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西江大学現代政治研究所のソ・ボクキョン責任研究員は「ろうそくで始まり、コロナ禍の対応で終わった」と指摘した。??

2021-05-10 | 文在寅大統領情報

「文在寅政権の4年、善意と価値示したが、力不足だった」

登録:2021-05-10 05:58 修正:2021-05-10 07:01
 
専門家ら「任期最後の1年、コロナ禍の克服と不平等の緩和に力入れるべき」と提言
 
大統領就任宣誓式を終えた文在寅大統領が2017年5月10日午後国会の前をパレードしながら市民たちに手を振っている=キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社

 2017年5月10日、のどかな春の日だった。文在寅(ムン・ジェイン)新大統領は就任宣誓で「国らしい国を作る」と約束した。真冬の広場で「これを国と言えるのか」という怒りから「朴槿恵(パク・クネ)弾劾」のろうそくを掲げた韓国の国民は彼に歓声を送った。あれからちょうど4年。本紙は政治専門家10人に文在寅政権の1460日間をどう評価するか、文大統領は残りの365日をどうやって送ればいいかのかについて、意見を聞いた。「善意を持って正しい価値を掲げたが、力量は足りなかった」という総評とともに、コロナ禍の終息と不平等の緩和に力を入れ、社会的対立を最小化すべきという診断が提示された。

「87年体制の破局…ろうそく連合の形骸化が最も残念」

 文在寅政権に対する期待が大きかっただけに、評価も厳しかった。延世大学のパク・ミョンリム教授は「文在寅政権は大量得点を抱えて出発した政権だという点を考えなければならない。文大統領が優れていたところもあったが、代案勢力の不在で反射利益を得た側面がある」と指摘した。慶南研究院のイ・グァンフ研究委員は「政権序盤で不動産政策の方向性を間違えており、所得主導成長が革新成長と不協和音を起こした時もうまく収拾できなかった。また包容国家と福祉国家のビジョンを最初から強く進められず、バランス発展政策も不十分だった」とし、「善良な意志に及ばなかった政策力量」だと要約した。西江大学現代政治研究所のソ・ボクキョン責任研究員は「ろうそくで始まり、コロナ禍の対応で終わった」と指摘した。時事評論家のキム・ミンハ氏は「『絶対に検察に負けない』という意志だけが残った」と指摘し、財団法人ワグルのイ・ジンスン理事長は「積弊清算は時代の価値ではなく道具にすぎないが、これに力を入れるあまり、他の進歩的な議題を実践できなかった」と指摘した。

 パク・ミョンリム教授は「この4年間、韓国社会で進歩と保守を分ける基準が失われたことが最も残念だ」と述べた。彼は「文在寅政権の中心勢力である86世代(1960年代生まれ)が観念的には進歩だが、実際の暮らしにおいてはそうではなかったうえ、実質的にも進歩の価値と目標を逆転させてしまった」とし、二極化の解消を掲げながらも不動産の高騰で資産の不平等が深刻化しており、エコを主張しながらも実際は予備妥当性調査(大型事業で政治的・経済的な妥当性を事前に検証する制度)の免除を受けた土建事業が多かったという点などを例に挙げた。

 専門家らは、文在寅政権が敵味方の陣営論理で「ろうそく連合」を自らの手で解体してしまった点も大きな悪手に挙げた。ザ・モアのユン・テゴン政治分析室長は「ろうそくの民意というのは強固な進歩と中道が結合した80%の世論」だとしたうえで、「この『ろうそく連合』が形骸化したのが最も残念」だと指摘した。イ・ジンスン理事長は「進歩-保守、労働-資本という構図の87年体制が終わってから、新たな進歩の多極化体制が実現されず、陣営を分ける論理だけが横行している」とし、「87年体制は事実上破局を迎えた」と指摘した。このほか、時事評論家のキム・スミン氏は「改憲など政治制度改革を成し遂げられず、残念だ」と話し、「政治する母親たち」の活動家のチャン・ハナ氏は「公共部門の非正規労働者の正社員化をめぐり、“公正”の問題が浮き彫りになった時、新しいビジョンで突破すべきだった」と指摘した。

「率直なコミュニケーションが必要…二極化の解決がカギ」

 任期満了まで残り1年となり、専門家らは評価とコミュニケーションの重要性を強調した。ソ・ボクキョン責任研究員は、「非正規労働者の正社員化など社会経済的な改革目標をなぜ達成できなかったのか、方向性は正しかったにもかかわらず、条件が合わなかったのか、最初から修正すべき具体的目標は何だったのかを、学界や市民社会とともに見直す場を開くべきだ」と主張した。イ・ジンスン理事長は「不動産問題は一朝一夕には解決できない難題であることを国民も知っている。『このような部分は簡単には解決できない』と率直に言うことも必要だ。長期的にはこうした方向で共に進もうと説得しなければならないのに、総合不動産税の緩和などその場しのぎの政策を掲げるから、国民は怒っている」と述べた。

 これからは国政運営の安定的管理と、新型コロナが残した傷跡を治癒するのに集中すべきという意見が多かった。政治評論家のユ・チャンソン氏は「文大統領は4年間分裂と対立に埋もれ、統合のリーダーシップを発揮できなかった」としたうえで、「政治的対立を誘発した事案よりは、新型コロナワクチンの接種など安定的管理に焦点を合わせなければならない」と助言した。イ・グァンフ研究委員は「今年末、集団免疫がある程度成功すれば経済が活性化されるだろうが、結局はK(韓国)防疫の成功くらいに、悪化した韓国の二極化を解決できるかどうかがカギ」だと話した。キム・ミンハ氏は「政権発足の初期には所得主導成長を掲げていたが、コロナ禍でいつの間にか消えてしまった。韓国をワクチンのハブ国にするなどの目標を打ち出す前に、コロナ禍で深刻な被害を被った階層への支援、雇用不安の解決に努めるべきだ」と述べた。

 パク・ミョンリム教授は「新型コロナによる危機克服の過程で、防疫と経済は国際指標などに比べても失敗していない。ワクチン接種率が高い国よりも感染者や死亡者の数値が良好だ。コロナ禍の最終段階を乗り越え、より根本的な福祉・安全・生命・環境の価値を回復することができれば、国民も評価するだろう」と述べた。慶煕大学のアン・ビョンジン教授は「ダブルスタンダードと不公正が文在寅政権の最も大きな失点要因だっただけに、これからは国民の目線に合わせて人事を行うなど、公正の基準を回復しなければならない」と指摘した。

イ・ワン、ソン・チェ・ギョンファ、キム・ミナ、シム・ウサム、ペ・ジヒョン、ノ・ジウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

親文でもなく非文(文在寅非支持派)でもない「無系派」を強調したソン候補は、今回で3回目の党代表選に挑戦し、故郷である全羅道地域の代議員の支持が強く形成されたという。

2021-05-04 | 文在寅大統領情報

韓国、共に民主党の新代表にソン・ヨンギル氏…

文在寅派の候補に0.59pで辛勝

登録:2021-05-03 10:36 修正:2021-05-03 13:51
 
初選議員のキム・ヨンミン氏が17.73%で最高委員に 
カン・ビョンウォン、ペク・ヘリョン、キム・ヨンベ、チョン・ヘスク議員ら当選
 
共に民主党の新代表に選出されたソン・ヨンギル議員(中央)と、(左から)キム・ヨンベ、ペク・ヘリョン、チョン・ヘスク最高委員、ユン・ホジュン非常対策委員長、キム・ヨンミン、カン・ビョンウォン最高委員が2日、ソウル汝矣島の党本部で開かれた臨時全国代議員大会で花束を掲げている/聯合ニュース

