ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

麻生太郎氏の講演を聴く3

2007-03-21 10:14:09 | 国際関係
(麻生氏の講演の大要の続き)

 アフガニスタン紛争で、日本の自衛隊が、インド洋で外国の艦船にオイルを補給している。イギリス、フランス、オランダ等の船に給油している。それで日本は非常に感謝されている。
 補給中は、ニ船が並行して走る。その時が一番狙われやすい。アラビア海の波は荒い。日本の給油船は艦船に近づいてきて、パッと補給して、パッと離れる。ガソリンスタンドで、給油口にホースを入れるが、それと同じことを、荒れた海の上でする。日本人はパッと入れて、パッと終わらせる。「ゴッド・ハンド」と言われている。それもゲーム感覚でやっているらしい。

 自衛隊員に聞くと、アラビア海の任務は楽だという。日本の海峡は、潮流が早くて変化が早い。そこをいつも通っているから、アラビア海の航海は楽だというのだ。それに海外赴任手当てがついて貯金もたまると言って、とても明るい。

 サマーワで、日本の自衛隊は、脱走兵、無銭飲食、婦女暴行が一つもない。他国では考えられないことだ。イギリス・アメリカは、日本は下士官ばかりを集めたのだろうと思って調べたが、そうではなかった。任務中に20歳の誕生日を迎えた人が、50人以上もいたのだ。20歳なら下士官ではありえない。はたちのアンちゃんが、日本のブランドを上げている。若い自衛官が、日本のイメージを作っているのだ。

 BBCが、世界27カ国のうち、世界に与える影響の大きい国について発表した。おととしは、日本がNo.1。去年も、カナダと並んで日本がNo.1だった。
 外務省の役人は、こういうことの意味を考えない。日本の影響力の大きさを踏まえて、これからやっていきたい。
 発想を転換する必要がある。そこで、私は、外交の三本柱に加えて、「自由と繁栄の弧」ということを考えた。

 日本に入ってくる石油の90%は中東からだ。中東が安定しなければ、日本は危うい。
 日本の石油利用の効率は、中国・韓国・アメリカより、10倍、20倍よい。だから、トヨタのレクサスやプリウスが売れる。アメリカはフェアーな国だ。以前は、日本車の不買運動があったが、今はそういうことがなくなった。日本企業は、現地に進出して工場を作り、雇用を生み出している。日本車は静かで、燃費がいい。いい車を安く売っている。だから売れている。アメリカ人はそれを認めている。アメ車が売れないのは、GMが悪いのだと彼らは言う。そういう意味では、フェアーな国だ。

 建設会社も海外の仕事が多くなっている。不況だから仕事がないと言うのではなく、発想の転換が必要だ。
 ラオスに行くと、メコン川に日本の建設会社の作った橋がかかっている。洪水になっても、日本の橋だけは残る。日本の川は、急流で水かさが急に増す。それで流されない橋を作っている。だから、技術が高い。メコン川のようにゆっくりと水かさが増す川なら、洪水でも流されない橋を、日本は作れる。だから、日本に頼もうということになる。その橋は、切手になっている。今度はお札にもなる。感謝の気持ちを表わすために、それが一番良いと考えたのだ。橋の名前は「日本橋」という。

 最後になるが、そんなことを言っても、日本は高齢化していくからと言う人がいる。高齢者についても考え方を変えたほうがいい。高齢者は元気だ。周りが迷惑するくらい元気な人がたくさんいる。85%は元気だ。要介護は15%のみだ。それに高齢者は、金を持っている。1400兆円の個人資産のうち、700兆円は70歳以上が持っている。老人に金を使わせることを会社は考えろ。高齢者は、金持って、元気で、だけどさびしい。だから老人が喜ぶものを作れ。入れ歯でも食べられる柔らかいステーキをつくったらどうだ。お子様ランチだけでなく、シルバーランチを作れ、と私は前から言っている。
 日本は人口が減っている。だからものが売れないと言う。海外に行けば、人はいくらでもいる。トヨタは、海外に出て行って、そこで車を作って売っている。発想の転換が必要だ。


参考資料
・ラオスの日本橋
http://www.apic.or.jp/plaza/oda/topic/20070118-02.html
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 あっという間の1時間。麻生氏は、生き生きと語り続けた。麻生氏の話には、みなを元気付け、自信を持たせ、硬直した発想を破らせるパンチがある。これはリーダーに必要な美質である。特に若者をやる気にさせるには、絶対に欠かせないものだ。
 インドの地下鉄や、アラビア海の給油、サマーワの規律の話を聴いているうちに、私は涙が出た。私の5~6m先に立って自分の感動を語る麻生氏の姿に、私は、ふと維新のリーダーを想った。草莽の志士たちは、こうやって年少者を鼓舞したのではないか。そんな考えが心をよぎった。21世紀東京のホテルの一室にいながら、幕末のどこぞの藩校にでもいるような気がした。

 講演が終わると、麻生氏は満面に笑顔。ここぞという場面でホームランを打ったか、ナイスシュートで逆転を決めたスポーツマンのような、純真な笑顔だ。

 私の受けた印象は、タフな政治家という以上に、発想力・突破力のあるビジネスマンという感じである。アメリカの政府は、多国籍企業の経営者が、そのまま外交や財務・商務のトップをやる。官僚上がりや世襲の議員では、太刀打ちできない。氏のようなしたたかなタイプが、日本の政界には、もっと必要だろう。
 次は、憲法・教育・家庭に関する意見をじっくり聞いてみたい。また、内政・外交全般にわたる構想を、本にして出してもらいたいと思う。

次回、感想をもう少し書く。

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