ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

ウクライナ危機の背景と展望2

2022-03-08 09:15:33 | 国際関係
7.ミンスク合意

●日本経済新聞

ミンスク合意とは 紛争和平の道筋示すも戦闘続く
2022年2月24日 1:00

 2014年に始まったウクライナ東部紛争を巡る和平合意。ロシアとウクライナ、ドイツ、フランスの首脳が15年2月にベラルーシの首都ミンスクでまとめた。ロシアを後ろ盾とする親ロ派武装勢力とウクライナ軍による戦闘の停止など和平に向けた道筋を示した。大規模な戦闘は止まったものの合意後も断続的に戦闘が続いた。

#ミンスク合意のポイント
 ・ウクライナ東部での包括的な停戦
 ・ウクライナからの外国部隊の撤退
 ・東部の親ロシア派支配地域に「特別な地位」を与える恒久法を採択
 ・ウクライナ政府による国境管理の回復

 合意実行に向けた争点となったのが、親ロシア派武装勢力が占領するウクライナ東部の2地域に幅広い自治権を認める「特別な地位」を与えるとの内容だ。ウクライナは事実上のロシアによる実効支配につながると警戒。ウクライナ国内では合意そのものがロシアに有利な内容との不満も出ていた。
 ロシアはウクライナが合意を実行せず、武力解決を試みていると主張し、同国への圧力を強めた。ロシアは「紛争の当事者ではない」との立場をとり、合意にあるウクライナ領からの外国部隊や雇い兵の撤退、ウクライナ政府による国境管理の回復も進んでこなかった。合意の実行はウクライナ情勢の緊張緩和へカギを握るとみられていた。

◆ほそかわ

 ミンスク合意におけるウクライナからの外国部隊の撤退とは、ロシア軍の撤退のこと。だが、ロシア側はロシア軍がウクライナ東部に入っていることを否定してきた。次に東部の親ロシア派支配地域に「特別な地位」を与えるとは、特別な自治権を与えることであり、ウクライナの国内に、ウクライナ政府の統治権が及ばない地域を認め、隣接するロシアの介入を許すことになる。次に、ウクライナ政府による国境管理の回復とは、ウクライナ東部とロシアの間で国境があってないような状態になっているので、ウクライナが自国の国境の管理を回復すること。
 ミンスク合意は、ペトロ・ポロシェンコ前大統領がロシアとの戦闘を停止するために結んだもの。当時、ウクライナ軍は兵士が5万人しかいなかった。ロシアと圧倒的な兵力差があるため、不利な条件でも停戦を求めた。その後、ウクライナは軍備を補強し、現在は兵士が約80万人になっている。
 ポロシェンコは2019年に行われた大統領選挙で、政治経験はないもののコメディ俳優として全国的な知名度があったウォロディミル・ゼレンスキー候補に敗北した。
 ゼレンスキーは、内政では汚職の撲滅を政策に挙げたが、これは失敗している。外交では、ミンスク合意の見直しを打ち出し、この政策は国民の高い支持を得た。ゼレンスキーは、ウクライナ、ロシア、ドイツ、フランスでの話し合いを求めたが、実現しなかった。仲介役のドイツ・フランスは、ロシアとの関係が悪化することを懸念し、話し合いに賛成しなかった。
 そこで、ゼレンスキーは、2021年9月、米国に協力を求めようとした。だが、バイデン大統領には、息子ハンターのウクライナ疑惑があり、選挙戦でトランプ前大統領から厳しく追及されたので、ウクライナには関わろうとしなかった。ゼレンスキーが米欧と接近しようとしているのを見て、プーチンは、ウクライナへの軍事侵攻を計画したと見られる。

8.NATOの東方拡大とプーチンの危機感

●あさがくナビ

 (註 プーチン大統領は2021年)12月には「NATOの東方拡大とロシア領土近くへの兵器の展開をやめるよう求める」と演説。軍事圧力の目的がNATO拡大阻止にあることを鮮明にしました。その後もNATO諸国との首脳会談で、ウクライナのNATO加盟を認めないことを確約するよう繰り返し求めています。でも、ウクライナがどんな体制を選ぶのかは自由であって、他国が制約できることではありませんよね。NATO側は拡大停止を拒否する一方で、欧州でのミサイル配備制限などで協議を持ちかけましたが、ロシアは納得していません。

