猫の名前 その2

2023-11-19 19:04:21 | Weblog

「ブライアン」(のちの「ブー」)の名前を考えていた時、

名前を付けない、というのもなかなか

スノッブでイカしてるのではないか?

という考えがちらりと頭をよぎった。

単に「猫」と呼ぶのだ。

 

これはもちろん、漱石の「吾輩は猫である。名前はまだ、ない」

からの発想で、

獣医とかで「猫ちゃんのお名前は?」と聞かれて

(結局2年弱の間、獣医に行くことはなかったが)、

「まだ、ないんです」と答えるのは文学的でかっこいいのではないか?

と僕は少し思うた。

でも「はい、「マダナインちゃんですね」と看護師が答える・・・

とかっていうオチもあるかもしれない。

 

確か・・・・村上春樹の名作「羊をめぐる冒険」のなかでも

主人公は飼っていた猫に名前を付けていなかった。

物語の中で「いわし」という名を与えられるのだが。

 

 

 

「ブー」が芦屋の家にもらわれていった少しあとに、

近くでひとり暮らしをしていたランブルフィッシュの佐治くんの

マンション近くに 真夜中に、

ボロボロの子猫がいて、佐治くんについてきた。

彼はこの子を飼うことにし、名前を付けた。

 

佐治くんの名前はフルネームで「佐治朝吉」という。

 

彼はその猫に「夜吉」と名付けたのだった。

「ヨルキチ」と発音する。

いい名前。

「ヨル」と呼んでいたことが多かったけどさ。

 

「夜吉」は、その後もずっと佐治くんと生活を共にし、

十数年を経て猫は

年老いてヨボヨボになり、

最後は人知れず姿を消したそうだ。

「象の墓場」の猫ヴァージョンみたいなものが、都会のどこかにあるのだろうか????

 

 

 

しかしどんな名前も省略されて呼ばれてしまうのならいっそ

「寿限無寿限無五劫の擦り切れ~以下延々と続くが略」と名付けて、

「ジュー」と読んだらいいのではないだろうか。

 

獣医のカルテにはフルネーム書くのだ、嫌がらせで。

 

 

 

 

 

写真は俺の黒猫、「ブー」。

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猫の名前

2023-11-19 16:36:31 | Weblog

猫に名前を付ける機会など、一生のうちに何度もあるものではない。

 

僕は二十代前半の頃、大阪でひとり暮らしをしていて、

ある時、黒猫を飼うことになった。1989年だったと思う。

 

名前・・・・・・・・・・どーしよ、と

色々悩まずにさくっと、「ブライアン」と名付けた。

もちろん、というか 

ローリング・ストーンズの故・ブライアン・ジョーンズからの命名だった。

いい名前だ、と僕は思った。

黒猫のブライアン。

いちばん初めは小さな子猫だった。

 

その頃 近所で同じくひとり暮らしをしていた

ランブルフィッシュの佐治くんはその名前、いたく気に入ってくれた。

 

しかし。

 

その時期、

僕の部屋に頻繁に出入りしていた女の子(ガールフレンドですね)は

猫をいちいち「ブライアン」と呼ぶのが面倒になって

「ブー」と呼び出した。

おーい。

ギャグ漫画じゃないんだから。

女の子が頻繁に餌をくれるので

猫もそのうち、「ブー」と呼ばれて振り向くようになり、

「ブライアン」と呼ばれても反応しなくなった。

むむむ。

 

まあいいか。

僕は大体が鷹揚で心の広い(いいかげんともいう)そんな(損な)性格なので

猫はいつしか「ブー」でいいや、ということになってしまった。

 

「BOO」。

 

しかし「ブー」というのも全然悪くない。

その頃は知らなかったのだが、サリンジゃーの描く「グラス家」の

兄弟の中に「ブーブー」という名前の娘がいる。

「ブーブー・タンネンバウム」だ。

「ブーブー」が本名?なのかどうかはさておき。

兄弟皆に「ブーブー」と呼ばれていた。

この娘は名作「ナインストーリーズ」の中の「小舟のほとりで」という短編では

主人公だ。アメリカにおいてユダヤ人が差別されている、という問題が

さらりと、この話の中にあったな、そういえば。

 

 

今日ちょっと必要があって、古い写真を掘り出していた。

感傷的になっていたのではない。必要があったのだ。

 

そしたら猫の写真が出て来た。

 

記憶では猫の写真、一枚しか撮らなかったと思っていたのだが

5枚もあった。今後・・・順次、アップしていくつもり。

しかし下手な写真。

まあ、しょうがないか。

この写真では「ブー」は、当時僕が一本だけ持っていた

リーバイスの501のオールド(レプリカはまだ存在しなかった)の上に

座っている。

 

このオールドはどこに消えてしまったのかわからない。

 

2年近く一緒に暮らして

「ブー」は、名前の件とはまた別の女の子の家(一軒家)に、もらわれていった。

いろいろとあって、飼いきれなくなってしまったのだ。

ワンルームマンションで飼い続けるのはかわいそうだったし。

 

 

 

30年以上前の話なので、「ブー」はもう、この世にいないと思う。

猫の寿命は我々よりずっと短い。

もし生きてたら化け猫だ。

 

 

なかなか、性格のいい猫だった。

 

 

そういえば

ROCA’66で作ったCDの表紙も

Tシャツも、僕の書いた黒猫の絵なのだが

無意識に「ブー」を描いていた・・・・のかもしれないな。

 

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