まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第1番「四天王寺」~近畿三十六不動めぐり・1(スタートは混雑の彼岸会から)

2017年09月24日 | 近畿三十六不動
新たな札所めぐりとして始めた近畿三十六不動めぐり。近畿2府4県に広がる36の札所をくじ引きとサイコロで回るもので、訪ねたことがない寺院も多いことから新たな発見が楽しみである。

さて、サイコロで決めるとはいうものの、最初に行くのはやはり1番である。それは四天王寺。新西国三十三所(観音霊場)の時も四天王寺がスタートで、この辺りは日本仏教最初の地として幅広い信仰を集める寺らしいことである。四天王寺じたいは休日にぶらぶらと出向き、六時堂で手を合わせることもあるが、改めて札所めぐりの初めとして行くのは少し気持ちが改まる。

今回は9月23日にスタートする。ちなみに不動明王の縁日は毎月28日とされているが、そこは彼岸の中日ということで23日を選んだ。四天王寺ではこの日は彼岸会ということで、あえてそうした賑わう日を選ぶのもいいだろう。

昼食を済ませた後、JRの天王寺駅から北へ続く参道を行く。駅前の商店街も普段より多くの人が行き交う。車道側の露店もいつも以上に多い。その中にスタンドやテーブルが出ている。回向のための経木に「○○家先祖代々」とか、故人の戒名を書くための台である。この後境内では筆書をしてくれる受付やテントがあり、そこでは係の人やボランティアが書いてくれるが、こうした参道の台では1枚20円、セルフサービスである。

境内の西にある大鳥居から極楽門に入る。彼岸の時季はちょうどこの場所から西に沈む夕陽を見ることができ、彼岸会に合わせて「日想観」という法要が行われる。ただ、それまで時間があり過ぎるのと、この日はあいにく曇りの天候で夕陽を直接拝むというのは難しそうだ。

境内はやはり普段よりも大勢の人で賑わっているし、多くの露店が出ている。極楽門の両脇に並ぶ弘法大師や親鸞像にも手を合わせる人が多い。私も四国八十八所めぐりがちょうど半分近くまで行っていることもあり、中間報告というわけではないが大師像に手を合わせる。

今回は不動霊場めぐりで、不動尊が祀られているのは亀井堂であるがそこは後ほど行くとして、まずは本堂伽藍に向かう。普段は拝観料がかかるが彼岸会ということで無料開放されていた。それは回向をお願いする人のためということもあるだろう。四天王寺の各堂で特別回向が行われていて、お参りの人はお目当てのお堂で経木を差し出して名前を読んでもらう。各堂で行われているのは、それぞれに別々の仏様が祀られているためで、こちら本堂伽藍には救世観音像が祀られている。今回私は回向の申し込みはしていないが、僧侶の読経に合わせて、他の人たちと一緒に手を合わせる。

新西国めぐりの時は五重塔が耐震工事中で覆われていたが、その工事も終了して(現在は回廊の工事中)全体を見渡すことができる。また五重塔も開放されており、螺旋階段を上って最上階まで行ける。私もこの中に入るのは初めてで、せっかくなので急な階段を上る。

五重塔から見る景色はこのような感じ。あべのハルカスや通天閣の展望台よりは低いが、古くからある寺からの眺めというのもなかなかのものである。境内の賑わいというのもよくわかる。

六時堂に向かう。四天王寺の本堂はあくまで本堂伽藍の中だが、手を合わせる人はこちらのほうが多いように思う。本堂伽藍は有料の特別エリア、気軽に手を合わせられるのは六時堂というイメージがあるのだろうか。こちらは西国四十九薬師の札所の一つ(ただし、札所番号は1番ではない)であり、ここはここでそのために来る日がいつかあるだろう。

そして亀井堂へ。ここは経木を流して供養するところで、普段なら数人いるくらいのところがやはり順番待ちの長い列ができている。流すほうも流れ作業だ。・・・で、ようやくこちらが近畿三十六不動めぐりの1番となる亀井不動尊である。

亀井堂の地下には石亀の水盤があり、そこから清水が湧き出ている。その昔、聖徳太子が亀井の井戸を覗くと、仏法の守護神である不動明王の姿が水面に映っていて、そこからここで不動尊を祀ったのが由来とされている。

亀井堂の脇の小さな祠がその不動尊で、ここも行列ができている。亀井の井戸水をかける水かけ不動で、苔でびっしりと覆われている。

各札所では一応、経本に沿ってお勤めを行うということにしているのだが、ここでは水かけ不動に手を合わせた後、行列の脇から行う。般若心経の他に、今回は不動明王の真言、そして聖不動経を加える。この聖不動経は漢字をそのまま音読みするのではなく、漢文訓読方式である(経本にもそのように書かれている)。訓読だから日本語で、不動明王というのはこうしたお姿で、こうした力があるということがよりわかりやすい。

四天王寺は他にも多くのお堂があるが、今回近畿三十六不動としてはここまでとして、納経所に向かう。四天王寺は各種霊場、札所めぐりのスポットとなっており、また各堂の朱印もこの納経所で一括して受け付けている。ここも朱印を求める人で行列ができているが、「ご朱印お願いします」と言って、係の人から「どれにします?」とサンプルをどかっと見せられて戸惑っている人が結構いる。中には「何がお薦めですか?」と訊ねる人もいて、「じゃあそれで」と、居酒屋で料理でも見つくろうようなやりとりも見られる。

私の場合は札所めぐりに合わせた専用の納経帳でお願いするのだが、この近畿三十六不動は少し様子が違う。専用の納経帳はあるのだが、各札所の朱印墨書された紙をバインダー方式で綴じていくものである。そのため、あらかじめ専用の紙が用意されていて、後はそこに日付を書き足したうえで渡される。この朱印というのも手書きというよりは印刷ではないかなと思う。二つ折りになっていて、半分に朱印、もう半分にご詠歌が書かれている。36すべてお参りした後で、紙どうしを糊付けして製本するようにと言われる。

何だか味気ない感じもするが、これなら納経帳をいちいち持ち歩かなくても、納経所で「近畿三十六不動の紙をください」で事足りる。まあ、それだともっと味気なくなるので、中身は自宅でクリアファイルにでも挟んでおいて、納経帳のバインダーだけは持って回ることにしよう。一応これで回っているということで・・・。

ともかくこれでまず1番を終えて、次はすぐ近くにある2番に向かう・・・。
コメント