ずっこけまくったせいで、
俺はもう、笑うことすら出来なかった。
笑うことがあるとしたらそれは「苦笑」だ。
苦笑、苦笑、苦笑、
そして時には
苦虫を噛み潰したような笑い。
実際、世界にある「笑い」なんて、
そんなものばかりじゃないか?
”すべての動物の中で人間だけがすること”
って挙げていけばきりがないくらいなのだけれど
「笑う」ってのもそのうちのひとつだ。
犬も笑う・・とかって言う人もいるけど、
犬に感情移入しすぎだろう。
でも
幼児が笑ってるのを見るのは好きだな。
何が可笑しいのか、まるっきり理解できない笑い。
意味のない笑顔。
それは
全力で「エントロピー」に対抗しようとしている、
「生物」という存在が
その存在証明をしようとしているようにも見える。
いずれ消えてしまうのだとしても、
”無闇に可笑しくて大笑いしてしまった”
という記憶くらいは残るのだ。
俺にだって、そういうのは ある。