 4月7日の再・補欠選挙の敗北後の共に民主党を新しく率いる党代表に、5回当選のソン・ヨンギル議員(仁川桂陽乙)が当選した。新任のソン代表は、再・補選の惨敗を反省し、失敗した政策を改善して10カ月後に迫った大統領選挙で政権継続の重大な責任を負うことになった。

 民主党は2日、ソウル汝矣島(ヨイド)の党本部で臨時全国代議員大会(全党大会)を開き、ソン候補を党代表に選出した。ソン候補は代議員と権利党員の投票(それぞれ45%、40%)、一般党員と国民世論調査(それぞれ5%、10%)を合算した結果、最終得票率35.6%を得て、「親文(文在寅派)主流」のホン・ヨンピョ候補(35.01%)を僅差で制した。

 「86世代(80年代の民主化運動に関わった60年代生まれ)」の先頭走者であるソン候補の当選は、再・補選敗北後「親文一色の指導部」では政権再創出が厳しいという党内の危機感がある程度作用した結果と読み取れる。親文でもなく非文(文在寅非支持派)でもない「無系派」を強調したソン候補は、今回で3回目の党代表選に挑戦し、故郷である全羅道地域の代議員の支持が強く形成されたという。全国党大会の序盤で「ソン・ヨンギル優勢論」が起こったが、ホン・ヨンピョ候補が躍進するなど「親文主流」の終盤の結集力もあなどれなかった。ホン候補は権利党員の投票と国民世論調査では勝ったが、ソン候補は代議員投票と一般党員世論調査でリードし、勝利を確定させた。0.59ポイント差のぎりぎりの勝利だった。

 ソン新代表はこの日、当選が確定した後の受諾演説で「今は勝利に向けた変化のために躊躇なく前進しなければならない時」だとし「有能な改革、言行一致の民主党を作り、国民の生活を守り、国民の支持を得る」と述べた。さらに、不動産・ワクチン・半導体・気候変動・朝鮮半島平和繁栄を5つの重要課題に掲げたソン代表は、「情熱・献身・知恵を持ったすべての方を一つに集めてワンチームをつくる。党の誇らしい大統領選候補たちと意思疎通を図り、党内選挙を公正に管理する」と約束した。

 7人の候補者のうち5人を選んだ最高委員選挙では、「スーパー与党の力で鮮明な検察・言論改革」を主張したキム・ヨンミン議員(京畿道南楊州市丙・初選)が17.73%を得票して1位を占めた。再選のカン・ビョンウォン議員(ソウル恩平乙)、ペク・ヘリョン議員(京畿水原乙)がそれぞれ17.28%、17.21%を得票し、僅差で2・3位となった。キム・ヨンベ議員(ソウル城北甲・初選)とチョン・ヘスク議員(ソウル広津甲・3選)もそれぞれ13.46%、12.32%を得票し、最高委員に選出された。女性最高委員は当選圏に入らなくても最高得票者1人が自動選出される規定があるが、今回の全党大会ではペク・ヘリョン、チョン・ヘスク議員の2人が自力で党指導部に入った。今回の党代表・最高委員選挙は、イ・ナギョン元代表が大統領選出馬のため辞退し、再・補選の敗北後に指導部が総辞退したことで一度に行われた。新指導部の任期は、残りの任期である来年8月まで。

ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

オム・ギョンヨン所長は「解決されていない懸案があまり残っていないため、今の状況では支持率に大きな意味はない。40%を割り込んだ時、すでにレームダックに入っていた」と解釈した。

2021-05-02 | 文在寅大統領情報

20代離れ加速…文大統領の支持率、30%割れ

登録:2021-05-01 04:01 修正:2021-05-01 07:52
 
ギャラップの調査で29%、就任後最低 
「不動産政策まずい」81%急騰 
20代の支持率は20%まで墜落
 
文在寅大統領が4月29日午後、光州広域市光山区の光州グローバルモーターズで開かれた竣工記念行事で発言している/聯合ニュース

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領の国政遂行支持率が29%を記録し、就任後初めて30%を割った。特に、不動産政策や暗号通貨に対する非難などで、20代の支持離れが加速しているとみられる。レームダック(任期末に影響力が落ちる現象)の心理的な最後の防御線と評される30%以下へと支持率が下落したことで、国政運営力の弱体化も懸念されている。

 韓国ギャラップが今月27日から29日にかけて、全国の1000人の有権者を対象に文大統領の職務遂行評価を尋ねた調査(信頼水準95%、標本誤差±3.1ポイント)の結果、肯定的評価は29%、否定的評価は60%だった。職務肯定率は先週(31%)より2ポイント下落し、就任後最低となった。3月第1週の調査(40%)以降、下落し続けていたが、20%台にまで落ち込んだのは今回が初めて。

 大統領の国政遂行支持率の下方圧力を高める最も大きな原因に挙げられのは、不動産政策に対する評価だ。職務遂行を否定的に評価した回答者は、その理由として「不動産政策」(28%)を最も多く挙げ、続いて「新型コロナウイルス対処不十分」(17%)、「経済/国民生活問題解決不足」(9%)の順だった。分野ごとの政策評価でも、不動産政策に対する肯定的な評価は9%で最も低く、否定的な評価は81%まで跳ね上がった。

 
文在寅大統領の3~4月の支持率の推移=資料:韓国ギャラップ//ハンギョレ新聞社

 全ての世代で否定評価が肯定評価を上回った中で、60代以上の否定評価が62%で最も高く、続いて20代(62%)、50代(61%)、40代(52%)、30代(49%)の順で否定評価が高かった。特に、20代の支持離れが加速していることが分かった。2週間前には27%だった20代の肯定率は、先週25%に下落したのに続き、今週は21%にまで落ちた。韓国ギャラップが同じ期間に調査した文在寅政権の不動産政策に対する評価でも、肯定的に評価すると回答した18~29歳は4%のみだった。時代精神研究所のオム・ギョンヨン所長は「30%を割り込んだ大きな原因の一つは、20代における支持率下落だ。仮想通貨と株式譲渡税、不動産、ジェンダー問題などが20代の民意の離反をあおっている」と指摘した。

 理念傾向ごとに見ると、中道層での文大統領の支持率は28%で、平均以下だった。保守層は10%、進歩層は61%だった。地域ごとに見ると、ソウルが先週より2ポイント下落の29%で、大田(テジョン)・世宗(セジョン)・忠清道は先週より12ポイント下落の24%だった。政党支持率では、共に民主党が33%、国民の力が28%だった。2週間前の4月第3週の調査から、文大統領の支持率が民主党の支持率を下回る「デッドクロス」現象が続いている中、わずか1%だった格差は4%にまで広がった。リアルメーターのペ・チョルホ首席専門委員は「大統領の支持率と党の支持率の逆転は力関係の変化を意味し、政権末期の危険なシグナルとなり得る」と述べた。

 
大統領職務遂行評価。実線が肯定評価、点線が否定評価。上段は最近20週、下段は昨年4月~今年4月=韓国ギャラップのウェブサイトより//ハンギョレ新聞社

 支持率が30%を割り込んだことで、任期を1年残す文大統領の国政運営動力の喪失を指摘する声も出ている。インサイトKのペ・ジョンチャン所長は「3人に1人の支持も得られない大統領ということは、核となる支持層さえ離れていく国政動力のまひや喪失と解釈しうる」と述べた。一方、オム・ギョンヨン所長は「解決されていない懸案があまり残っていないため、今の状況では支持率に大きな意味はない。40%を割り込んだ時、すでにレームダックに入っていた」と解釈した。今回の調査は電話調査員によるインタビュー形式で行われ、回答率は16%だった。