NATOの東方拡大
 背景にはロシアの強い危機感があります。NATOは、第2次世界大戦後の東西冷戦時代に旧ソ連と東欧諸国に対抗するためにできた軍事同盟です。ソ連が崩壊した時には16カ国だったNATO加盟国は、その後、東欧諸国が次々に加わって今は30カ国に増え、欧州の大半の国が参加しています。2008年のNATO首脳会議の宣言では、旧ソ連のウクライナやジョージアの将来的な加盟もうたいました。ウクライナのゼレンスキー大統領もNATO加盟を目指すと語っています。
 ロシアは長い国境を接するウクライナのNATO加盟を自国への脅威ととらえています。のど元に剣を突きつけられるような形に思えるのでしょう。NATOに「だまされた」(プーチン氏)という怒りもあります。ロシア側は1990年の東西ドイツ統合をめぐる交渉で当時のゴルバチョフ・ソ連書記長に「NATOは東方に拡大しないと約束した」と伝えられたと主張していますが、文書に残っておらず欧米側は否定しています。(略)

◆ほそかわ

 米ソ冷戦の末期から冷戦終結後にかけて、旧ソ連圏から多くの国が独立した。ソ連の解体によって、ソ連がNATOに対抗して作っていたワルシャワ条約機構は消滅した。バルト三国にしても、東欧諸国にしても、独立主権国家として自らの意思で国家のあり方を決定できる。それらの国の多くが自国の存立をかけて、NATOに加盟するのは、国家主権の行使である。ソ連を構成していたウクライナやジョージア等がNATOへの加盟を求めるのも自由である。
 プーチンが自国の防衛のために、旧ソ連諸国を勢力圏に組み込もうとするのは、覇権主義的・帝国主義的な政策である。

9.プーチンのナチス化論は根拠なし

●NEWSWEEK

 藤崎剛人

ウクライナの「ナチ化」を防ぐ、というプーチンの主張はロシア兵にも空虚に響く
2022年02月28日(月)14時09分

 <ウクライナにネオナチ党があるのは事実。東部の親ロ派と戦う右翼のなかにもネオナチがいるが、影響力は限られている。ロシア兵にかつてのナチスドイツとの戦いを想起させ士気をあげようとしたのであれば無理があった>
 緊迫するウクライナ情勢は、2月24日、ロシア軍がウクライナへと侵攻したことで、戦争へと発展した。プーチン大統領は、演説で開戦理由を説明したが、そのほとんどが難癖のようなもので、大義無しの戦争が起こってしまったことについて、世界中で驚きの声が聞かれる。
 「NATO主要国がウクライナのネオナチ勢力を支援している」というのも、怪しい開戦理由の一つだ。プーチン大統領はここ数年、ウクライナ政権を「ネオナチ」と呼び続けている。しかし、それは本当に正しいのだろうか。(略)

ウクライナとナチスとの関係
 (略)現大統領であるゼレンスキーはユダヤ系であり、(略)彼がナチスを正当化する理由など存在しない。

ウクライナのネオナチ勢力
 現在のウクライナにネオナチと呼ぶべき勢力がいることは事実だ。極端な反ロシア政策を主張する極右民族主義政党「全ウクライナ連合『自由』」は、ネオナチ政党と目されており、その勢力はクリミア危機・ウクライナ東部紛争前夜の2012~14年ごろに最高潮に達している。2014年、ヨーロッパ連合との政治・貿易協定の調印を見送った親ロシアのヤヌコーヴィチ大統領を打倒する際は主導的な勢力の一つとなり、続いてできた暫定政権では閣僚を輩出した。この一連の騒動はクリミア危機・ウクライナ東部紛争の直接のきっかけとなっており、プーチン大統領はこのときもウクライナの「ナチス化」を批判していた。
 無論いかなる理由があろうと、ウクライナからクリミアをもぎ取り、内乱を煽って東部の州を独立させることに正当性は存在しえないが、確かに2010年以降のウクライナでの極右勢力の台頭は欧米側からも懸念されており、ヤヌコーヴィチ政権崩壊に際して、アメリカなどが極右政党に接触していたことに批判があったのも事実だ。
 しかし、現在の「全ウクライナ連合『自由』」は当時と比べると退潮傾向が大きい。もちろん政権に参画もしていない。ところがロシアでは、ウクライナの極右勢力が衰退すればするほど、ウクライナ政権のナチス化が強調されているという。つまり、ウクライナ政権へのロシア側の「ナチス化」批判は事実に基づいてはいないということができる。

