まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第7回中国四十九薬師めぐり~「石の島」北木島へ

2022年02月06日 | 中国四十九薬師

中国四十九薬師めぐりの目的地である第10番の日光寺を参拝し、せっかくの機会なので笠岡からフェリーに乗って北木島に向かう。笠岡から北木島を含む離島へのフェリーは住吉港、伏越港の2ヶ所から出ているが、今回利用するのは伏越港からの笠岡フェリー大福丸。10時ちょうど発の便で北木島の豊浦港を目指す。

折り返しとなる便がやって来た。自動車や自転車、歩行者が降りてくる。運賃は船内での支払いとのことでまずは乗り込む。豊浦港までは50分ほどの航路である。

こうしたフェリーなら甲板で潮風を受けながら・・というのが気持ちいいのだが、乗船した1月23日はあいにくの雨模様。客室に向かう。客室前部に、取引先からもらったものか、多くのカレンダーがずらりと並ぶ。まあ、これも無償の広告といった扱いだろうか。

また、フェリーの中央には数多くの祝儀袋が並ぶ。今乗っている第弐拾八大福丸は2019年に就航したが、それを祝ってのものである。先ほどのカレンダーといい、地元スポンサーを大切にする様子がうかがえる。

甲板にはビニールシートで囲われ、ベンチやパイプ椅子が置かれる一角がある。明記されているわけではないが、北木島に向かう釣り客向けのスペースともいえる。ホワイトボード、黒板に釣果が書き込まれている。クーラーボックスで釣った魚を運ぶ客もいるだろうから、一般客と住み分けているのだろう。

10時ちょうどに出航。とはいうもののまずは両側に陸地が続く。そのうち右手に広がるのが広大な干拓地で、この先の神島も陸続きになった。

「お兄さん!!全然ダメじゃ!!」と声を掛けられる。先ほどは車両の誘導をしていたフェリーの係の人だ。船内支払いの運賃(520円)を取りに来たのだが、乗船客の少なさに愕然とした様子である。北木島も笠岡諸島の中で「石の島」としてのPRのおかげで観光客も訪ねるようになったが、この便でいえば乗船客は10人もいない。この日雨だからとか、1月はシーズンオフだから・・という次元ではないようで、やはり長引くコロナ禍の影響もあるのか。「これで『まん延防止』が出たら、わしらどうすりゃええんじゃ!」と、ぼやきが続く。

この後、1月27日から2月20日までとして岡山県にも「まん延防止等重点措置」が適用された。島民の足ということでフェリーが運休になることはないにしても、外から北木島を訪ねる人が減ることも危惧されるようだ。

「渓谷観に来たん?」と言われ、島のパンフレットなど渡される。渓谷というのは北木島の石切り場で、まあ今回のお目当てである。最寄りでいえば金風呂港なのだが、笠岡からの便は豊浦までの運航である。天気がよければ豊浦港にある海の駅「K’s LABO」でレンタサイクルを借りるのがおすすめなようだが、歩いて行けないこともない。また、予約制のタクシーもあるという。写真を見るとゴルフ場のカートのような乗り物だが、フェリーのお兄さんは「どれか乗りたいのあったら、言うてくれたら連絡するけぇ」と言ってくれる。

神島大橋の下をくぐり、先ほど通った景色を見る。海べりに神島八十八ヶ所のお堂も見える。ここでようやく瀬戸内海の水島灘に出る。私も客室にいながらも、時折外に出て笠岡諸島のしまなみを眺める。高島、白石島と来て、目指す北木島である。雨は降っているものの波は穏やかで、順調に走っていく。

豊浦港に到着。帰りのフェリーは13時発で2時間ばかりある。船内でパンフレットなどを見た結果、まず「K’s LABO」内の「石の資料館」で石材産業の歴史を見てから歩いて石切り場に向かおうかと考えていた。ただ、下船すると「お兄さん!」、先ほどのフェリーの人から声がかかる。タクシーとは異なるが、金風呂港までの送迎を行っているそうで、石切り場に向かうなら乗って行けという。地元の人と相席になる。

そして地元の人を下ろした後、ついでということで石切り場の受付までそのまま乗せてくれた。帰りは歩いて豊浦港に戻ることにして、ともかく石の島の見物である・・・。

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