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「韓日関係が大転換時代にふさわしいアップグレードに失敗し、日本が北東アジア秩序をめぐり『韓国を飼い馴らそう』としているのが原因」とし「韓日関係は長期的な低強度の複合対立の時代を迎えた」と分析した。

2021-07-08 | 大韓民国

「日本、韓国を飼い馴らそうと交渉拒否…

“反日感情のせい”とは危険な診断」(1)

登録:2021-07-08 01:22 修正:2021-07-08 08:39
 
パク・ミンヒ論説委員の直撃インタビュー|ソウル大学ナム・ギジョン教授 
 
日本でも輸出規制を反省…韓国が責任を負うのは自己卑下 
韓国政府「複数のカード」切ったが、日本は「請求権協定」ばかりを固守 
強制動員判決直後、解決を進展させるタイミングを逃したのは残念 
韓日関係の「低強度複合対立」…徐々に改善する「韓方療法」必要
 
ソウル大学のナム・ギジョン教授が1日午後、ソウル大学日本研究所で韓日関係などについて語っている=イ・ジョングン先任記者//ハンギョレ新聞社

 日本による韓国に対する半導体・ディスプレイ素材の輸出規制から7月1日で2年が過ぎた。韓日関係は「国交正常化以来最悪の状況」から抜け出せずにいる。日本の政治・外交と韓日関係を深く研究してきた代表的な学者、ソウル大学日本研究所のナム・ギジョン教授は、1日の本紙とのインタビューで「韓日関係が大転換時代にふさわしいアップグレードに失敗し、日本が北東アジア秩序をめぐり『韓国を飼い馴らそう』としているのが原因」とし「韓日関係は長期的な低強度の複合対立の時代を迎えた」と分析した。

 ナム教授は著書『基地国家の誕生』で、朝鮮戦争期に「基地国家」へと変身した日本が冷戦の形成過程で主要な役割を果たしたことを論証したが、その延長線上において大転換時代を迎えた今、韓日は新冷戦を引き寄せる愚を犯してはならないと警告した。韓国が新たな国際秩序の形成で主導的役割を果たすにしても、中国との軍事的対決の前衛に立たないこと、朝鮮半島平和プロセスの再稼動の過程で日本との戦略的な意思疎通を強化することを提案した。

 ナム教授は「竹槍歌に象徴される反日感情が韓日関係を悪化させた」とするユン・ソクヨル前検察総長の主張に対しては「危険で誤った診断」と強く批判した。

-韓日関係がこれほど長きにわたり改善のきっかけを見出せないのは、何が原因か。

 現在の大転換時代にふさわしい韓日関係へとアップグレードできずにいる状況のせいだ。現状としては、日本が「歴史問題」対立の技術的な解決策を受け入れられずにいることが原因だ。2018年10月の韓国最高裁の強制動員賠償判決と2015年の「12・28合意」以降、韓国は歴史的基本原則を損なわない程度に何度か提案を行っているが、日本は「1965年の韓日基本条約と請求権協定を揺るがすいかなるものも認めない」という一つの立場のみを固守している。韓国最高裁の判決が履行されれば、日本の立場からは「1965年体制」が崩れると考えているのだ。多分に政治的な主張であり、歴史的な経緯や国際法の法理から見ても筋の通らない話だが、日本がそのような主張を掲げて交渉しようとしないことが今の最大の問題だ。日本がこのような「神経戦」を繰り広げるのは、韓国を「飼い馴らそうとしている」からだと考えられる。日本の北東アジアの秩序認識と構想に韓国が従うことを要求しているのだ。地政学的な大変動の中で、日本の構想が朝鮮半島平和プロセスによってゆがめられている状態であるため、日本はそのような主張を強く行っていると言える。現在の対立は歴史的な淵源が深く、地政学的にも広い。

-ユン・ソクヨル前検察総長は「竹槍歌」に代表される韓国の「反日感情」のせいで韓日関係が悪化したと述べているが。

 その診断は間違っている。そう考えるのは非常に危険で、問題がある。韓国政府はむしろ困難な状況にあってもかなり多くの努力をしたと理解している。原則論的に言うならば、問題の原因は日本の植民地支配にあり、日本が解決すべき問題だ。にもかかわらず韓国政府は、与えられた条件の中で切り得るカードを切ってきた。それをもって交渉を行うべき状況にあって、日本は交渉しないと言っている。果たして誰に問題があるのか。これに対する診断を誤れば、対日外交に大きな支障をきたすと思う。韓日の間には強制動員と日本軍「慰安婦」という懸案があったものの、日本が輸出規制を行う前まで韓日の往来は年間1000万人時代を迎えていたし、市民交流は自然に日常的に行われていた。状況を袋小路に追い込んだのは日本の輸出規制だったということは十分に理解すべきだ。輸出規制は日本でも反省の声があがっているが、それについての正当な考慮なしに全ての責任を韓国が負おうとするのは「自己卑下」だ。そんな人物が保守の注目を浴びる大統領選候補というのは悲しいことだ。