チャン・ナレ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

カン報道官は「今回の首脳会談で両国首脳は堅固な韓米同盟の持続的な発展と、朝鮮半島の完全な非核化および恒久的な平和定着の進展のための緊密な協調案などについて深く議論するものと期待される」と伝えた。

2021-04-17 | 文在寅大統領情報

文大統領、5月下旬にワシントンでバイデン大統領と初の対面首脳会談

登録:2021-04-16 08:38 修正:2021-04-16 11:37
 
2月4日、文在寅大統領がジョー・バイデン米大統領と電話会談を行なっている=大統領府提供//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が5月下旬に米国のワシントンを訪問し、ジョー・バイデン大統領と初の首脳会談を行う。バイデン大統領が今年1月20日に就任してから約4カ月で実現する両首脳の初の対面会談となる。

 大統領府のカン・ミンソク報道官は15日夜、書面ブリーフィングで「文大統領はバイデン大統領の招待で5月後半にワシントンを訪問し、韓米首脳会談を開催する予定」と明らかにした。具体的な日程は新型コロナの防疫状況によって決まるものとみられる。カン報道官は「今回の首脳会談で両国首脳は堅固な韓米同盟の持続的な発展と、朝鮮半島の完全な非核化および恒久的な平和定着の進展のための緊密な協調案などについて深く議論するものと期待される」と伝えた。

 これに先立ち、文大統領は2月4日、バイデン大統領との初の首脳電話会談で「なるべく早いうちに包括的な対北朝鮮戦略を一緒に講じる」ことにした。大統領府は当時、「新型コロナの状況が落ち着き次第、韓米首脳会談を開くことにした」と明らかにし、対面での首脳会談を引き続き進めてきたが、新型コロナの感染拡大のため、日程を決めるのが容易ではなかったという。今月初め、ソ・フン大統領府国家安保室長が米国で韓米日安全保障高官会議に出席した後、「なるべく早期に韓米首脳会談を開催すると協議した」と明らかにした。

 文大統領は今回の首脳会談を通じて、朝米対話など朝鮮半島平和プロセスについてバイデン大統領と意見を交わすものと見られる。半導体サプライチェーンの拡充など韓米両国間の関心事や、新型コロナへの対応、気候変動なども議論のテーマになる見通し。大統領府は、文大統領の米国訪問の具体的な日程は調整中だと述べた。

イ・ワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

韓日プラットフォーム、

バイデン大統領宛てに北朝鮮政策の転換求める書簡送る

登録:2021-04-16 06:03 修正:2021-04-16 07:43
 
懸念示す 
「恒久的な平和もたらせない」 
韓日の市民団体・宗教団体が昨年結成
 
「韓日和解と平和プラットフォーム」が米国のジョー・バイデン大統領に送った書簡//ハンギョレ新聞社

 韓国と日本の市民社会団体と宗教団体が共同で結成した「韓日和解と平和プラットフォーム(韓日プラットフォーム)」が、バイデン大統領ら米政府の主要人物に北朝鮮政策の前向きな転換を求める書簡を送った。

 「韓日プラットフォーム」は15日、最近の米政府が韓米日軍事協力の強化に向け、韓日両国政府に植民地支配による過去の清算などに関する政治的妥結を求めていることに懸念を示し、「歴史認識の問題をないがしろにした政治的妥協は、韓日関係を不安定にするものであり、この地域に恒久的な平和をもたらせない」という要旨の声明を米国のジョー・バイデン大統領やハリス副大統領、アントニー・ブリンケン国務長官、ナンシー・ペロシ下院議長、100以上の市民社会団体とカトリック・プロテスタント・ユダヤ教の団体代表らに送ったと発表した。

 韓日プラットフォームは声明で「バイデン政権が朝鮮半島平和プロセスの進展を通じて南北と韓日・朝米関係を飛躍的に改善させ、朝鮮半島に平和を定着するよう最善を尽くしていくことを望む」とし、「韓国をクアッド(QUAD)同盟体制に編入させ、北東アジアで新冷戦体制を強化すると共に、朝鮮半島の分断体制をさらに堅固にすることに反対する」と明らかにした。さらに「朝鮮戦争の終結に合意するのは、北朝鮮に非核化を求める外交カードではなく、戦争による凄惨な歴史、分断の歴史を終わらせることだ」と強調した。

 「韓日プラットフォーム」は昨年7月、韓国側からイ・ホンジョン韓国基督教教会協議会総務、チョン・インソン円仏教平壌教区長、ハン・チュンモク韓国進歩連帯常任代表、クォン・テソン環境運動連合共同代表などが、日本側から「群馬諸宗教者の集い」の小野文珖代表、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動」の高田健代表、ピースボートの野平晋作共同代表、日本カトリック正義と平和協議会の光延一郎総務などが参加して発足した。

チョ・ヒョン宗教専門記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

文大統領は「韓国はこの分野で非常に恥ずかしい水準だ。女性がキャリアの断絶なく、より多くの場でより多く働く時、抱擁的な回復と跳躍も早まることだろう。政府がまず模範を示すよう目標を高めていく」と

2021-03-09 | 文在寅大統領情報
 

文大統領「慰安婦被害者をはじめ、

女性により苛酷だった韓国の近現代史に思いをはせ」

登録:2021-03-09 04:48 修正:2021-03-09 07:49
 
SNSに国際女性デーに関する書き込み
 
文在寅大統領がSNSにアップした文章//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が8日の国際女性デーを迎え、「慰安婦被害者をはじめとして、女性たちにとってより苛酷だった韓国の近現代史に思いをはせつつ、屈せずに女性の地位を高めてきたすべての女性たちに敬意を表する」と述べた。

 文大統領はこの日、フェイスブックなどのSNSに「国際女性デーおめでとうございます」との見出しをつけた文章をアップした。文大統領はこの文章で「国連女性機関(UNウィメン)の定めた本年の『国際女性デー』のテーマは『リーダーシップを発揮する女性たち:コロナ禍の世界で平等な未来を実現する』だ」とし「各分野で女性が同等な権利を持ち、指導者の役割が果たせる世の中を作っていく」と明らかにした。文大統領は「韓国はこの分野で非常に恥ずかしい水準だ。女性がキャリアの断絶なく、より多くの場でより多く働く時、抱擁的な回復と跳躍も早まることだろう。政府がまず模範を示すよう目標を高めていく」と付け加えた。

 文大統領はまた、パク・ワンソの小説『私がいちばん最後まで持っているもの』に出てくる「私が見て感じる私がもっと重要だ」というくだりを引用しつつ「私たちは長い間、周辺によって規定された人生を生きねばならなかったし、女性たちは何倍もの困難を経験した」とし「しかし、偏見と差別を乗り越えて自分を見出した女性たちがおり、おかげで私たちは互いの感情と生を尊重する方法を学び、実践するようになった」と記した。文大統領は「コロナの困難の中でも、女性たちは危機克服の支えとなり、より多くの苦しみを経た。深く感謝の意を表し、また重い責任を感じる。私たちが誇らしく『国際女性デー』を祝える日が来ることを祈る」と結んでいる。

イ・ワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

米国のジョー・バイデン政権の発足後も、韓日関係に薫風が吹くまではかなりの時間がかかるものと見られる。

2021-03-03 | 文在寅大統領情報
文大統領の任期中に韓日関係の改善は可能だろうか
登録:2021-03-02 05:21 修正:2021-03-02 07:19


      

文在寅大統領が今月1日午前、ソウル鍾路区のタプコル公園で開かれた第102周年三一節記念式典で、独立運動に参加したイム・ウチョル愛国志士と挨拶を交わしている/聯合ニュース

