しだ。
米露間には現在、2011年2月発効の新戦略兵器削減条約(新START)があり、発効から7年以内に米露の戦略核弾頭の配備上限を、それぞれ1550発まで削減するよう義務付けている。
セイモア氏は、新たな戦略核の削減案について「政権スタッフによる検討は終わり、既に複数の選択肢をオバマ大統領に提示した」と明言。「選択肢の一つ」として、戦略核の配備上限を1000発程度に削減する案の存在を明らかにした。
米露間の交渉の見通しについて、セイモア氏は「ロシアは米国のミサイル防衛(MD)計画を懸念しており、米露間で合意が成立する場合には、戦略核削減とMDの取り扱いの両方を含んだパッケージ合意になるだろう」と指摘。「両首脳がG8サミット時の会談で交渉開始で合意する可能性がある」との見通しを示した。
セイモア氏は米シンクタンク・外交問題評議会副会長などを経て09年1月に政権入り。今年1月まで米露の核軍縮や北朝鮮、イランの核開発への対応を統括し、オバマ大統領が09年4月にプラハで行った「核なき世界」演説の草稿を起草した。
現在は米ハーバード大学大学院ケネディスクール科学・国際問題ベルファセンター研究部長。