まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

観戦記・バファローズ対マリーンズ@わかさ京都~西京極球場に阪急ブレーブス復刻

2018年05月27日 | プロ野球(バファローズ・NPB)
勝率5割を目前にしながらなかなかなその壁を破れないバファローズ。交流戦前最後の試合となるマリーンズ3連戦は、神戸での2戦に続いて27日はわかさスタジアム京都での開催。大阪、神戸以外での主催試合がなかなかないバファローズとあって、この日の試合は公式ホームページから早々に前売り券を購入していた。

試合開始が14時からということでちょっとゆっくりである。普通に自宅から西京極に向かうのも芸がない。それならば、札所めぐりを組み合わせてみよう。ちょうど、近畿三十六不動で次に訪ねるのは山科の岩屋寺である。山科に行ってから移動するのも面白いだろう。合わせて、西国三十三所めぐり2巡目でまだ訪ねていないところが京都近辺に固まっており、その中から東福寺下車の今熊野観音寺に行こうか。地図を見ると、今熊野観音寺から岩屋寺までは峠越えで3キロくらいの距離だろうか。この2ヶ所を歩いて結ぶというのもなかなかないルートである。今回は観音菩薩と不動明王にバファローズの勝利を祈願してから球場に向かうという、何とも荒っぽいコースになった。リュックの中に納経帳や数珠、経本、それにファンクラブ用ユニフォームが同居する。

札所めぐりについては後の記事でまとめるとして、今回は観戦記ということで、阪急の西京極駅に着いたところから始める。時刻は12時前、駅からはバファローズ、マリーンズ双方のファンがぞろぞろと歩いて行く。

球場前には女子プロ野球・京都フローラのPRやグッズ販売のコーナーがあったり、トヨタの販売店の主催でバファローブルとの記念撮影と選手グッズの当たる抽選会が行われていた。せっかくなのでバファローブルと一緒にスマホのカメラに収まる。抽選会のほうは残念ながら参加賞だったが・・。

一塁側の入場口から入る。一塁側スタンド上方の指定席である。長椅子にラベルで席番が割り当てられている。スコアボードこそ新しいが、スタンドの造りも古典的なものである。それが懐かしく、かつ逆に新鮮にも感じる。

バファローズファンの中でも、かつての阪急ブレーブスのレプリカユニフォームやTシャツ姿の人が目立つ。今年のKANSAI CLASSICでも阪急ブレーブスのビジターユニフォームが復刻されていたが。中にはこの試合を主催する京都テレビのインタビューを受けていた人もいる。

というのも、この試合はバファローズの選手も阪急ブレーブスのユニフォーム着用の復刻試合として行われるからである。当初から決まっていたのか、あるいはKANSAI CLASSICを受けて急遽決まったのか。そういえば阪急はかつて西京極を準本拠地にしていた時期があったし、1967年にリーグ初優勝を決めたのも西京極だった。そんな歴史も振り返るのも面白いものである。

そういう試合のため、阪急のマスコット、ブレービーも復活である。登場すると「島野!」との声援も飛ぶ。かつてブレービーの中に入っていたのが、阪急の選手だった島野修さんだからということか。もっとも、この日中に入っているのはバファローブルと同じ方と推察されるが(先ほど記念撮影していたのにね)。

試合前のメモリアルピッチにはこの方が登場。阪急の背番号17、山田久志さんである。さすがにサブマリン投法は無理だったが、サイドスローからの見事な投球を見せる。

また、試合前の始球式には京都・宇治出身の女優、タレントの中村静香さんが務める。投げる前にはアドリブでサインに首を振る仕草を見せた後、こちらも見事なノーバウンド投球。

さて試合開始前となると次々に観客も入って来て、外野席はライト、レフトとも、そして一塁側の内野席もほぼ満席となった。久しぶりにロッテファンの声援を見るが、あの熱の入りようはいつ見ても楽しい。

阪急の先発は田嶋。(四国めぐりの連載の途中だったので記事にはしなかったが)1週間前に神戸で行われたライオンズ戦で6回無失点の好投を見せたのを観戦している。その時はストレートも150キロを超えたし、ライオンズ打線を寄せ付けなかったのだが、今回はスピードも今一つで、2番の藤岡に死球、3番の中村に四球と制球も定まらない。それでも後続を抑えて何とか無失点でスタートする。

マリーンズの先発は2年目の左腕・土肥。阪急は初回に2番・山足が四球で出塁。そして3番・吉田正が高めのボール球だったが振り抜いて、ライトスタンドにライナーで飛び込む2ランを放つ。まずは阪急が幸先よく先制する。

2回の田嶋は先頭のドミンゲスに四球を出したが、後続の清田、井上を連続三振に打ち取るなど、スピードは今一つだが少しずつ調子を上げる感じ。一方の土肥もヒットを許さない投球で、貧打戦なのか投手戦なのかという様子になってきた。

