レッド・タートル ある島の物語/マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督
嵐があって、無人島に流れ着いてきた男だったが、何とか生き延びることはできたものの、その孤独の中、イカダをこしらえて孤島からの脱出を試みる。ところが少し沖合に出たところで筏に何者かの突き上げがあり、壊されてしまう。その時は何が何だか分らない。再度挑戦しても同じように筏が壊される。またチャレンジすると、ついに筏を壊しているのは、大きな赤いカメであるようだった。
男は非常に腹を立てるが、ある日その赤いカメが浜に上がってきた。すぐさま竹の棒で頭を殴りつけ、ひっくり返して起き上がれなくしてやった。カメは何日も動かなくなり、おそらくそのまま死んでしまう。急に悔やんで水を与えたりすると甲羅がパリンと割れる。そうしてカメは女になってしまった。
セリフはなく、非常に寓話的である。無人島の孤独と絶望はよくわかる。何かを示唆した話かもしれないが、日本人の僕にはよくわからない。その後の展開は意外なものだが、しかしその意味するところは、やはり僕にはわからなかった。気の狂った男の話ということなのだろうか。たぶん違うと思うが…。
映像は美しいし、カニなどの小動物が小道具になって、コミカルな笑いもある。長編とはいえ80分ちょっとだろうか。もう終わりなのか、という尺である。
ジブリ配給ということで、そのような映画だと思うと、多少期待は外すかもしれない。外国人監督だとは知っていたし、フランスだとかベルギーだとかの関係だと聞くと、芸術めいているのだろうとは予測はついた。もっとも彼らの考える芸術という意味ではあるが。意味が分からないまでも、孤独はつらいものだろうな、ということくらいは分かります。しかしながらこの男は、嵐でそのまま死んでしまうよりは、面白い一生だったかもしれない。そう考えるよりほかに僕には救われる気分にはなれないのだった。