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は1日、三一節(独立運動記念日)記念式典での演説で、歴史問題と他の懸案を切り離す「ツートラック」アプローチに基づき、韓日関係を改善する意志を改めて強調した。しかし、強制動員被害者問題と日本軍「慰安婦」賠償判決など、主な懸案について、日本が期待していた“具体的な解決策”は提示しなかった。米国のジョー・バイデン政権の発足後も、韓日関係に薫風が吹くまではかなりの時間がかかるものと見られる。

 今年の三一節記念式典における文大統領の演説は、韓日関係の改善と韓米日三角協力の復元を強調してきたバイデン米大統領就任後初めて公開されるもので、国内外から大きな注目を集めた。しかし日本が執拗に要求してきた懸案解決のための韓国の“譲歩案”は示さなかった。その代わり「韓国政府は常に被害者中心主義の立場で賢明な解決策を模索する」という原則的な立場と「韓日両国の協力と未来の発展のための努力も怠らない」という協力意志を同時に示す「ツートラック」基調を改めて確認した。さらに、「韓日協力は両国だけではなく、北東アジアの安定と共同繁栄にも、また韓米日3カ国の協力にもプラスになるだろう」と述べ、協力の必要性を重ねて強調した。韓国には韓日関係を円満に解決しようとする意志があるが、日本の“強硬な態度”のため、それが実を結んでいないことをバイデン政権に間接的に伝える形を取ったのだ。

 韓国政府は昨年9月に菅義偉首相が就任した後、「最も近い隣国である日本政府といつでも対話し、コミュニケーションを取る準備ができている」として対話を呼び掛けており、昨年11月にはパク・チウォン国家情報院長が直接日本を訪れ、「東京平和五輪」開催の成功に向け、積極的に協力する考えを明らかにした。

 しかし韓国のこうした融和的な姿勢にもかかわらず、日本は「関係改善のきっかけは韓国みずから作るべきだ」として、強硬な姿勢を崩さなかった。今年1月8日、日本政府が慰安婦被害者に直接賠償しなければならないという裁判所の判決が出てからは、菅首相と茂木敏充外相が新任のカン・チャンイル駐日韓国大使と面会を拒否し、チョン・ウィヨン外交部長官と電話で会談にも応じない冷淡な態度を維持している。このような状況で、文在寅政権が歴史問題に取り組む大原則と言うべき「被害者中心主義」を破ってまで日本との関係改善に乗り出す必要はないという判断を下したものと見られる。

 今後、両国が関係改善を試みるとしても、合意案をまとめるのは容易ではないのが現状だ。文大統領は同日も「易地思之(相手の立場に立って考えること)の姿勢で膝を突き合わせれば、過去の歴史問題もいくらでも賢明に解決できる」と韓日共同の努力を強調したが、日本は「(慰安婦への賠償判決は)国際法に明らかに反する。韓国に対し、国家として自らの責任で直ちに国際法違反の状態を是正するために適切な措置を講じることを求める」(1月23日、外相談話)とし、韓国の一方的な譲歩を求めている。日本国内の状況に目を向けても、新型コロナと菅首相の長男の総務省官僚接待問題などの政治スキャンダルのため、韓国と交渉を進める状況ではない。

 結局、韓日関係が解決するには、早ければ4~5月頃に新型コロナワクチンの効果が確認されて、各国が防疫に自信を持つようになり、バイデン政府が対北朝鮮政策を公開して不確実性を最小化するなど、東京五輪を「朝鮮半島平和プロセス」再稼働のための契機にする諸条件が整うことが必要であるとみられる。韓日関係を先に解決してこそ南北関係改善と朝米対話のきっかけができると判断した時、文大統領にとっても“譲歩の名分”が生まれるからだ。見方を変えれば、7月の東京五輪という機会を逃した場合、来年5月までの文大統領の任期内に韓日関係改善の新たな機会をつかむのは困難であることを意味する。
キル・ユンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

 文大統領は同日、三一節記念式典での演説で「過去に足を引っ張られるわけにはいかない」とし、「韓国政府はいつでも日本政府と向き合って対話する準備ができている」と述べた。

2021-03-02 | 文在寅大統領情報
日本、文大統領の三一節記念演説に「韓国側の具体的提案を注視」
登録:2021-03-02 05:23 修正:2021-03-02 07:29


加藤官房長官、定例記者会見で従来の立場を繰り返す 
日本メディアも「新しい提案はなかった」 
文大統領、日本政府に対話を再度提案

      

文在寅大統領が1日午前、ソウル鍾路区のタプコル公園で開かれた第102周年三一節記念式典で演説している/聯合ニュース

 日本政府は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が1日の三一節記念式典での演説で、日本に再度対話を提案したことについて、「重要なことは、両国の間に(強制動員と慰安婦問題など)懸案の解決のため、韓国が責任を持って、具体的に対応をすること」だと述べた。これまで日本政府は、韓日関係の改善のために韓国側が先に解決策を講じるよう求めてきたが、その延長線上にあるものとみられる。

 加藤勝信官房長官は同日の定例記者会見で、文大統領の三一節記念式典での演説に対する意見を問う質問に「現在日韓関係は旧朝鮮半島出身労働者問題や『慰安婦』問題など、非常に厳しい状況にある」と述べた。さらに「文在寅大統領の個々の発言に対するコメントは差し控えたい」としながらも、「重要なことは、両国の懸案解決のため、韓国が責任を持って具体的に対応していくこと」だと述べるなど、従来の立場を繰り返した。「具体的な提案を注視していきたい」とし、「(これが)日本政府の立場」だと付け加えた。

 加藤官房長官は「韓国は重要な隣国」であり、「北朝鮮問題に対して日韓、日米韓の連携は不可欠」だとしたうえで、「日韓が健全な関係に戻すためにも、日本の一貫した立場に基づき、引き続き韓国側に適切な対応を強く求めていく」と強調した。

 日本メディアも文大統領の三一節記念式典での演説について「具体的で新しい提案はなかった」と報道した。共同通信は文大統領の発言について「歴史問題と切り離して日本との協力を進めたい意向を強調したが、日本政府への具体的な要求や新しい提案はなかった」と報じた。同通信はさらに、「日本についても、慰安婦・元徴用工など当事者に対しても、明確なメッセージのない演説で、依然として事態打開の見通しは立たない」と付け加えた。読売新聞も文大統領の演説について「改善への意欲を示した」としながらも、「元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)や元慰安婦問題の解決に向けた具体的な言及はなかった」と報じた。

 文大統領は同日、三一節記念式典での演説で「過去に足を引っ張られるわけにはいかない」とし、「韓国政府はいつでも日本政府と向き合って対話する準備ができている」と述べた。
キム・ソヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

大統領府は4日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領とジョー・バイデン米大統領が今回の電話会談で、共通の話題で話が弾んでいたと伝えた。

2021-02-05 | 文在寅大統領情報
韓米電話首脳会談にローマ教皇が登場した理由とは
登録:2021-02-05 06:27 修正:2021-02-05 07:50

朝鮮半島の平和実現における「ローマ教皇役割論」への期待反映か

        

2018年10月18日、ローマ教皇庁(バチカン)を訪問した文在寅大統領が教皇フランシスコと記念撮影をしている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 「カトリック」の話題で口火を切り、「ローマ教皇」で通じ合った会談だった。4日、韓米首脳間の電話会談の潤滑油となったのは、「カトリック」という共通点だった。大統領府は4日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領とジョー・バイデン米大統領が今回の電話会談で、共通の話題で話が弾んでいたと伝えた。両首脳は共にカトリック信者であり、ローマ教皇フランシスコとの会話に触れるなど、和気あいあいとした雰囲気だったという。