東部戦線での極右勢力の台頭
 中央政治はともかく、2月24日以前から戦闘が続いているウクライナ東部では、ネオナチ極右勢力が義勇兵として、ウクライナから独立を宣言した勢力と戦っていることが報告されている。この地域ではウクライナだけでなく欧州全体から反ロシア系の右翼が集まっており、ハーケンクロイツが掲げられたこともあったという。2015年には、ウクライナの準軍事組織であるアゾフ連隊がハーケンクロイツを掲げるネオナチであるという報道が、ロシアだけでなくアメリカでも出たことによって、アメリカ議会はアゾフ連隊に対する武器供与の支援を取りやめる決定を下した。
 ただしこの地域で、ロシア側が主張するようなネオナチによるロシア系住民への虐殺や迫害が行われているという証拠はない。また上述のように、ネオナチの懸念がある団体に対しては、欧米諸国はむしろ支援を取りやめているのであって、NATO諸国によってネオナチが支援されているというプーチンの主張には根拠がないといえる。(略)

「ナチスとの戦い」には無理がある
 ロシア(旧ソビエト連邦)は、第二次世界大戦(「大祖国戦争」)でナチスドイツと死闘を繰り広げた。その歴史はロシア人のアイデンティティの一つになっているので、一般論としては、国内のナショナリズムに訴えかけるには「ナチスとの戦い」は有効な物語といえる。従ってプーチンもその物語に固執しているのだろう。
 ただし今回のウクライナを対象に、「ナチスとの戦い」を想起させようとしたことに関していえば、既に述べたように矛盾が大きく、説得力がなく、浸透させるのは難しいようだ。ホロコースト・ミュージアムのような機関も、ロシアによるナチスの恣意的利用を批判している。ロシア軍の士気が低いという報道が正しいのであれば、兵士たちにすらこの物語は伝わってないのではないか。(略)

