カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

大切な時間を有用に使えるようにするには   あっという間に人は死ぬから 「時間を食べつくすモンスター」の正体と倒し方

2024-08-29 | 読書

あっという間に人は死ぬから 「時間を食べつくすモンスター」の正体と倒し方/佐藤舞著(KADOKAWA)

 著者は統計のプロと称して様々な世の中の事象を解説するユーチューブで、40万のフォローを得ている人である。一般的に「サトマイ」といわれている。プレゼンの上手い人という感じもあって、ポイントの解説も裏付けと共に、いわゆるなるほど、と思わせるものがある。改めて書籍の方も読んでみた感じでは、やはり展開のさせ方というか、構成が上手いという印象も受けた。内容は基本的に目標を立てて自分は何を実行するのか、というハウツー本であるが、その目標を立てるべき自分の価値観の考え方だとか、それらを運用するための改変の仕方などを解説している。特徴的なのは、おそらく著者がこれまで教訓的に納得した先人の言葉をふんだんに入れていることで、なかなかに機智に富んだ気分を味わうことができる。それでいて難しいことは書いてないので、理解も促進できるであろう、という考え方なのではなかろうか。書名からも分かるように、こういう言葉の選び方と考え方を実践することで、いわゆる掴みの上手い考え方も学ぶことができると思われる。さらに日頃のユーチューブ政策などの話の組み立てについても、基本的にこのような本の展開のさせ方と共通するところがあるように推察される。いわばそれは成功の法則でもあり、バズっている現実を解説しているともいえるのかもしれない。
 実際内容は多岐にわたっていて、自分本位のクズみたいなビジネス書が氾濫する中にあって、それなりに有用な感じもある。読み返ししやすい構成もあるし、実践の仕方も分かりやすい。読んだ後に再読できるように工夫してある訳だ。
 また人生への向き合い方まで書いてあって、それはある意味哲学的だ。人生には避けられない苦痛があり、自分で変えられることだけに集中し、受け身でなく自分の主体的なかかわりを重視し、時にはストレスなどの苦痛を成長の糧にすべきというのだ。なるほど、その通りかもしれない。そういう哲学を知っただけでも、これを手に取った価値は十分にあったというものである。苦痛は自分には必要なこともある訳だ。マゾ的にではなく、ある意味でその後の快楽のためにも有用なものかもしれない。達成感とか成功とか、というものにとっては。
 確かに何もかもポジティブに生きていくから、何もかも良い方向に行くとは限らない訳だし、ましてやその後成功するとは限らない。むしろそういう事が、逆効果になっている場合だってあるだろう。これまで、ほとんど信仰に近い形で、仕事をすべきだと諭す信用できない人ばかりが持て囃されてもきた。そういう時に、あんがいまともなことを言う人が、統計学を根拠に語るようになったわけだ。そういう新鮮さを含めて、動画とはまた違う形で付き合ってみても、有益さが増すというものである。
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