 大統領府関係者は同日午前に行われた首脳通話に関し、「両首脳が幅広いテーマでかなり多くの会話を交わした。バイデン大統領は『文大統領と私がカトリック信者だから、ローマ教皇とコミュニケーションを取ろう』という趣旨の発言をした」と伝えた。バイデン大統領は「当選直後、ローマ教皇が祝いの電話をくださった記憶がある。当時、気候変動や民主主義などさまざまな話をしたが、文大統領と話をしてみると、二人の見解は似ているようだ」と述べた。これを受け、文大統領も「ローマ教皇とお話する機会があった。教皇は北東アジアの平和安定と気候変動などを懸念されていた。ご自身が直接役割を引き受ける用意があるともおっしゃった。教皇と協力する必要がある」と述べたという。

 文大統領がこの日ローマ教皇との対話に触れたのは、単なる「アイスブレーキング」のレベルではなかったと見られる。硬直した朝米関係を改善する仲裁者として、朝鮮半島の平和問題に関心が高いローマ教皇フランシスコを念頭に置いたという分析もある。新型コロナウイルスの感染拡大が鎮静化する今年下半期頃には、ローマ教皇の訪朝問題が自然に取り上げられる可能性も排除できない。ローマ教皇の訪朝が実現する場合、朝鮮半島問題に対する国際社会の関心を再び高められる一方、ハノイでの首脳会談が物別れに終わって以降、疎遠になっていた朝米対話の再開にもかなり役立つものと大統領府はみている。

 これに先立ち、文大統領は2018年にローマ教皇庁(バチカン)を訪問した際、教皇フランシスコを招待したいという金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の意向を伝えた。教皇フランシスコは当時「(北朝鮮から)招待状が届けば、必ず返信する。私は(北朝鮮に)行く用意がある」と述べるなど、積極的な態度を示した。
イ・ワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

これに先立ち、日本は昨年7月の「2020年防衛白書」で、これに先立ち、日本は昨年7月の「2020年防衛白書」で、

2021-02-03 | 文在寅大統領情報
韓国国防部、2020年国防白書で日本を「パートナー」のかわりに
「隣国」と表記

登録:2021-02-03 06:24 修正:2021-02-03 06:58


最近の韓日関係悪化を反映か 
「9・19軍事合意、南北間緊張緩和に寄与」 
北朝鮮を敵と特定せず、包括的に規定

      

2020年国防白書と2018年国防白書//ハンギョレ新聞社

 2年ごとに発刊される韓国の「2020年国防白書」で、日本について「パートナー」という表現が削除され、「隣国」とだけ表記された。

 韓国国防部は2日、こうした内容が含まれた「2020年国防白書」を発刊した。同白書によると、日本について「両国関係だけでなく、北東アジアおよび世界の平和と繁栄のためにも、共に協力していかなければならない隣国」と説明した。2018年の国防白書では「韓日両国は地理的、文化的に近い隣国であり、世界平和と繁栄のために共に協力していかなければならないパートナー」としたが、今回は「パートナー」という規定が抜けたのだ。

 これは最近最悪の状態にある韓日関係が反映された記述とみられる。これに先立ち、日本は昨年7月の「2020年防衛白書」で、日本の安保協力対象国として、オーストラリアやインド、ASEAN(フィリピンなど東南アジア10カ国)に続き、これに先立ち、日本は昨年7月の「2020年防衛白書」で、

 今回の国防白書はまた、日本の歪曲された歴史認識と独島(日本名・竹島)の領有権主張、2018年12月の海上自衛隊哨戒機による威嚇飛行、2019年7月の輸出規制などを一つひとつ取り上げ、両国の国防関係の未来志向的発展に障害要素になっていると記した。また韓国政府はいつでも韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の効力を停止できる状態を維持しているとし、今後も日本の「一方的かつ恣意的な措置に対し、断固として厳重に対処する」方針を明らかにした。ただし、共同の安全保障懸案については引き続き協力することも強調した。これについて国防部当局者は「外交部など関連省庁と協議した結果、国防部としては隣国と記述するのが妥当だと判断した。韓日関係がギクシャクしている状況なども考慮された」と述べた。

 同白書は2018年に南北の間で締結された9・19軍事合意について「南北の軍事的緊張が画期的に緩和された」と高く評価した。白書は「北朝鮮軍は過去、軍事境界線5キロメートル以内の区域で多数の砲兵射撃および野外機動訓練を持続的に実施してきたが、9・19軍事合意以降は一切実施していない」と明らかにした。また、これまで100回以上の銃撃・砲撃挑発が発生した非武装地帯でも、「2020年5月に中部戦線の韓国側監視哨所に向けて銃撃事件が発生したことを除いては、いかなる軍事的緊張も発生していない」とし、西海緩衝区域でも北朝鮮軍が「2019年11月に昌麟島(チャンリンド)で海岸砲射撃を除いては艦砲・海岸砲の実射撃および海上機動訓練を実施しておらず、北朝鮮海軍艦艇の北方限界線侵犯事例も発生していない」と明示した。国防部当局者は「北朝鮮の9・19軍事合意違反事例は、2019年11月の昌麟島海岸砲射撃訓練と2020年5月の非武装地帯監視哨所(GP)による銃撃の2件」だと述べた。

 北朝鮮の核能力については、プルトニウムは50キログラム以上、高濃縮ウランは「相当量」を保有しており、核兵器小型化能力は「相当な水準」だという2018年白書の評価をそのまま維持した。国防部当局者は「北朝鮮がこれまで再処理施設を稼動した兆候が見られず、プルトニウム保有量も変わらないものと見ており、ウラン濃縮施設や核兵器小型化技術は密かに進められているため、正確に評価する資料が足りない」と説明した。

 北朝鮮のミサイル能力については「2019年以降、作戦運用上の管理に有利な多種の固体推進短距離弾道ミサイルと新型潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)北極星-3型の発射実験を行った」と記した。また、昨年10月の党創建75周年記念軍事パレードに登場した弾道ミサイルは、新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)、「北極星-4ㅅ」など9種だと明らかにした。

 北朝鮮が2019年に登場して以来“超大型放射砲”と称した兵器は、今回の白書で短距離弾道ミサイル(SLBM)に分類された。放射砲は連続射撃能力が特徴的で、飛行軌跡も弾道ミサイルと少し異なるという。国防部当局者は「北朝鮮は全体システムの側面から放射砲と規定したものとみられる。われわれは発射体が弾道ミサイルに近い機能を示すことから、短距離弾道ミサイルと規定している」と述べた。

 このほか、北朝鮮が運用するミサイル旅団は2018年白書では9個だったが、今回の白書では13個に増え、機械化歩兵師団は4個から6個に増えた。また、特殊戦部隊の地位を強化するために、特殊作戦群を別途の軍種に分類していると指摘された。国防部当局者は北朝鮮のミサイル旅団増加に対して「これまで一部マスコミと専門家たちの間で、13個と見るべきという声が持続的にあがってきたため、今回これを受け入れた」とし、「しかし実際それだけのミサイルが配備されて編制されたのかなど、具体的な内容はもう少し確認しなければならない」と述べた。また機械化歩兵師団について「実際に増えたわけではなく、当初機械化歩兵軍団と把握していたものが、昨年10月の党創建75周年記念軍事パレードで師団とされたことが確認され、これを反映して修正された」と説明した。

 同白書は、韓米合同軍事演習が昨年、陸軍29回、海軍70回、空軍66回、海兵隊7回を実施されたと記録した。海・空軍は前年に比べてそれぞれ9回、49回増えており、陸軍と海兵隊は同期間60回、17回ずつ減った。国防部当局者は「コロナ禍でも海・空軍は非対面演習が可能だが、陸軍と海兵隊の演習は人が集まらなければならないため、差が生じた」と述べた。

