まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

富岡製糸場が世界遺産に登録決定

2014年06月22日 | ブログ

このたび群馬の富岡製糸場の世界遺産登録が決定した。これで、日本の世界遺産は文化遺産が14ヶ所、自然遺産が4ヶ所となった。その中で「近代産業遺産」としては初めての登録となったことは大いに意義のあるところである。

これまで「歴史」「文化」となるとどうしても近世以前に重点が置かれ、学校の歴史の授業もそちらのほうに力を入れていたように思う。ただ最近の時代の流れとか、現在に直接つながる明治以降の出来事にも世間の関心が向き始めたこともあり、近代産業遺産の存在価値も高まってきたというところである。今回の世界遺産登録は、全国的に有名な観光地の少ない群馬県にとっても大いにプラスになるところだろう。アクセスの悪さや受け入れ体制の弱さを指摘する声もあるが、それは初めからわかっていたことだし、それを承知で世界遺産登録を目指したわけだから、地域を挙げて良い方に向かえばいいと思う。

さて、富岡製糸場のほかに日本として「暫定」一覧に登録している遺産が11ある。早々と登録された中には鎌倉と彦根城があり、同じ明治の産業遺産としては九州の炭鉱関連(軍艦島もその中に含まれる)もある。そして、堺、羽曳野、さらに私の住む藤井寺市も加わっている百舌鳥・古市古墳群がある。地元では「ごりょうさん」と親しみを込めて呼ばれているところで、近畿2府4県の中で唯一世界遺産を持たない大阪としては何とか世界遺産登録に向けて・・・といきたいのだが、果たして国民、いや府民の関心度はいかがなものだろうか。

世界遺産の登録基準に「顕著な普遍的価値を有すると認められる」というのがある。これに照らし合わせた時に古墳文化というのはどうだろうか。そりゃ、登録を推進する人に言わせれば「有ります」と断言できるし、現に1500年以上前からそこにあること自体はすごいと思う。

ただ気になるのが、誰が葬られているかの確たる証拠が見つかっていないということである。確かに仁徳天皇陵、応神天皇陵などと言われているが、あくまで「そう伝えられている」というだけのことである。確かに誰かが葬られているのは間違いないし、宮内庁が管理されているから一応は皇室のものというところであるが、考古学的な調査を行っていないためにわからないことだらけである。

そもそも論として、こういう「本当は誰が葬られているか証明されていない」ものを世界遺産に登録できるものだろうか。確かに当時にこれだけの巨大な建造物をこしらえるだけの技術力は素晴らしいものがあるし、これを今まで崩したりせず保全してきた、これからも受け継いでいくというのは地元民としても敬意を払うところではあるが、世界遺産かと聞かれればちょっと・・・弱いかな。観光地でもないし(まあ、観光で訪れる・・・というのもちょっと違うし、別に観光地でなければ世界遺産にしてはならないということでもないが)。

昨年の富士山に続く富岡製糸場の登録であるが、最近はハードルが高くなったこともあり、それぞれの地域も十分な戦略を練って活動を進めたところである。百舌鳥・古市古墳群がどこまで迫れるのか、これからの活動に期待したいものである・・・。

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