T.カポーティ「夜の樹」より

2018-12-23 18:37:50 | Weblog



昨日は確か冬至で満月だったはず。

美しく月は輝いていたが、

ラジオ(WEEKEND SUNSHINE)は半分しか聴けなかった。


まるで重力が200倍の惑星に来てしまった星間旅行者の様に

草臥れ果てている私にも年の瀬は近付きつつある。


ふと思い出して

トルーマン・カポーティの傑作短編集「夜の樹」を再読していた今日。


あまりにも素晴らしかったので、一部だけでも引用してブログ読者の皆さんにも

文学の香りのおすそ分けをしよう、と思った。


それでは、行きます。

引用は

新潮・世界の文学

T・カポーティ作「夜の樹」

龍口直太郎 訳


短編 「最後の扉を閉めよう」より




以下引用





アンナは私を愛しているだろうか?

アンナはこう答えた 

「あら、人の眼に見えるままのものなんて、今まであったかしら?

今オタマジャクシだと思っていたら、もうカエルになっているのにさ。

金のように見えても、いざ指にはめると、緑色の輪が残るわ。

わたしの二番目の夫を見てごらんなさい。とってもいい男に見えたのよ。

でも、似ても似付つかぬ げす男だったわ。

この部屋を見まわしてごらんなさい。ね、

あの暖炉じゃ香はたけないし、あの鏡にしたって、空間を写しはするけど、

人の眼を欺くでしょ。

ねえ、ウォールター、目に見えるままのものなんて、何一つありゃしないのよ。

クリスマス・トリーはセロファンでできているし、

雪は石鹸の削りくずでしかないわ。

”魂”とか呼ばれてるものがわたしたちの内部を飛びまわっているのよ。

だから人間が死んでも、死んではいないのね。

そうよ、それに、わたしたちは生きていても、けっして生きてなんかいないのよ。

それなのに、あなたはわたしがあなたを愛しているかどうか知りたいと言うの?

バカなこと言いっこなしよ、ウォールター、

わたしたちは友だちでさえないのにさ・・・・・・・・・・」





引用終り









文中に、偶然にもクリスマス・トリーなる言葉が出てきて、つまり、

この台詞が口にされた時はきっと、今頃に近い季節だったのだな。



冬至おめでとう、ついでにクリスマスも。

そうそう、12月23日が祝日なのは今年限りなんだってね。

「平成最後」とかはけっこうどうでもいいんだが、

それだけはちょっと、惜しいかな、と思う。











そういえば・・・・友達に、冬至が誕生日だった・・・っていう人がいたよ。







来週の土曜日は

京都・深草(地下鉄なら「くいな橋」)のライヴハウス、

「アニーズ・カフェ」で会おう。


何?って・・・・・ROCA'66の、年内最後のライヴだからさ。


コメント
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