 今回の白書には「北朝鮮は敵」という表現は含まれなかった。2018年国防白書同様、北朝鮮など特定国家や勢力を対象にせず「韓国軍は大韓民国の主権、国土、国民、財産を脅かし侵害する勢力を我々の敵とみなす」と包括的に規定した。これについて国防部は「2018年国防白書の内容を維持し、北朝鮮の脅威だけでなく潜在的脅威、超国家的かつ非軍事的安保脅威を包括できる概念として記述された」と明らかにした。

 同日公開された白書は、2日から国防部ホームページで閲覧とダウンロードが可能で、政府機関と国会、研究所、図書館などには今月中に冊子として配布される予定だ。また、英語と中国語、日本語、ロシア語など多言語要約版も今年上半期に発刊される。国防白書は2年に1回、国防政策広報などのために発行されるもので、今回の白書が1967年以降24回目だ。
パク・ビョンス先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

「ただでさえ国民生活が厳しい状況で、捨てるべき旧時代の遺物のような政治で対立を煽り、政治を後退させないでほしい」とし「国民生活問題の解決をめぐり、より良い政策で競争しつつ協力する政治となることを願う」

2021-02-02 | 文在寅大統領情報
文大統領「旧時代の政治で対立煽る」…「原発攻勢」に決意の批判
登録:2021-02-02 02:07 修正:2021-02-02 07:45


      

文在寅大統領が1日午後、大統領府で開かれた首席・補佐官会議で発言している/聯合ニュース

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は1日、野党による「対北朝鮮原発支援疑惑」攻勢を「旧時代の遺物のような政治」と規定して、野党第一党「国民の力」のキム・ジョンイン非常対策委員長などの野党指導者たちに向けて「政治を後退させるな」と要求した。

 文大統領はこの日午後、大統領府で開いた首席・補佐官会議の冒頭発言で「ただでさえ国民生活が厳しい状況で、捨てるべき旧時代の遺物のような政治で対立を煽り、政治を後退させないでほしい」とし「国民生活問題の解決をめぐり、より良い政策で競争しつつ協力する政治となることを願う」と述べた。

 文大統領のこうした発言は、2018年4月27日の南北首脳会談当時、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長に渡したUSBメモリに入った資料の中に、原発建設の提案が入っているという野党の疑惑提起に向けたものとの解釈が有力だ。文大統領としては、「脱原発」問題を「北朝鮮の核」フレームに流し込んで政治的に利用しようとする野党の試みに、表現は最大限抑えつつも、厳重なメッセージを投げかけたかたちだ。

 国民の力のキム・ジョンイン非常対策委員長は先月29日、「月城(ウォルソン)原発1号機経済性操作疑惑事件」に関する検察の起訴状にもとづき、「大韓民国の原発を閉鎖し、北朝鮮に極秘裏に原発を建設しようとしたことは、政権の運命を揺るがす利敵行為だ」と主張した。これに対し、大統領府のカン・ミンソク報道官は「到底信じられない、世人を惑わす発言」と述べており、「(北朝鮮に渡した)資料には『原発』の『げ』の字も入っていない」(民主党のユン・ゴニョン議員、前大統領府国政状況室長)、「建設費用だけでも5兆ウォン(約4690億円)かかり、建設期間が10年以上かかる原発をどうやって極秘裏に合意できるのか」(ユン・ヨンチャン議員、元大統領府国民疎通首席秘書官)などの与党側の反論も続いている。

 大統領府のある高官は、この日も記者団に対し「一線を越える政治攻勢だ。イデオロギー論だ」と激昂する内部の雰囲気を伝えた。産業通商資源部の公務員が南北協力のための政策アイデア程度に作成したものを、「北朝鮮に極秘裏に原発を建設しようとした」と結びつけるのは、選挙を前にして行われる典型的な政治攻勢だというのだ。

 文大統領はこの日の発言で、新型コロナウイルス感染症の防疫措置で苦しんでいる国民に対する申し訳なさも表明した。文大統領は「一部の宗教施設などの集団感染により、(感染者数が)再び増える事態が繰り返され、結局は自営業者をはじめとする国民生活の厳しい状況が続くことになり、非常に残念だ」とし、「特に営業時間を1時間でも増やしてほしいという要求すら受け入れることができず、再び決定を先送りにしてしまい大変申し訳ない」と述べた。また「昨年の秋夕(チュソク。陰暦8月15日)に続き、今回の旧正月にも故郷への訪問と移動の自粛をお願いすることになり、非常に心苦しい」と述べた。

 そして文大統領は、営業損失に対する補償対策の策定が進められていると述べた。文大統領は「社会全体で損失と苦痛を分かち合う現実的な解決策を模索しなければならないだろう」とし、「政府の防疫措置で発生する損失を補償する制度的方策を用意するとともに、それまでに発生する被害に対する支援策も講じる」と述べた。
イ・ワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

文大統領は「原告が同意できる方法を両国政府が協議し、韓国政府がその案を持って原告への最大限の説得を成し遂げ、そのような形で問題をきちんと解決していくことができると信じる」と述べた。

2021-01-19 | 文在寅大統領情報
文大統領「慰安婦判決、正直少し困惑しているのが事実」
登録:2021-01-19 04:43 修正:2021-01-19 07:26


年頭記者会見で韓日関係改善への意向を明らかに 
「被害者が同意する解決策を日本と協議する」

      

文在寅大統領が18日、大統領府春秋館でオン・オフの混合方式で行った年頭記者会見で、懸案に対する立場を明らかにしている間、ユ・ヨンミン秘書室長、ソ・フン国家安保室長、キム・サンジョ政策室長が文大統領を眺めている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、日本軍「慰安婦」被害者への賠償問題について国際慣習法上の国家免除(主権免除)の原則を適用しなかった8日の裁判所判決に対し「正直、少し困惑しているのが事実」だと述べた。また、韓日対立の主な契機となった2018年10月の強制動員被害者への賠償判決については「強制執行の方式で現金化されたり判決が実現する形は望ましくない」という見解を明らかにした。昨年9月の菅義偉政権発足後に示した韓日関係改善への意向をもっと明確にしたと評価される。

 文大統領は18日に大統領府の春秋館で行われた年頭記者会見で、韓日間で解決しなければならない懸案として、日本の輸出規制問題と強制徴用被害者の判決問題に言及し、「(問題解決のための外交的)努力をしているなかで、慰安婦判決問題が加わり、正直少し困惑しているのが事実」だと述べた。最高裁の強制動員被害者への賠償判決をめぐり、2019年下半期に韓国と日本が激しい対立を経た後、外交的解決策を模索している最中に予期しない要因が加わったという意味だ。当初政府は、韓国の裁判所が「他国の主権行為は裁判できない」という国際慣習法上の国家免除の原則を尊重し、この判決を棄却するだろうと予想していたという。特に「慰安婦」問題の場合、2015年末の12・28合意を経て日本政府が国家予算10億円(約108億ウォン)を投入し「和解・癒やし財団」を作り、相当数の被害者に「慰労金」を渡した状況だ。「慰安婦」賠償に関連し、現在進行中の二つの裁判の原告32人中の相当数が、財団が支給した1億ウォン(約940万円)の慰労金を受けたことが報じられている。

 しかし文大統領は、外交的解決策を導き出すにしても「原告の同意」が必要だというこれまでの立場を再確認した。文大統領は「原告が同意できる方法を両国政府が協議し、韓国政府がその案を持って原告への最大限の説得を成し遂げ、そのような形で問題をきちんと解決していくことができると信じる」と述べた。日本側は強制徴用問題の解決なしには韓日関係の改善は難しいという態度を固守している。
キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