-文在寅(ムン・ジェイン)政権の対日外交を振り返って残念なところは。

 歴史問題を入り口に据えて「これを解決しなければ入れない」とした(朴槿恵(パク・クネ)政権の)「ワントラック戦略」が、結局は12・28合意という失敗作を生み出した。文在寅政権は歴史問題を解決するためにも懸案と協力とを分ける「ツートラック戦略」を打ち出し、それなりに成果も収めた。微妙なバランスが崩れたのは2019年だ。日本がワントラックを打ち出したことで、それが朝鮮半島平和プロセスの障害要因として作用しはじめ、韓国が管理できない方向へと日本が行ってしまうという状況になった。韓国政府がより高い次元で考えていたなら。最高裁判所の強制動員賠償判決直後にタイミングをつかんで、問題が深刻化する前に判決を尊重するかたちの解決策を考え、進展させるべきだったと思う。タイミングを逃した。

-輸出規制は韓日関係にどのような影響を与えたか。どのような示唆点を見出すべきか。

 輸出規制後に明らかになったのは、日本との緊密な経済・安保協力が必須ではなくなったということだ。日本との間で問題が生じれば大変なことになると思っていたが、それなりによく耐えてきた。歴史問題が韓日関係を悪化させても、経済と安保では協力しなければならないという論理的整合性はもはやない。それでツートラック外交が機能しなかったのだと思う。ところが今のコロナ禍においては防疫共同体、企業家をはじめとする日常交流の回復、少子高齢化克服のための協力、気候危機、原発災害、朝鮮半島平和プロセスの再稼働などで、いっそう両国の協力が必要になっている。日本の輸出規制後は、我々がまだ意識できていなかった自らの力量を確認してもいる。その時期を耐えたし、コロナ禍でも日本よりも韓国の方が善戦しているということを感じることで、韓国が譲歩ばかりするというのは違うのではないか、ということを感じはじめた。韓日関係は長期的な低強度の複合対立の時代へと向かうだろう。対立は多くの分野に存在し、どれか一つを解決したからといって、一度にすべてが改善されることは期待できない。両国いずれも早急に改善しようという方向には向かわないだろう。長期的には問題を解決できるだろうという期待を抱いて、徐々に体質を改善していく「韓方療法」を韓日関係において試みるべき時代となった。<続>

 
ソウル大学のナム・ギジョン教授が1日午後、ソウル大学日本研究所の研究室で本紙のインタビューに応じている=イ・ジョングン先任記者//ハンギョレ新聞社
パク・ミンヒ論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

「日本、韓国を飼い馴らそうと交渉拒否…

“反日感情のせい”とは危険な診断」(2)

登録:2021-07-08 01:20 修正:2021-07-08 08:38
 
文大統領、五輪出席にこだわる理由ないが、ボイコットは逆効果 
初めて韓国を羨望する日本人が登場…堂々と歩み寄るべき
 
ソウル大学のナム・ギジョン教授が1日、ソウル大学日本研究所の研究室で韓日関係などについて語っている=イ・ジョングン先任記者//ハンギョレ新聞社

-23日に東京五輪が開幕する。文在寅(ムン・ジェイン)大統領の東京五輪開会式への参加によって韓日関係改善のきっかけは作れるのか。一部では、東京オリンピック組織委員会が地図に独島を表記していることに対し、五輪をボイコットすべきだと主張しているが。

 韓国は中堅国の先頭として、北東アジアの範囲を超えて、より広い土俵で外交を展開しなければならない時代となった。大統領が開会式に出席して必ず首脳会談を行うべきだというのも、ある意味では両国関係と朝鮮半島問題で焦っているのではないかと思う。開会式に行くのは招待されればということであって、日本が招待しなければ特にこだわる必要もない。対日外交では自信を持てばいいと思う。総合的な国力で日本は限界に達している。我々が自信を持って長期的に日本を導いていくという考えを持って対応することが必要だ。即自的な対応で日本がこのように出てくれば韓国もこのように対抗する、というやり方ではなく、長期的に日本に対して、植民地支配を反省し、この問題を処理する模範国になることが日本にも役に立つということを粘り強く話していくべきだ。

-日本の外交戦略において韓国の重要性は低下しつつある。日本はもはや韓国ではなく台湾との協力やクアッド(日米豪印戦略対話)などを通じて中国の台頭に対応する方向へと戦略を根本的に変えたのか。

