まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第10回九州八十八ヶ所百八霊場めぐり~第32番「光明寺」(ツタヤ図書館と元祖チキン南蛮)

2023年06月03日 | 九州八十八ヶ所百八霊場

九州八十八ヶ所百八霊場めぐりの延岡編。先ほどは西階城跡に近い第31番・龍仙寺に参詣し、今度は延岡城に近い第32番・光明寺に向かう。この辺りは古城町という地名だが、ここでいう「古城」とは延岡城ではなく、中世に延岡を支配していた土持氏が築いた井上城のことだという。目の前を流れる大瀬川を天然の堀とした城であったとのこと。延岡にも時代によりあちこちに城があったものである。

地元の名門・延岡高校の横に光明寺がある。寺の創建は鎌倉時代、井上城の鬼門除けとして建てられた。白壁の塀に沿って西国三十三所の観音像が並ぶ。こちらは江戸時代の延岡藩主・内藤氏の寄進によるものだという。

正面の本堂は鉄筋コンクリート造りで再建された堂々とした建物である。扉が開いており中に入る。法要も大勢の人数が収容できそうだ。本尊は阿弥陀三尊、他に不動明王、地蔵菩薩などが祀られている。九州三十六不動の札所でもある。立派な本堂に感心してのお勤めである。

本堂に隣接して淡島堂がある。淡島神社の神である淡島大明神、そして海のつながりとして恵比寿大神が祀られている。先ほどの龍仙寺には大黒天が祀られており、ここ光明寺も含めて「延岡七福神」の一つに数えられている。さまざまな神仏が同居しており、城下町に位置していることもあり、延岡の人たちはさまざまな願いを込めて光明寺に参詣したことだろう。

本堂には九州八十八ヶ所百八霊場めぐりの納経帳やガイドブックも置かれていたが、朱印希望の方は寺務所へとある。この日(5月7日)の朝、佐伯の第30番・大日寺では寺の方が留守というのに遭遇しており、こちらは大丈夫かと一瞬心配したが、インターフォンを鳴らすとすぐに応答があり、無事に朱印をいただくことができた。墨書の文字は「無量寿三尊」。

時刻はちょうど昼すぎ。朝方の見通しでは、この先の門川町にある第33番・永源寺までコマを進めておこうと思っていた。しかし、朱印をいただくためにもう一度大日寺に立ち寄る必要もあるし、雨も降り続いているし、今回は大分県から宮崎県に入ったことでよしとして、延岡で折り返しとする。

今回はレンタカーでの移動で(そのおかげで秘境駅の宗太郎駅の見物もできたが)、せめて延岡の駅くらいは見ておこうか。中心部を走り抜け、駅に到着する。

そこで目についたのは、「延岡駅」というより「蔦屋書店」の文字。2018年にオープンした「延岡エンクロス」という複合施設で、メインは蔦屋書店とスターバックス、図書閲覧コーナー(本の貸し出しは行っていない)である。こうした「ツタヤ図書館」は佐賀の武雄市を皮切りに全国に広がっており、中国地方だと備中高梁駅や徳山駅で見られる。「ツタヤ図書館」をめぐってはあちこちでひと悶着あるようで、この「延岡エンクロス」についても政治的な駆け引きの舞台になっているとか・・。

そして駅だが、「ツタヤ図書館」のついでにあるといった感じで、窓口や改札口も小ぢんまりしたものである。ちょうど改札口の向こうには宮崎方面への列車が停まっている。次の九州八十八ヶ所めぐりでは、ぜひ小倉から日豊線を伝って訪ねたいものである。

延岡駅近辺で昼食としようかと思ったが、さすがにスターバックスでの食事はどうかと思い、とりあえず駅前に出てみる。ただ、パッと目につくようなところがない。

どこかないかとスマホ地図で周辺を検索すると、ルートインホテルの裏手の筋に「直ちゃん」というチキン南蛮の店を見つけた。私の旅では地元グルメというのはなかなか登場しないのだが、宮崎県に入ったということでチキン南蛮をいただくとしよう。

店に着くと、ちょうど並んでいた人たちが店内に入ったところで、外でしばし待つ。人気店なのかと検索して驚いたのが、この「直ちゃん」、チキン南蛮の「元祖」の店だという。いやいや全く知らなかった。

チキン南蛮といえば、甘酢につけて揚げた鶏肉にタルタルソースがかかった一品を連想するが、「直ちゃん」のチキン南蛮はタルタルソースがない形で出される。チキン南蛮は、元々は延岡の洋食店の賄い料理だったのを、そこで働いていた後藤直という人が、後に自分の名前を冠した大衆食堂で出したのが始まりだという。

そしてやってきた定食。薬味としてついてきたのがマスタードとゆず胡椒。それらを少しずつつけていただく。鶏肉もやわらかく、甘酢の味ともよく合っている。ご飯もどんどん進んだ。ただ、これが「元祖」だとして、今のようにタルタルソースをかけるのが一般的になったのは、どこかで誰かが考案した食べ方ということになる。それも気になるな・・。

店の外に出ると行列ができていた。もし来た時にこの状態だったら、食事の店で並ぶのが嫌いな私、果たしてこの後についていただろうか・・ちょっとしたご縁である。

これで延岡を後にする。国道10号線、もしくは東九州道で佐伯に向かえば早いのだが、行き帰りで変化をつけたかったし、雨の中だが日向灘も見たいということで、遠回りにはなるが海沿いの国道388号線を走ることに・・・。

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