ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

ロシアがウクライナに侵攻~暴君プーチンの野望7

2022-03-10 15:36:54 | 国際関係
2022.3.9(続き)

●渡部悦和氏のFBポスト

 [ロシア諜報機関の現役分析官のウクライナ侵略についての分析→これが本物であれば非常に興味深い内容]
 ロシア軍の当初の作戦は明らかに失敗だ。その事実を明らかにしている。
https://www.newshonyaku.com/23278/...
 注目点は以下の通り。
○ 電撃作戦は失敗した。今、課題を達成するのは不可能だ。最初の1-3日で、ゼレンスキーと政府高官を捕らえ、キエフの重要な建物をすべて押収し、降伏命令を読ませていれば – そう、抵抗は最小限に抑えられたはずだ。理論的には。
○ 占領は不可能、ということになれば、我等の撤退後、(ウクライナ)新政府は10分ももたずに倒されるだろう。占拠する?必要な人員がどこにいるというのか。司令部、憲兵、防諜、警備……現地(ウクライナ)の人の抵抗を最低限にしても、50万人以上は必要だ。補給体制は別として。
○ 現在、我々のロジスティックスはすでに手一杯である。もっと大規模な部隊を送ることになるが、何を得ることができるだろうか?ウクライナは国土が広大である。そして今、我々に対する憎悪のレベルが桁外れに高い。このような物資の輸送を道路が吸収できるわけもなく、すべてが止まってしまう。そして、私たちはそれを管理することができない。
○ 司令部でさえ、何人が逃げまどい、何人が死に、何人が捕虜になったかを知らないかも。死者数は間違いなく数千人単位であることは確かだ。1万人かもしれないし、5千人かもしれない、2千人だけかもしれない。しかし、1万人近くには違いない。

●産経新聞

「プーチン大統領はいらだっている」 米情報機関トップが証言
3/9(水) 11:26配信

 【ワシントン=渡辺浩生】バーンズ米中央情報局(CIA)長官は8日、ロシアのウクライナ侵攻をめぐり下院情報特別委員会で証言し、ウクライナの強力な反撃により当初の侵攻計画が進まないことに「プーチン露大統領は憤慨し、いらだっている」と分析した。国防情報局(DIA)のベリエ長官は2月24日の侵攻以来の露軍の死者数は推定で2000人から4000人との見方を示した。 バーンズ氏は、ウクライナのゼレンスキー政権を倒し親露のかいらい政権を樹立させる目標を掲げたプーチン氏は、首都キエフを侵攻開始2日程度で制圧できると見込んでいたと指摘。 「近代化した軍が最低限のコストで素早く決定的に勝利できると自信をもっていたが、どれをとっても間違っていた」と語った。 ただし、バーンズ氏は、プーチン氏が今後、ウクライナの民間人の犠牲をまったく顧みずに攻撃を強化する危険もあると指摘した。 露軍の死者数について、ロシア国防省は2日に498人と発表している。ベリエ氏は自ら示した概算について「信頼度は低い」と語ったものの、ロシア側の発表数を大幅に上回るのは間違いなさそうだ。アフガニスタンの20年間の対テロ戦争で米軍の死者は2400人超とされる。 ヘインズ国家情報長官も証言し、プーチン氏が命じた核兵器運用部隊の戦闘警戒態勢について、ソ連時代にさかのぼっても「極めて異例」と指摘。ただし、核戦力の態勢に現時点で変化はみられないと語った。