 日本の主流はかつてに比べて韓国の重要性を低く見ている。かつては日米同盟に韓国を入れた韓米日三角安保協力体制によってこの地域における日本の利益を確保するという戦略だったため、日米同盟の次は韓国だったのだが、安倍政権がインド太平洋構想へと接近したことで、日米同盟とともにASEAN、インド、オーストラリアを重視するようになった。ところが最近の日本ではアジア太平洋への関心が復活している。バイデン政権が韓米日協力を重視しているため、韓米日の三角関係も復活させなければならないからだ。だが冷戦時期の韓米日と現在の韓米日三角協力は異なる。昔のように米国が上にいて、日本や韓国に下りてくるという上下の安保協力ではなく、かなり水平的な安保協力へと向かっている。しかも過去には「朝中露北方三角形」を相手として、これを封鎖するかたちで韓米日南方三角形が作られていたが、現在の南方三角協力は朝鮮半島から北方へと開かれるかたちで復元されつつある。朝鮮半島平和プロセスを再稼働させるという目標が韓国にあったからこそ可能だったのであり、今後もこれを梃子として韓米日関係を韓国が管理・運営していく努力が必要だ。

-日本はG7(主要7カ国)を、韓国を含めたG10へと拡大することに反対していると知られているが、韓国はどのような戦略を取るべきか。

 G7に韓国が入り拡大されることに日本は反対するが、国際社会における韓国の役割は拡大し続けるだろう。初めて韓国が国際秩序の形成者として立つ機会が訪れている。その機会を逃さず、韓国のためになる分野で、多国間協力の秩序づくりに主導的な役割を果たすべきだ。

-韓日関係がきちんと管理できなかったことが、朝鮮半島平和プロセスが困難にぶつかった一因となっているとの分析が多く示されている。この問題について韓日はどのように意見の相違を縮め、協力しうるか。

 完全に認識を一致させるのは難しいが、日本が実際に抱いている安保に対する不安とは何なのか、韓国も理解する必要がある。米国は北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)さえなくせば済むが、日本は北朝鮮の中短距離ミサイルの射程内にあり、生物化学兵器も実質的な安保に対する脅威だと考えうる。このことを理解し、日本との対話の場を設けることが必要だ。拉致問題でも韓国は両者の間で役割を果たせる。朝鮮半島平和プロセスの核となるテーマについて、日本と真摯に対話するという目標を立てるべきだ。

-現在、東アジアは新冷戦に陥りつつある。韓米日軍事協力の強化をはじめ、東アジアミサイル防衛(MD)体制の構築など、ややもすれば軍事的緊張が急速に高まる危険性が強まっている。このような安保状況において韓国が守るべき原則とは何か。

 ミサイル防衛体制への参加は本当に慎重であるべきだ。下手をすれば朝鮮半島が新冷戦への入り口となりかねない。グローバルな次元では新冷戦の状況ではないというのが私の観測だ。我々が真っ先に新冷戦を引き寄せる愚を犯してはならない。冷戦形成期には日本の要因が大きかった。吉田内閣の当時の日本は連合国の占領下で、米国の利益に自国の利害を一致させることで日本の国益を確保しようとした。ちょうど始まった米ソ対立の渦中で日本は米国一辺倒を選択し、それによって北東アジアの冷戦が触発された。その後、朝鮮半島が戦争へと向かう際に、日本の意図はより明確に確認された。あのような過ちを繰り返してはならない。今も日本の右翼からは新冷戦シナリオが出てきている。我々はそれに便乗してはならない。当面は耐えなければならない損害があったとしても、長期的な国益を考えれば、韓国が直に中国との軍事対決の前衛に立つことは絶対に避けるべきだ。

-韓国は日本の「嫌韓」にどのように対処すれば、韓国文化に対する日本の関心という肯定的な側面を拡大していけるか。

 日本の大都市の50~60代男性と、地方の若い女性や青少年の韓国に対する認識は非常に差が大きい。日本国内では互いに融合しえない「2つの韓国」が競合している。嫌悪の韓国と羨望の韓国だ。日本において近代以来初めて、韓国を尊敬し、韓国の真似をしたいと考える日本人が登場している。困難な近現代史を乗り越えて作られた力が韓国文化の普遍的メッセージを作り出している。最近では嫌韓よりもこちらの方が著しい変化だ。嫌韓は長きにわたって続いてきたが、もはや拡張性が無く、退屈で面白くないと思われている。「この人たちの言っている通りなら、韓国は崩壊し、おかしな国になっているはずなのに、違うな」と首をかしげる人が増えている。このような状況を民間外交として活かすべきだ。五輪が開催されれば、堂々とした自信をもった姿勢で参加し、日本人の心を動かす外交で問題を解決すべきだ。

パク・ミンヒ論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )


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