11月3日に参加した「庄原ライナー」で行く庄原市の名物ガイドとの現地日帰りツアー。貸切バスは下帝釈の神龍湖の遊覧船乗り場に到着した。
到着前の確認電話で「いちばんええ舟を取っといてくださいよ」と、ガイドの熊本隊長がアピールしていたが、特に忖度が働くこともなく、通常の乗り合い舟に乗り込む。神龍湖を約40分で周遊するが、遊覧船は入口で靴を脱ぎ、畳の上に座るタイプだ。開閉可能な窓がついているが、写真を撮る客のことを考えて窓の開閉は譲り合ってと呼びかけられる。熊本隊長は舟の最前部に陣取り、「右手に見えますのは・・」「左手に見えますのは・・」の案内があるとその方向を指し示すという。
この日はちょうど紅葉も見ごろになったという。
一口に帝釈峡といってもエリアは広く、鍾乳洞や渓谷の浸食作用でできた雄橋に代表される上帝釈(庄原市)と、神龍湖が広がる下帝釈(神石高原町)にまたがる。私は以前の広島勤務時に帝釈峡を訪ねたことがあるが、こうして並べると、その時に訪ねたのは上帝釈のほうだった。神龍湖は初めてで、それこそ20年ほどの歳月を経て下帝釈も訪ねたことになる。
この神龍湖は人造湖である。高梁川水系、成羽川支流の帝釈川に建設されたダム湖で、中国地方では古い1924年に完成した。その形が上から見ると龍の形に似ていることと、当時の神石町の名前から神龍湖と名付けられた。ダム湖とは知らなかった。
その周囲にはダム以前からの奇勝なのか、さまざまなスポットが見える。一般の乗船客も多い中、舟の全部に陣取っている熊本隊長が案内放送のたびに手でその方向を指し示し、「正面に見えますのは・・」というと正面を指す。そして扉を開けて船首に立つ。スマホで撮影しているようだ。なるほど、この位置でなければ撮れないアングルもあるわけで、これもこの日のツアーの様子、さらには以後のツアー客へのお知らせになるのだろう。
ダムのゲートの手前で折り返し、再び神龍湖を周遊する。一応周遊コースのため、多少の遠近差はあるものの、往復の中で席を立たずとも両側の景色を楽しめるところだ。
紅葉といっても湖の周囲が一面真っ赤に染まるわけではなく、むしろ淡い黄色などが目立つが、樹木の種類にもよるのだろう。ただ、同じ広島の県北で一足早い季節の訪れを多少なりとも感じられたことはよかったと思う。
40分の遊覧船の時間もあっという間だったが、このツアーのメインイベントとして訪ねることができてよかった。普段の公共交通機関利用だと、備後庄原駅まで「庄原ライナー」で来たとしても、その先の行程は限られたものになったことだろう。
再びバスに乗り込む際、遊覧船の運営会社からのプレゼントということで袋入りのこんにゃくをいただく。結構大ぶりなこんにゃく玉で、これからの時季だと適度な大きさにちぎって鍋で豆腐や厚揚げなどと一緒に炊こうか、それとも牛肉や野菜、それに里芋を加えて「芋煮風」に仕立てるか。こうした健康食品は独身自炊生活にはありがたいものだ。
さて、貸切バスは神龍湖から東城まで北上する。帰りの高速バスの時間まで限られているが、それでも東城の道の駅での買い物タイム、そして東城の町並み散策(店にも立ち寄るそうだ)をこなすというから目一杯詰め込みの庄原ツアーである。自治体としては同じ庄原市内だが(今回は一部神石高原町も入ったが)、同じ市内といっても限られた時間内での移動距離は半端ないものがある・・・。