まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第18番「久安寺」~西国四十九薬師めぐり・48(池田の里での初詣)

2022年01月12日 | 西国四十九薬師

九州西国霊場の札所を回った後にフェリーに乗り、そして大阪に上陸して今度は西国四十九薬師めぐり・・札所めぐりでそれぞれで手を合わせてお勤めはしているというものの、はたから見れば完全にスタンプラリーかなとも思う。まあ、もとよりそこに他の観光スポットやら夜の一献やらも交えているので純粋な巡礼ではないのだが、それもいいだろう。

阪急宝塚線の急行にて池田に到着。池田には日清食品の創業者である安藤百福がチキンラーメンを発明した縁から「カップヌードルミュージアム」もあるし(カップヌードルはお世話になることもしばしば)、「池田の猪買い」などの噺の舞台となったことから「落語みゅーじあむ」というのもある。いずれも私にとって楽しめそうなスポットだが、年末年始のため休館である。まあ、もとより年末年始はいわゆる「ハコモノ」は休館するところがほとんどで、元日に池田に来ても入れないのは仕方ないと当初から割り切っていた。その点、この時季に旅行を楽しむなら年末年始よりは次の成人の日絡みの連休のほうがいいかもしれない。その時は「ハコモノ」や飲食店含めほとんどが通常営業に入っているので・・。

さて向かう久安寺へは池田からの路線バスである。日中は30分~1時間に1本の間隔での運行である。西国四十九薬師の一つである寺だし、元日は初詣客でバスも混雑するのかと思いきや、乗ったのは数人。それも地元の人のようで久安寺に初詣に向かうわけではなさそうだ。

特に道路が混むわけではなく、猪名川に沿って走る。阪神高速池田線の延伸区間も池田木部まで来ている。

先ほど落語「池田の猪買い」について少し触れたが、落語では雪も降る冬の寒い季節に、男が猪の肉を買いに大坂の丼池からどうにかこうにか歩いて向かっている。今なら阪急電車ですぐに行けるところで、駅周辺をはじめとして宅地化も進んでいるが、それでもバスで抜けると畑も広がり、山がちな景色となる。こうしたところなら、かつて普通に猪が獲れていた場所だといっても違和感はない。また「池田の牛ほめ」という噺もあり、立派な家を普請して、普通に牛が飼われていたとしてもうなずける。

現在は「不死王閣」という立派な温泉旅館もある。大阪市内からでも気軽にアクセスできるので有名だ。

そこからもう少し進んで久安寺のバス停に着く。バス停横の駐車場から境内に入れるが、そこはいったん通り過ぎた山門に向かう。山門そのものはくぐれないが、横の扉から入る。その扉も閉めるようにとの札がある。猪・鹿・犬通行止めとある。今も「池田の猪買い」の世界が残っているようだ。

久安寺は聖武天皇の勅願で行基が開いたとされ、弘法大師空海が真言密教の道場として建てた安養院が前身である。後に焼失したが、平安後期に近衛天皇の勅願で再興され、その頃から久安寺と呼ばれるようになった。先ほどの山門は室町時代には建造されていたもので、後に何度かの修復を経て現在に残る。

受付で拝観料を納め、バインダーの納経帳を預ける。まず出たのは「開運の鐘」。大晦日には除夜の鐘としても撞かれたそうだ。ここは新年を祝ってゴ~ンと一撞き。また年が明け、先ほどまで新年の勤行、護摩祈祷などが行われていたそうだ。境内で焚かれた火がまだ残っている。

本堂に上がる。今回、西国四十九薬師めぐりで訪ねたが、寺の本尊は千手観音である。平安中期、後一条天皇の勅願で定朝が彫ったとされる秘仏である。元日の勤行の後のためか椅子がずらりと並び、まずはそこに腰かけてお勤めとする。

本堂から三十三所堂、御影堂へと回廊が続き、スリッパでそのまま向かう。三十三堂には西国三十三所の本尊がずらりと並ぶ。新年早々、オールスターのお出迎えに恐縮する。久安寺は摂津国三十三所霊場の札所の一つでもある。

そして御影堂へ。ここも勤行の後のためか椅子や座布団が並ぶ。摂津国八十八ヶ所霊場の札所の一つでもあり、手を合わせる。この奥には四国八十八ヶ所のお砂踏み霊場のコースが広がっている。気候のいい時なら回るのも面白そうだ。

で、薬師如来は・・?と境内を回るうち、本堂から見て左手、山門から見て右手に新しい建物がある。薬師如来は8世紀の作で、池田市最古という。もっとも、直接見ることができるのは平成作の御前立ちの像である。ここでもお勤めとする。

それにしても、開運の鐘に始まり、千手観音、西国三十三所本尊、弘法大師、薬師如来・・と、初詣にふさわしいスポットに出会ったものである。このタイミングで順番が回ってきてよかった。帰りに受け取った朱印の用紙には「元日」の文字が入っていた。

西国四十九薬師めぐりはこれで48ヶ所まで回り、残るは第49番の比叡山延暦寺のみとなった。ここは日を改めて向かうことにする。

とりあえず、一度バスで池田に戻る。時刻はちょうど昼時、新大阪のホテルには夕方チェックインするとして、時間はまだある。そういえば、池田駅の近くに呉服(くれは)神社というのがあったな。その昔、正月に阪急宝塚線沿線の「七福神めぐり」をしたことがあり、七福神の恵比寿が祀られているスポットとして参詣したことがある。

・・ただ、元日の昼間、拝殿から阪急の高架まで長い行列ができていた。境内がそれほど広くないこともあるのだが、ここまで並ぶものかと驚いた。特に長時間並んでまで拝むか・・と言われればパスする。特に本日ここがメインというわけでもない。

ならばどうするか。宝塚線で宝塚まで行き、今津線を南下する乗り鉄でもいいかなと思ったが、路線図を見るとすぐ近くにまだ終点まで乗ったことのない路線があるのに気づく。その路線とは・・・。

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