10.プーチンは人類のためにDSと戦っているのではない

◆ほそかわ

 プーチンはDS(ディープ・ステート、Deep State)と戦っているという見方をする人々がいる。元ウクライナ大使の馬淵睦夫氏やジャーナリストの河添恵子氏らがそうである。私は、この見方に否定的である。
 ソ連の崩壊後、ロシアではオリガルヒという新興財閥が急成長して、ロシアの経済に強い影響力を振うようになった。彼らは主にユダヤ系である。プーチンは2000年に大統領になると、オリガルヒであるベレゾフスキー、グシンスキー、アブラモビッチ、ホドロフスキーなどを強権的に潰していった。また、2004年~2005年にウクライナでオレンジ革命が起こった際には、ユダヤ系の大投資家ジョージ・ソロスや米国政府を牛耳っていたネオコンが民主化の運動を支援した。プーチンは、これに対して巻き返しを図ってきた。
 こうしたことから、プーチンをユダヤ系を中心とする巨大国際金融資本と戦う政治家として偶像視する心理が生じているのだろう。
 仮にプーチンがユダヤ系を中心とする巨大国際金融資本と戦っているとしても、プーチンはロシアのため、自分のために戦っているのであって、自国本位かつ自己本位の行動である。それを英雄視し、人類を世界統一政府の実現から救う指導者のように見るのは、買い被りである。
 英米で発達したアングロ・サクソン=ユダヤ的なグローバリズムと、ロシアのナショナリズムがぶつかっているのである。ロシアのナショナリズムは、国際的な協調によってグローバリズムと戦おうとしているのではない。プーチンが最も強い連携を築いているのは、共産中国である。ロシアと共産中国に共通するのは、専制主義・強権主義である。アングロ・サクソン=ユダヤ的なグローバリズムとロシア=シナ的な専制主義・強権主義が覇権を争っているのである。
 DS(ディープ・ステート)については、拙稿「現代世界の支配構造とアメリカの衰退」の補説「人類自滅の構造を断ち、共存調和の道を進め」に書いた。ここでは簡単に記す。
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion09k.htm
 DS(ディープ・ステート)という言葉は、最近使われるようになった言葉である。2020年の米大統領選挙で、トランプ支持者を中心に広く使われるようになった。
ディープ・ステートの語が大衆化する前は、「影の政府(shadow government)」という言葉が多く使われた。「影の政府」は、米国の政権が共和党であれ民主党であれ、それを背後で動かす勢力を指す。
 ヨーロッパでは、17世紀末から19世紀にかけて各国に中央銀行が作られ、金融を通じて各国の政治を動かす仕組みが出来上がった。米国では1913年に連邦準備制度(FRS: Federal Reserve System)という名の中央銀行制度が設立された。欧州の国際銀行家だけでなく、ロックフェラー家等の米国の財閥も設立に加わった。設立の前年である1912年、セオドア・ルーズベルト大統領は、「表向きの政府の裏に、国民に献身する義務を持たず、いかなる責任も認めない、目に見えない政府(an invisible government)が王位に就いている」とブル・ムース党の綱領に記した。彼の言う「目に見えない政府」は「影の政府」とも呼ばれる。それが連邦準備制度を創設した集団だろう。連邦準備制度の設立以後、米国は金融を通じて「世界的な所有者集団」の意思の影響下に置かれるようになったと考えられる。
 米国の政治を影で操る勢力は、第1次世界大戦、第2次世界大戦を通じて、軍需産業を発展させ、巨大な富を築いた。戦争は、軍需産業にとって、政府の発注に応えて、国家に武器・弾薬を納めるビジネスの大きな機会である。軍需産業の企業家の利益は、そこに投資する銀行家・投資家の利益を生む。第2次大戦中から戦後にかけて巨大に成長した軍産複合体の背後には、カネの力で国家を動かす勢力がある。その勢力は「影の政府」と呼ばれてきたものと同じだろう。
 「影の政府」の類義語としてディープ・ステートの語が米国で使用され始めたのは、2011年に元共和党の議会補佐官で作家のマイク・ロフグレンによると見られる。彼は、ディープ・ステートとは「選挙という公式な政治的過程を通じて表明された有権者の同意に基づかずに、米国を効果的に統治することのできる、政府の一部とトップレベルの金融及び産業の一部企業とのハイブリッドな協力体制を意味する」と書いた。
 そして、2018年9月、トランプ大統領がこの言葉を公衆の前で使用したことをきっかけに、2020年の大統領選挙を通じて彼の支持者を中心に広く使われるようになった。選挙戦において、トランプ陣営は、ディープ・ステートの語で、主に反トランプの民主党寄りの官僚集団を指して批判した。だが、この言葉は「影の政府」の同義語と見なされ、より広い意味を持つようになっている。
 私は、今日、ディープ・ステートは、三つの意味で使われていると考える。
 第1の意味は、米国の連邦準備制度の背後に想定される巨大国際金融資本を中心とする勢力が作っていると推測される組織である。1910年代から「目に見えない政府」とか「影の政府」と呼ばれてきたものである。言わば、「政府の外の政府」である。
 第2の意味は、米国の官僚、軍人、諜報機関員等が選挙で選ばれた大統領や議員が目指す政策とは異なる独自の課題を追求するために作っている組織である。その組織は、省庁間や政党間にまたがって存在すると考えられている。言わば「政府の中の政府」である。
 第3の意味は、米国だけでなく世界の政治や経済を動かす「見えない統治機構」を意味する。この意味では、「世界的な所有者集団」による国際政治や国際経済への関与を、象徴的な表現で表したものと理解される。いわば「政府を超えた政府」である。
 第1の意味は広義、第2の意味は狭義、第3の意味は最広義となる。
 第1の「政府の外の政府」、第2の「政府の中の政府」、第3の「政府を超えた政府」が連携して活動している可能性もある。何らかの集団が世界を統治しようとすれば、これらの連携を図るのは当然だろう。
 繰り返しになるが、仮にプーチンがユダヤ系を中心とする巨大国際金融資本と戦っているとしても、プーチンはロシアのため、自分のために戦っているのであって、自国本位かつ自己本位の行動である。それを英雄視し、人類を世界統一政府の実現から救う指導者のように見るのは、買い被りである。

