大井川鐡道は山間部を縫うように走行するので、風光明媚な見所が満載です。
奥大井の山間地ですから勿論トンネルはあります。
大井川にかかる橋はもとより、湖上を跨ぐ橋もあり、歩道も併設されています。
てっきりメンテナンス用の橋脚を、観光客にも流用させていると思いましたが・・・
奥大井一帯のハイキング用遊歩道として整備していました。
二本の橋脚に挟まれたトリッキーな場所に湖上駅を設けて、これを売り物にしています。
勿論地域住民の利便を図った駅ではありません。
この駅周辺に民家はありませんもの。
山あり、谷ありの複雑な地形を、一枚の地図でさりげなくアピールしています。
駅のホームには、今風?に若者向けの仕掛けもそつなく設えてあります。
ベンチが中央に向かって傾斜しています。
意味は分かりますよね?
大井川鐡道はあらゆる面で、観光客に気を使ってくれています。
ウィークデーのダイヤは極めて疎なのに上手に運行して、我々に乗車しない列車の姿も見せてくれます。
エンブレムが列車名でないのも面白いアイデア。
深蒸しが売り物の川根茶のPRですね。
オイラたちが乗った復路の列車には、トロッコ列車風の車両が連結されていました。
2月末の奥大井は風が冷たいのですが、多くの観光客がやせ我慢をして乗っていました。
さて、大井川鐡道井川線、最大の売りはアプト式列車です。
90パーミル(1,000m走って90m上る)という、日本一の急勾配を列車が走ります。
駆動輪が歯車になった専用列車が繋がれます。
「アプト式」とはアプトさんという人が考案した方式で、歯車状の車輪とラックと呼ばれる鋸歯状のレールが嚙み合って、急斜面をゆっくりと昇降します。
通常のレールの真ん中に、ラックと呼ばれる鋸歯状のレールが架設されています。
よく観察してみると歯形は3列架設されています。
厳密には、三つの軌条のどれかに負荷がかかって、スムーズに走るように工夫されています。
通常走行からアプト走行に、モードチェンジする様子を下車して見るよう、乗客に案内がありました。
大井川鉄道のおもてなしは半端ではありません。
これに関して昨夏、四国の阿佐海岸鉄道のDMVに乗車した時のことを思い出しました。
阿佐海岸鉄道では、道路走行からレール走行に移るDMVが最大の売りですが、このモードチェンジをお客に公開していません。とても残念でした。
大井川鐡道を見習うべきでしょう。
「このように歯が噛み合って走行するのです」と図で示しています。
急こう配の谷渡りが実現したのは、長島ダムの機材運搬のためにレールを架設したと説明されました。
アプト式の先輩は、国鉄信越本線の軽井沢⇔横川間だったようですが、この路線は廃線となっているため、わが国では大井川鐵道が唯一貴重な存在となっています。
奥泉駅では蒸気機関車の転轍の様子も公開されています。
機関車のエンブレムは「がんばれ受験生」ですよ!
新金谷駅で大井川鐡道に最後のお別れ、ターンテーブルも見られました。
土砂崩れで途中寸断された大井川鐡道、全線復旧の目途は立っていないようですが、何時までも日本中の鉄道ファンに夢を届けていただきたいものです。