ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

麻生太郎氏の講演を聴く2

2007-03-20 11:11:14 | 国際関係
(麻生氏の講演の大要の続き)

 アジアは、昔は貧しい地域だった。しかし、いまは台湾、韓国、シンガポール、香港のミニ・ドラゴンをはじめとして、アジアが繁栄している。ミニ・ドラゴンの4国は、日本との付き合いが深かった。付き合いの深い順に豊かになっている。
 華僑は、日本と付き合ったらもうかるということがわかった。それで、タイやマレーシア等も日本と付き合うようになって、発展してきた。

 なぜアジアは、うまくいったか。アフリカは欧州が、中南米はアメリカが、日本と同じことをした。しかし、アジアだけが繁栄した。それは、日本人は現地の人と一緒に働くからだ。
 私はシエラレオネに2年、ブラジルに1年住んでいたが、イギリス人やフランス人が現地の人と一緒に働くのを見たことがない。『やってみせ、いって聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は動かじ』というのは山本五十六の言葉だが、日本人は、一緒に働いてやってみせる。それが、アジアとアフリカ・中南米の違いになっていると思う。

 「俺たちの国は、おたくと同じで国は小さい。37万平方メートルしかない。そのうえ、おたくみたいに天然資源はない。でもやり方によっては、成功できる。そのやり方を教えますよ。俺たちと一緒に組みませんか」。こういうプロポーザルをすればいい。

 国によってみな違う。その地に合ったものをやっていく必要がある。ヨーロッパのように一律のやり方ではだめだ。ヨーロッパだって、中欧・東欧では違う。

 インドのデリーで地下鉄を見てきた。これは日本のODAで作られたと大きな看板が出ていた。どこかの国のように、ODAをもらっているのを国民に知らせていないようなことはしていない。それだけではない。エスカレーターを降りると、円グラフで4分の3は日本が出したと、緑で塗ってあった。言葉がわからない人のために、緑のところに、日の丸が書いてあった。
 地下鉄工事の副総裁をしていた人に会った。その人が、これは日本の金で作っただけでなく、日本人と作ったのだという。1日目、朝8時集合だというので、行ったら、日本人は全員来ていて、みな作業服を着て並んでいた。インド人がそろったのは、8時17分か18分だった。日本人の監督は、「8時と言ったら、8時から作業開始なのだ。背広で作業ができるか!」と言った。それで、次の日は、7時45分に行ったら、日本人はもうみな来ていた。それで次の日は、7時30分に行ったら、ようやく日本人と一緒に着替えができた。

 彼らが覚えた日本語は、ただひとつ。「ノーキ」。納期だ。日本人は、すべて納期、納期という。6時まで働いて、帰ろうとすると、監督が「あと2時間で終えられる」と言う。それで8時まで働いて終わらせた。こういう具合だから、工事が予定より、2ヵ月半早く終わってしまった。こんなことは、インドではいまだかつてなかったという。
 工事が終わったら、次に日本人が言った言葉は、「オンタイム」。今度は英語だ。全員がストップウオッチを持って、地下鉄に乗り込んできた。そして、電車が時間とおりに運行されるかどうかをチェックする。それで、この地下鉄だけは、インドで時間通りに動いているという。
 インドで工事がこんなに早く終わり、ちゃんと時間通り運行しているのは、この地下鉄のみだという。
 日本人が現場でインド人と一緒に働いて労働の大切さを教えた。現地の人たちは、彼らのような日本人が、最高のアンバサダー(大使)だと言う。
 外務省の役人は、こういうことを知らない。それでは、ものの見方を誤る。

 次回に続く。

参考資料
・インド・デリーの地下鉄
http://doraku.asahi.com/earth/abroad/column/060920.html

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