4回表、マリーンズは先頭の角中がこの日チーム初安打となるレフト前ヒットで出塁。そして続くドミンゲスがこちらはレフトスタンドにライナーで飛び込む2ランを放つ。これで2対2となる。さらに5回表には二死から藤岡、中村の連打で一・三塁と勝ち越しのチャンスと作る。田嶋にとってはピンチだが、続く角中が打ち損じた形で内野フライ。我慢の投球が続く。一方の土肥も、5回まで許したヒットは吉田の本塁打だけという好投である。

5回裏には入場者へのプレゼント抽選会。座席番号によって選手のサインボールが当たるというもの。金子や西、吉田といったところの当選座席番号が発表されたが、最後にサプライズで、マリナーズのイチローのサインボールが当たるというのがあった。実はその当選者がちょうど私が座っていた近くの人。周りから大きな祝福の拍手が送られた。

また、こんな光景も見られた。元阪急ブレーブスの私設応援団の団長を務めていた今坂さん。昔のプロ野球ニュースの動画などで、西宮や大阪球場で味のある野次を飛ばしていたことでも知られる(試合中に「おーい門田ぁー、豚まん食うかぁー?」など)。当時の阪急ファンらしい人たちから次々と記念撮影を受けていた。

6回表、田嶋はこの回も四球2つで二死一・二塁のピンチを迎える。そして田村の当たりは左中間へ。ここでこの日レフトのT-岡田が懸命に走って、最後は転倒しながらも何とか捕球した。これには一塁側、ライトスタンドから大きな拍手が起こる。「岡田も今度から守備固めやな・・」と、近くから皮肉のこもった喜びの声も聞こえる。田嶋はこの回で交代となったが、結果としては6回をドミンゲスの2ランによる失点のみで抑えた形となった。

6回裏は、先頭の若月がピッチャー返しの当たり。これを土肥がはじく間にヘッドスライディングで一塁セーフ、この日チーム2本目の安打となる。この後、土肥がワイルドピッチを2回やらかしてしまい、勝ち越しのランナーとして三塁まで進む。ピンチの後でのチャンスということで迎えるのは吉田。ここでボールカウントを悪くしたところでマリーンズは申告敬遠を選択。同時に土肥も降板となり、2人目は田中。絶好の勝ち越しのチャンスで4番・ロメロだったが内野ゴロに打ち取られる。

マリーンズは7回表、阪急2人目の黒木から荻野、藤岡の連打で無死一・二塁とするが、中村が併殺で倒れるなど得点に結びつかない。試合としてはマリーンズが押している印象なのだが、阪急投手陣、守備陣が何とか守っている形である。

8回裏、マリーンズは4人目でシェッパーズが登板。簡単に二死となるが、途中出場の後藤、そして2番の山足が粘って連続四球。ここで回るのは吉田。今度は敬遠とはならず勝負の場面で、低めの球を打って二塁の横を破る。執念といってもいい当たりで、3対2と阪急が勝ち越しに成功した。

そうなると9回表のマウンドには、現在の背番号17、増井が登場する。しかし先頭の田村に四球、荻野がきっちり送って一死二塁と同点のピンチ。レフトスタンドの応援の熱もこの日最高になる。

ここでこの日2安打の藤岡の当たりはライトへ。やや前進守備だったが、これを吉田の代走でライトに入っていた小田が懸命に背走して最後に捕球。これは吉田がライトにそのまま入っていたらおそらく頭上を越されていただろう。二塁ランナーはベースに戻るのが遅れたためにタッチアップでの進塁ができなかった。

これで気持ちでも優位になった増井が、最後は中村を三振に打ち取って試合終了。西京極での阪急復刻試合は3対2という僅差だったが、何とか阪急が勝利した。

インタビューはこの日3打点、またチーム3安打のうちの2本を放った吉田と、8回を無失点で切り抜けてその裏の勝ち越しを呼び込み、勝ち投手となった山本が登場。今のチームを支える若い顔が揃った形。吉田からは「交流戦優勝を目指す」という景気のいい言葉も出た。

私も、この日の勝利を運んでくれた?観音菩薩、不動明王、そしてもう一人、ある「神様」に感謝である(別にそれは私が個人的にそう思っているだけのことだが)。

まだチーム順位は4位のオリックス・バファローズだが、実は5月だけでいうと勝ち越しが決まったそうである。パ・リーグの順位争いも、ライオンズが失速してきたこともあり混沌としてきた。これから交流戦、例年ならパ・リーグがどこもセ・リーグを圧倒しているため、パ・リーグの順位がそれほど縮まらない展開なのだが、今年はどうなるだろうか・・・。
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