下離宮の建物「寿月観」を見学する。
この建物には水屋が設えられており、相応のおもてなしができるようになっている。
柱・天井など質素な作りだが、庭に面して開放的になっている。
襖絵はすべて完全に模写が終わっており、このような形で公開されている。
画題は「虎渓三笑」で、その意味は以下の通り。
「虎渓の谷奥に隠遁していた法師は、この先いかなることがあっても、橋を渡って世に出ることはないと誓っていたが、ある時お客と話が弾んで送りに出て、うっかり橋を渡ってしまいお客様と3人で大笑いした」この故事にちなんだもの。
雨樋も竹製、排水管部も1本の竹で作られている。
竹では寿命が短く、5年程度しか持たないと説明されました。
御幸門と反対側の東門を出ると、周囲の山々が借景として取り入れられている。
その広々とした光景で、眼が現れたような感覚になる。
周りには北山・東山があり、中央には鬼門の方角に比叡山も望まれる。
比叡山から流れ出る清水を、園内と周囲の水田に有効活用している。
建物の周囲はすべて田圃が取り囲んでいる。
江戸時代は小作人がいたが、農地解放以降はすべて周辺の農家に払い下げられた。