11.ウクライナの将来

●東洋経済オンライン

ロシアとウクライナが「こじれた」複雑すぎる経緯歴史で紐解く「ウクライナは民族国家なのか」
 的場 昭弘 : 哲学者、経済学者、神奈川大学副学長
2022/02/25 15:00

地理的にも不幸なウクライナ
 ウクライナにとって不幸なのは、地理的問題だ。ウクライナは今のロシアにとってEUとの緩衝地帯である。さらに、ウクライナを流れるドニエプル川そしてドネツ川(ドン川)が、ロシアへつながっていることだ。北の海しか持たないロシアの重要な輸送路は、黒海である。黒海に入った船はロシアに向かってこれらの川を上る。(略)
ましてウクライナの東部の天然ガスが、西欧へ流れていく点で、ウクライナは重要な地点である。(略)
 この地域はバルカンと並んで重要な地域であり、アメリカの軍事戦略とロシアの軍事戦略が真っ向から対立する地域でもある。(略)
 ウクライナは歴史に翻弄されてきた地域である。オスマントルコの時代には黒海沿岸部はオスマントルコの支配を受け、ロシアの南下によってロシアの支配を受け、つねにいずれかの強国の支配を受けざるをえなかった地域である。(略)

●一般社団法人平和政策研究所

ウクライナ危機の世界史的意義 ―ロシア・ウクライナ関係史の視点から―
 黒川 祐次 元駐ウクライナ大使
2020年8月26日2020年9月9日

ウクライナ危機の世界史的意義
 (略)佐藤優氏は「プーチンは非共産的ソ連を再建しようと思っている」と述べた。今のロシアは、共産主義国家ではないが、かつての旧ソ連の領域を取り戻したいというのが、プーチン大統領の野望なのではないか。(略)
 小国ウクライナが生きる知恵は何か。それは、できるだけ早く、EUないしNATOに入ることだ。自分がなりたいのはどちらなのか。ロシア的なやり方がいいのか、西欧的なやり方がいいのか、その選択でもある。現在の若者は、ほとんどが西洋的なやり方を求めている。ロシア的なやり方をした場合、経済も決してうまくいかない。ロシアはエネルギー資源を輸出して国を立て、宇宙開発、軍事では優れているとしても、一般消費財で世界の中で競争力はない。そうなると、石油・天然ガス資源に乏しいウクライナは、西欧的なやり方でやるのがよいということにならざるを得ない。NATOに加盟しておればクリミアを取られてしまうこともなかっただろうし、EUに加盟すれば、さまざまな共同体の恩典を受けることができる。
 ポロシェンコ前大統領も、ゼレンスキー現大統領も、ロシア的やり方では未来はないと言っている。ただし、EUやNATOに加盟するにはさまざまなクリアすべき条件があって、道のりはまだまだだが、方向性としてはそれ以外ないであろう。国民感情としても、その方向にある。しかしロシアは、それを何としてでも阻止したいと思っている。クリミアやドンバス地方は「人質」のようなもので、あらゆることを考えているだろう。(略)

(了)

************* 著書のご案内 ****************

 『人類を導く日本精神~新しい文明への飛躍』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/cc682724c63c58d608c99ea4ddca44e0
 『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/d4dac1aadbac9b22a290a449a4adb3a1

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