影が深みを増す
風景にバイアスがかかる
「一瞬の生」というバイアスが
僕は毎朝
古い団地街を横切りながら
その間 心は新宿に飛んでいる
子供の頃に住んでいた新宿の団地街に
あまりにもそっくりだからだ
戸山ハイツはいつも夏の終わりごろで
遠くの方から台風がまたやって来る
空は柔らかく荒れ
帰りたくないけどそこはもう僕の家ではない
何もかもがよそよそしい
だけど僕にはどうしようもない
何処にも持って行き場のない心
夕方の青が支配する
迷宮の街
君はもういない
もしかして友達の葬儀は今日
彼女のホームタウンだった新宿で行われたのだろうか