コロナ、人口減少、地方の均衡発展などの共同の課題に直面しているだけに、これらの分野での協力のための交流とコミュニケーションが活発に行われるように努めてほしい」と述べた。

2021-01-16 | 文在寅大統領情報
文大統領
「時に問題が生じても韓日関係全体が足を引っ張られてはならない」

登録:2021-01-15 01:18 修正:2021-01-15 08:06


カン・チャンイル駐日大使に信任状授与 
韓国を去る冨田日本大使と面会

      

文在寅大統領が14日、カン・チャンイル駐日大使に信任状を授与した=大統領府提供//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、カン・チャンイル新任駐日大使と、韓国を離れる冨田浩司駐韓日本大使と相次いで面会し、韓日両国間の対話努力を要請した。日帝強占期の強制徴用被害者や日本軍「慰安婦」被害者への賠償問題の解決策をめぐって韓日対立が先鋭化している中、両国関係改善の意志を表現したものと見られる。

 文大統領は14日午後、カン・チャンイル大使に信任状を渡し、「時に問題が生じたとしても、その問題によって未来志向的に発展すべき両国関係全体が足を引っ張られてはならない」とし「それはそれとして解決策を見出すとして、未来志向的発展関係に向けた対話努力は別途続けなければならない」と述べた。

 文大統領はこの日、両国の未来志向的な発展を強調した。文大統領は「現在は困難があるものの、韓日両国は長い歴史を共有する最も近い隣人であり、北東アジアと世界の平和と安定のための協力のパートナーでもあるだけに、両国関係は未来志向的に発展しなければならない」と述べた。

 文大統領はまた「政治的能力のある日本の専門家が新任の駐日大使として赴任することになり嬉しい」とし、「カン・チャンイル大使の赴任をきっかけとして、両国関係が大きな発展を遂げることを願う。カン大使の役割を期待する」と述べた。続いて「韓日両国は伝統的分野だけでなくコロナ、人口減少、地方の均衡発展などの共同の課題に直面しているだけに、これらの分野での協力のための交流とコミュニケーションが活発に行われるように努めてほしい」と述べた。

 文大統領は、カン大使に信任状を渡すのに先立ち、午前には駐米大使の辞令を受けて韓国を離れる冨田日本大使とも30分にわたり面会した。文大統領は冨田大使に「韓日両国は最も近い隣人であり、北東アジアと世界の平和・繁栄のために共に歩むべき最も重要なパートナーだ。両国間のコミュニケーションと対話、交流協力は必ず発展させ続けていかねばならない」と述べた。また、現在両国が抱えている問題について話し合う中で、「韓日両国は建設的で未来志向的な関係を早期に修復していく必要がある」と強調したと大統領府は伝えた。さらに文大統領は、冨田大使が駐米大使に赴任した後も、韓日関係の発展と韓米日協力に向けて努力を続けてくれるよう頼んだ。
イ・ワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

政権5年目に入っただけに、改革と変化よりは新型コロナの克服と国民経済に集中するという基調だと解釈される。

2021-01-12 | 文在寅大統領情報
文在寅大統領の新年の辞、
変化と改革より「回復」と「包容」に重点

登録:2021-01-12 06:07 修正:2021-01-12 06:45


      

文在寅大統領が11日、大統領府本館で新年の辞を発表している=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は11日、今年の新年の辞で「回復」と「包容」を国政運営のキーワードとして前面に出した。昨年に全世界を襲った新型コロナウイルス感染症による生命と安全への脅威と疲弊した国民の生活に対処し、社会のセーフティーネットを強化するという意味だ。文在寅政権発足後の2018~2020年における歴代の新年の辞で強調した検察改革推進や不動産投機との戦争などには言及しなかった。政権5年目に入っただけに、改革と変化よりは新型コロナの克服と国民経済に集中するという基調だと解釈される。

 文大統領はこの日午前、大統領府本館で新年の辞を通じて「新型コロナとの長い戦争は終わらなかった」としながらも、「新年は明らかに違う年になるだろう」と述べた。この日の新年の辞で最も多く登場した単語は「回復」で、合計15回だった。新型コロナの長期化による国民の苦しみと経済難から1日も早く脱し、日常に戻ろうという意向を込めたのだ。文大統領は「回復」の具体的な約束として、新型コロナウイルスのワクチンの全国民への無料接種を提示した。文大統領は「マスクから解放される平凡な日常に早く戻ることが急務」だとしながら、「優先順位にしたがい順番に全国民が無料で接種できるようにする」と明らかにした。これまでは、医療関係者など優先接種者に1年間の無料接種を検討してきた。

 文大統領は続いて「国家経済がよくなっても、雇用を回復し、小商工人や自営業者が被った打撃から回復するには、さらに多くの時間がかかるだろう」としながら、「新型コロナでさらに強まった格差を減らす包容的な回復を成し遂げることが何より重要だ」と述べた。それと共に、30兆5000億ウォン(約2兆9000億円)の雇用予算の第1四半期への早期投入、特殊雇用職への雇用保険の適用拡大、扶養義務者の基準廃止、傷病手当、全国民雇用保険制度など、これまで明らかにしてた政策を推進する意向を繰り返し強調した。

 1年前は「不動産投機との戦争で決して負けない」という意向を明らかにした文大統領は、今回は不動産市場への不安について「申し訳ない」という表現を初めて使った。文大統領は「住居問題のひどさに大きく落胆している国民の皆さまには大変申し訳ない。住居安定のために必要な対策作りをためらわない」と述べた。続いて文大統領は「特に供給拡大に重点をおき、早急な効果をみられる様々な住宅供給案を迅速に用意する」と述べた。

 常に文在寅政権の中心的な改革課題として登場していた検察改革については言及しなかった。代わりに、まもなく発足する高位公職者犯罪捜査処を念頭に置いた「権力機関の制度化」という表現を用いた。彼は「権力機関の改革とは、抑制と均衡を成し遂げること」だとしながら、「昨年、長い間の課題であった法制度的な改革をついに成し遂げた」と述べた。

 金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長のソウル答礼訪問など、南北関係改善の意向を積極的に表明した昨年とは異なり、今年は南北関係には多くの時間を割かなかった。「いつでもどこでも会い、非対面の方式で対話できるという私たちの意志は変わらない」と強調し、新型コロナの防疫および保健医療の協力を基盤とする「平和・安保・生命共同体」を作ろうと述べた。

 文大統領が回復と包容を越えて提示したビジョンは、「先導国家」への飛躍だった。気候危機を乗り越える方法として「2050カーボンニュートラル」推進計画を具体化する一方、水素経済と低炭素産業で世界市場を主導していこうと提案した。また、昨年に国内外で大成功をおさめた防弾少年団(BTS)やBLACKPINK、映画『パラサイト』のようなK-コンテンツを始め、サッカーのソン・フンミン選手、野球のリュ・ヒョンジン選手、ゴルフのコ・ジニョン選手などのスポーツ選手に言及し、ソフトパワーでも先導国家としての地位を固めようと述べた。

 この日の文大統領は、K-防疫の成功とともに、経済協力開発機構(OECD)加盟国のなかで最高の成長率、国民所得増加、株価指数と株価上昇率などを、新型コロナによる逆境の克服の根拠として提示した。しかし、このような数値では、韓国社会で強まっている資産両極化や不平等、OECD加盟国のなかで最悪の産業災害死亡率などの問題を説明できないという点で、「回復」と「包容」の意向を示すのには不足しているという指摘が出ている。議題と戦略グループ「トモア」のユン・テゴン政治分析室長は、「任期序盤の文大統領の力は共感とコミュニケーションだった。現在はあまりにも多くの人の苦しみが深刻であるだけに、政府がこれに対する責任を率直に認めアプローチしたとすれば、より説得力があっただろう」と述べた。
イ・ワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

