カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

恨んでいるから真剣に殺せる   モスル~あるSWAT部隊の戦い~

2024-10-07 | 映画

モスル~あるSWAT部隊の戦い~/マシュー・マイケル・カーナハン監督

 舞台はイラクの都市モスル。ISに攻撃をうける警官たちは、精鋭部隊のスワットに助けられる。襲われた警察官の若い男は、以前にISから家族が殺された経験があり、スワットの隊長はこの男をすぐに特殊部隊の仲間に入れる。彼らは独自の任務を担っている元警察官の男たちで、わずかな人数ながらしっかり武装して訓練もされている様子だ。隊長はこの部隊の統率にも優れており、さらなるIS組織への攻撃の手を緩めないで前へ進んでいく。部隊の連中にも少しづつ犠牲者が増える中、彼らは隠された任務に向かって、まちの奥まで突き進んでいくことになるのだったが……。
 戦闘能力はしっかりしているスワット部隊だが、なにか謎めいた行動もとる。闇組織に資金源を得ている様子もある。自ら稼ぎながら、自助努力で戦闘能力を保っているということか。そうしてラストに明らかになるが、彼らはなぜ犠牲者を中心に精鋭部隊を組織していたのかが分かることになる。
 基本的にリアルな戦闘の緊迫した場面が続く。銃弾が飛び交い、多くの犠牲者が出る。もちろんスワット部隊側の視点で物事を見ているので、敵のISの兵士たちは、まるでゲームのゾンビのように、蹴散らされ撃ち殺される。そうして時には仲間にも犠牲者が出る。武器の装備からいっても、それなりに力の差があるということは分かる。しかしながら、それでも撃たれたら死が待っていることに変わりがない。負傷しても、自ら歩けなければ、それは部隊には大きな負担になる。絶え間なく戦闘は続き、若い兵隊には、その目的さえ最後まで明確でないのである。
 イラクの戦闘の日常というものの姿は、リアルにじわじわ伝わってくる。限りない殺伐とした荒涼の都市の中で、少なからぬ住人は、そのがれきの中で生活している。誰の正義ともわからない戦闘の中で、ただ犠牲者が積み上がっていく。しかし撃たなければまえに進めないし、黙っていても相手も撃ってくるのである。まったくキリがない訳だが、それが戦闘の続く都市の姿だということなのかもしれない。何の意味のある映画なのかは、結局のところ最後までよく分からないところはあるのだが、人間として生きていくよりどころと、それでも戦闘と続けていく精神性を描いていると言えるだろう。要するにだからその連鎖は、とどまることは無いのだろうけれど……。

追伸:部隊長が何となく加藤嘉に似ているのが、結構笑えます。まあ、若い人には分からない事ですが……。
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