岐阜県御嵩町にある、天台宗の古刹大寺山願興寺を訪ねた。
8世紀の創建で御本尊が薬師如来であることから、可児薬師(蟹薬師)と呼ばれ、多くの信仰を集めている。
二度の兵火に遭いながら都度、民衆の支えによって再建され、現在の本堂は国重文に指定されている。
寄棟造りの堂々たる建物だが、屋根は鉄板葺きで錆びだらけ、遠目にも痛々しく見える。
この日は日本赤十字の御奉仕日で、50名程の方が境内の清掃に当たっていた。
小川文甫住職が、ご奉仕された皆さんにお礼の言葉を述べている。
来年から10億円の巨費を掛けて、解体修理が行われると発表された。
日頃から近隣の人々を集めて薬膳料理の講習をするなど、地域に寄り添った活動を続けておられる。
武田氏による二度目の兵火に遭った後、12世紀に近隣住民が寄せ集めの材料で再建した。
「蟹薬師」の掲額も、粗末な板切れに書かれている。
今年は11月末から12月初旬にかけて、御本尊重文薬師如来の御開帳があった。
両脇に月光・日光菩薩立像を従えた、薬師如来座像は秘仏で子年4月に御開帳される。
本堂は周囲に回廊を持つ大伽藍だが、見ての通り粗末な材料ばかり使われている。
当地出身の可児才蔵は、武田氏や福島氏に仕えた豪勇で宝蔵院流十字槍の名手。
関ヶ原で上げた首は数知れず、福島氏に仕えて広島で生涯を終えた。
現在は広島市東区矢賀の才蔵寺に眠っている。
廃材を集めて再建された国重文願興寺は、どのように解体修理されるのか興味深い。
宝物殿にはめずらしい説法印を結ぶ釈迦三尊、四天王、薬師如来を守る十二神将など、重文の仏像を多数保有している。
これらの仏像は何時でも拝観が可能、但し事前に電話で申し込むが必要です。0574-67-0386