国政に混乱が起きたことについて国民に謝罪した。ただ、検察による判事査察問題や過度な検察権行使を指摘し、支障なく検察改革を進めることを強調した。

2020-12-27 | 文在寅大統領情報
文大統領、ユン総長の復帰に「裁判所の決定を尊重…
混乱を謝罪」

登録:2020-12-26 02:19 修正:2020-12-26 07:00


     

文在寅大統領が22日午前、大統領府で開かれた「5部要人招請懇談会」で発言している=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は25日、ユン・ソクヨル検察総長に対する「停職2カ月」執行が裁判所の判断で停止されるなどにより、国政に混乱が起きたことについて国民に謝罪した。ただ、検察による判事査察問題や過度な検察権行使を指摘し、支障なく検察改革を進めることを強調した。文大統領はこの日、ユン総長の職務復帰について「裁判所の決定を尊重する」とし「国民にご心配をおかけし、混乱をもたらしたことに対し、人事権者として謝罪申し上げる」と述べた。大統領府のカン・ミンソク報道官が書面ブリーフィングを通して伝えた。文大統領が手続き上の正当性を強調して進めた「ユン総長の懲戒」が裁判所に妨げられたうえ、「法務部と検察の対立」をきちんと収拾できず、事態を拡大させたとする政権責任論も浮上していることを受け、謝罪に踏み切ったものと見られる。大統領府は前日に裁判所の決定が出てから立場を明らかにしていなかったものの、「国民の力」などの保守野党は国民に対する大統領の謝罪を公に要求していた。

 文大統領は謝罪しつつも、同時に検察の反省を求めた。文大統領は「裁判所の判断に留意し、検察も公正で節制された検察権の行使について省察する契機となることを期待する」とし、「特に、犯罪情報以外の個人情報を収集したり、査察するという問題がこれ以上起こらないようにしてほしい」と注文した。裁判所が今回の懲戒手続きの欠陥を問題視しつつも、検察による裁判所の政治傾向情報の収集なども不適切だと判断したことに言及したのだ。

 文大統領は続いて「法務部と検察は、安定した協調関係を通じて、検察改革や捜査権改革などの後続措置を支障なく進めていかなければならない」と訴えた。先日、辞意を表明したチュ・ミエ法務部長官とユン総長の長期にわたる対立局面を解消し、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の正常な発足など、検察改革の課題を全うするという意味と解釈される。

 前日、ユン総長の職務復帰を決めた司法を強く批判した共に民主党も、中断なき検察改革の意志を示した。イ・ナギョン代表はこの日、民主党の法制司法委員との非公開の懇談会終了後に、「検察権の乱用、不公正な捜査、政治介入などを防ぐための検察改革を、強力かつ体系的に継続する」と述べた。民主党は、既存の党内の権力機関タスクフォース(TF)を検察改革特別委員会へと転換し、検察制度の改善に党の力を結集することにした。

 しかし、国民の力のキム・ウンヘ報道担当はこの日、文大統領の謝罪発言について「遅まきながら謝罪したことは幸いだと思う」としつつも「裁判所の決定を尊重するとは言うものの、検察の掌握にいっそう注力するという意志、もしくは誓いと読みとれるため残念」と口頭で論評した。
ソン・ホジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

これを「検察の勝利」と解釈するのは性急かもしれない。ユン総長が文大統領と対立する姿から、司法府の判断とは別に検察に対して不信感と反感を覚える世論も少なくないからだ。

2020-12-25 | 文在寅大統領情報
「判定勝ち」の韓国検察総長…
公正性問題・検察不信・反感が克服すべき課題

登録:2020-12-25 08:38 修正:2020-12-25 09:11


法務部の懲戒圧迫を越えて復帰 
文大統領と張り合う状況で勝利

      

今月1日、裁判所の職務停止効力執行停止の決定で、最高検察庁に出勤したユン・ソクヨル検察総長/聯合ニュース

 憲政史上初の現職検察総長に対する懲戒、これを不服としてユン・ソクヨル検察総長が行った文在寅(ムン・ジェイン)大統領と張り合った法廷闘争の勝者は、ユン総長だった。自分が主導したチョ・グク前法務部長官の妻、チョン・ギョンシム教授事件の捜査が一審で有罪判決を受けたのに続き、懲戒執行停止まで受けたユン総長は、復帰後、自分の考えを迷わず行動に移すものとみられる。

 ユン総長の任期はあと7カ月しか残っていないが、懲戒の不当性が確認され、いつにも増して力を得た状態だ。ユン総長は昨年7月の就任から1カ月後に“着手”した「チョ・グク一家」の捜査で与党の集中攻撃を受けた。文在寅政権の検察改革の象徴的人物であるチョ前長官一家に対する捜査で、文在寅政権とユン総長の蜜月関係は瞬く間に壊れた。結局、チョ前長官夫妻を起訴したが、同時に文在寅政権の信任も失った。

 チョ長官の後任として就任したチュ・ミエ法務部長官との関係は悪化の一途をたどった。法務部長官と検察総長の人事協議はなくなり、チュ長官は人事正常化を名分にいわゆる「ユン・ソクヨル師団」を地方に飛ばし、ユン総長の“手足”を切って孤立させた。監察権を手段に、検察内部の不正疑惑が出るたびにユン総長との衝突も頻繁になった。ユン総長もチュ長官の攻撃に対応し、「検察とマスコミの癒着」疑惑の捜査を妨害するなど無理な手段を何度も使った。今年10月にユン総長が最高検察庁の国政監査で政治参加を示唆した発言は最大の失策だった。結局、チュ長官はこれまでの8件の不正疑惑を集めて懲戒を請求し、その結果、ユン総長は停職2カ月の懲戒が確定した。

 裁判所の今回の懲戒執行停止決定は、懲戒取り消しを請求した本案訴訟の一審判決から30日までの効力だ。懲戒の手続きと実体を争う事件であり、判例もない状況なので、一審判決が出るまで長い時間がかかる可能性もある。ユン総長としては任期を全うする可能性が高くなったということだ。チュ長官も辞意を表明した状態なので、ユン総長を制御する人もいない状況だ。チュ長官とユン総長の対立に対する世論の嫌気も大きかったため、後任の法務部長官もユン総長を尊重して関係を確立する可能性が高い。チョン・ギョンシム教授事件の一審判決で捜査の正当性まで認められたユン総長としては、より自信を持って職務を遂行できるようになった。

 もちろん、ユン総長が前途洋々というばかりではない。職務復帰後、大田(テジョン)地検の月城(ウォルソン)原発事件を指揮し「生きた権力に対する捜査」を強調するだろうが、最高検察庁の国政監査で政治参加を示唆した発言に足を引っ張られる可能性が高い。「退任後、政治はしない」という宣言・約束がない限り、文在寅政権と対立し勝利した野党の大統領候補として人気はさらに上がるだろうし、「政治家を目論む検察総長」の捜査指揮には公正性問題がつきまとうことになる。来年初めに発足する高位公職者犯罪捜査処(公捜処)も危険要素だ。ユン総長が「裁判部の政治傾向分析文書」の作成を指示したという職権乱用の疑いなどが公捜処の第1号事件になるという話が、早くも政界から流れている。ユン総長は職務に復帰し判定勝ちを収めたが、これを「検察の勝利」と解釈するのは性急かもしれない。ユン総長が文大統領と対立する姿から、司法府の判断とは別に検察に対して不信感と反感を覚える世論も少なくないからだ。
キム・テギュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )