まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

武生に来たらボルガライス

2013年03月14日 | 旅行記D・東海北陸

えちぜん鉄道で三国港を訪問し、復路は再び、福井鉄道の田原町駅のホームへ。本来なら未乗車区間である勝山までの路線に乗ってもよかったのだが、今回は日帰り旅の中で福井鉄道の復路乗車も楽しむということで、そのまま戻ってきた。

この駅は「たわらまち」と読むのだが、たわらまち、たわらまち・・・俵万智ということで、武生育ちで歌人の俵万智さんのペンネームの由来ではないかとよく言われる。ただあくまでもこれは本名だとか。そういう本名もなかなかないと思うが、自分のフルネームが駅名標や店の看板になっていたら結構ドキッとするものだろう。

Dscn9311田原町からの越前武生行きは、往路で乗車した200形の色違い。この塗装は結構長い間、福井鉄道のシンボルカラーだったと思われるもの。また乗降用のステップを上がり、ボックス席へ。今度は福井市街に入り、市役所前電停から左にカーブを取り、福井駅前へ。ここで運転手が後部車両に移動して逆走し、再び市役所前へ。田原町方面のホームに入る。また運転手が移動し、今度は渡り線を通って先ほど停車したばかりのホームに着く。今度は左にカーブを取らず、道路に面した軌道を武生方面へと走る。やはりちょっと、まどろっこしいかな。

福井駅前からはバッチリとメイクを施した高校生くらいの女の子が乗車し、私の隣のボックス席に座る。それ以外にも若い女性の姿が多い。また途中の駅では隣のボックスの女の子の友達もやってくる。同じようなヘアスタイルで、お揃いのTシャツを中に着ている。1台のスマホからイヤホンを片方ずつつけ、何やらリズムを獲っている。その中の会話で「サンドーム」という単語も。

Dscn9316これは鯖江ドーム・・・もといサンドームで何かあるのかなと思う。女子高生にいきなりおっさんが声をかけるのもいやらしいので携帯で調べると、この日の夜はサンドームでファンキーモンキーベイビーズのライブがあるようだ。彼女らも「今日は暑いねえ」と言いながらTシャツ1枚になったのだが、背中に描かれていたのはファンモンのロゴ。往路で「裏5大ドームツアーは・・・」などと思っていたのだが、いやいやサンドームはファンモンだけでなく結構いろんなアーティストもライブを開いているようで、小ぶりながらもスタンドが低くて見やすい、演者と観客の一体感がより深く味わえるということで、ライブ会場としては評判が高いようである、裏5大ドームと侮ってはいけないようである。

その女の子たちも含めてサンドームの駅で乗客のほとんどが下車した。同じようにライブに行くのだろう。後は閑散となった。左側にJRの線路が寄り添ってきて、越前武生に到着。

当初の思いでは、ここから敦賀まで普通列車で移動し、敦賀の海鮮料理店「まるさん屋」に行こうかというところであったが、あいにくと普通列車は出発したばかりである。次まで1時間近くあるので、しばらく駅前をぶらつくことにする。観光案内の地図で、駅から近いところに「蔵の辻」という一角があるという。

Dscn9327武生、今は合併で越前市となっているが、もともとの越前の国府というのはこちらにあったそうだ。紫式部にもゆかりがあるとかで、駅前通りにも何となく古風さ?が漂うように感じる。

Dscn9322蔵の辻はかつての蔵をリニューアルして料理屋やギャラリーとして商売している一角。商店街を見ても昔ながらの建家が残っていたりもする。時期的に雛人形が街角ギャラリー的に飾られているのも好感が持てる。小京都や小江戸として紹介された話は聞いたことがなく、越前の刃物の町として知っている武生だが、初めて歩く中でこういう景色に出会えたのは意外だった。

Dscn9319そんな武生の町だが、所々にこんな文言が。

「武生に来たらボルガライス」

こんなのを、幕末の志士だか、「漢」の香りが伝わる劇画の男性が訴えかけてくる。お前は誰だ、そしてボルガライスって何だ・・・?

ボルガと言えばロシアのボルガ河か。福井とロシアの繋がりがあるというのか。

ここは列車を遅らせて、これをいただくとするか。敦賀のまるさん屋はまた別の機会にするか、あるいはこの後の2軒目で行ってもいいか。 駅前に戻り、郷土料理を名乗る「大江戸」という店に入る。越前に来たのだからとおろしそばを注文し、合わせてボルガライスを注文する。

待つ間に携帯で検索してみると、ボルガライスとはこの30年ほどで武生に広がったB級グルメであるが、名前の由来や、なぜこの様式になったのか、結構謎に包まれているようである。 ただそのファンというか研究家というか、ボルガライスの集まり「日本ボルガラー協会」というところのサイトもある。代表がボルガチョフと名乗っており、これもすごい熱の入れようである。ここで、あの劇画の作者が武生出身の池上遼一氏であるとの解説に触れる。

Dscn9331で、ボルガライス。この店のはスタンダードなものらしく、シンプルなチキンライスの上に卵焼きを被せてオムライス風にして、豚カツを乗せてデミグラスソースをかける。トッピングはオニオンフライ。これだけで栄養満点高カロリー。もう、まるさん屋で福井の地酒で魚をつまもうという考えは吹っ飛んだ。ボルガライス1品で翌朝まで腹が持ちそう。これの相手は地酒より生ビールが似合う。感覚として、長崎のトルコライスを思い出す。飲み食いするうちに頭によぎるのは、ロシア民謡のボルガの舟歌。エーコラ、エーコラ・・・。

Dscn9329ボルガライス、そんな感じでコアなファン層を広げているようだし、武生駅の売店でもコンビニ仕様で売られていた。「洋食」という言葉が似合う一品である。

うーん、地味ながらなかなか味わい深い福井。関西から旅行気分で訪れることができる一方で、まだまだ知らないことが多い。これからも機会を見つけて足を運びたいものである・・・・。

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