註 バーンズは元駐露大使。ロシア通で知られる。

●ロイター
チェルノブイリ原発で停電、放射性物質拡散の恐れ=ウクライナ
3/9(水) 22:11配信

 [リビウ(ウクライナ) 9日 ロイター] - ウクライナ国営原子力発電会社は9日、ロシア軍が占拠しているチェルノブイリ原子力発電所で、送電網が損傷し停電が起きていると明らかにした。これにより使用済み核燃料を冷却できず、放射性物質が大気中に広がる可能性があると指摘した。現地で交戦が行われているため、復旧作業ができないとしている。 国際原子力機関(IAEA)は、停電で安全性に重大な影響が及ぶことはないと表明。ただチェルノブイリ原発のシステムに詳しい専門家は、原発への電力供給停止は危険をはらむとし、早期復旧が重要との見方を示している。 国営原子力発電会社は声明で、使用済み核燃料が温まると「大気中に放射性物質が放出される可能性がある。放射能を含む雲が風でウクライナ国内やベラルーシ、ロシアや欧州に運ばれる可能性がある」と表明。 電力供給が止まると換気設備も稼働せず、発電所の職員が大量の放射能を浴びることになると指摘した。 IAEAは8日、チェルノブイリ原発の放射性廃棄物施設からのデータ送信が途絶えたと明らかにしていた。 ウクライナのクレバ外相は9日、復旧作業ができるよう、ロシアに一時停戦を即時に順守するよう要求した。
 クレバ外相はツイッターで「チェルノブイリ原発の予備電源がもつのは48時間だ。それを過ぎると、使用済み核燃料の冷却システムが止まり、放射能漏れが起こることが予想される」と指摘。「ロシアに対し停戦と電力供給の復旧を緊急に要求するよう国際社会に呼び掛ける」と述べた。 IAEAは、チェルノブイリ原発の停電により安全性に重大な影響が及ぶことはないと表明。声明で「チェルノブイリ原発の使用済み燃料貯蔵プールの熱負荷と冷却水量は電力供給がなくとも効率的な熱除去が十分可能」とした。
 ただ、国営原子力発電会社によると、チェルノブイリ原発には停電時に冷却できない使用済み燃料集合体が約2万体あり、それらが温まると「大気中への放射性物質の放出」につながる可能性があるという。 首都キエフから約100キロ離れた地点にあるチェルノブイリ原発は旧ソ連時代の1986年4月に爆発事故を起こし、大量の放射性物質が飛散した。 同原発のシステムに詳しい専門家は、状況を懸念しているとし、電力の早期復旧が重要になると指摘。「停電で貯蔵施設の水が蒸発し、使用済み燃料棒が露出する可能性がある。そうなれば使用済み燃料棒が溶融し、重大な放射線の放出につながる恐れがある」と警告した。 ロシアのインタファクス通信によると、ロシア国防省はウクライナ軍がチェルノブイリ原発の送電線と変電所を攻撃したと指摘。「危険な挑発行為」と非難した。

●読売新聞

チェルノブイリ原発の電力遮断、データ送信は途絶える…IAEA「安全性への致命的影響ない」
3/9(水) 21:33配信

 【ベルリン=中西賢司】ロイター通信などによると、ウクライナ北部のチェルノブイリ原子力発電所で9日、電力供給が遮断された。国営原子力企業エネルゴアトムは、使用済み核燃料の冷却ができなくなり、放射性物質が漏れる恐れもあるとして警戒を強めている。国際原子力機関(IAEA)は、「安全性への致命的な影響はない」との見解を示した。
 原発は2月下旬、ウクライナに侵攻したロシア軍に占拠された。ロシア軍とウクライナ軍の戦闘が続いているため、復旧作業ができない状況だという。電力供給が止まった原因など詳細は不明だ。
 ウクライナのドミトロ・クレバ外相は9日、原発には予備のディーゼル発電機があり、約48時間作動すると説明した。
 チェルノブイリ原発では1986年、原子炉が爆発し史上最悪の放射能汚染が起きた。事故が起きた4号機は内部に核燃料を残したまま建屋が鋼鉄製カバーなどで覆われている。1~3号機は事故後、運転を停止した。IAEAによると、事故から長い年月が経過しており、燃料プールの冷却水量は電力供給がなくても燃料を冷やすには十分で、非常用のディーゼル発電機もあるとしている。
 IAEAは8日、チェルノブイリ原発の監視システムからのデータ送信が途絶えたと発表した。原発とウクライナ当局とのやり取りは、電子メールだけになっているという。
 原発のスタッフ200人以上は2週間近く原発施設内に閉じ込められたまま、ロシア軍の監視のもとで働き続けている。
 チェルノブイリ原発構内では、使用済み核燃料の冷却が続いている。宮野広・元法政大客員教授(原子炉システム学)は「使用済み核燃料は当然、冷却し続ける必要があるが、チェルノブイリは廃炉してから数十年たっており、発熱量も下がっている。停電し、冷却機能が下がったとしても、すぐに大事故につながるわけではない」と話している。
 チェルノブイリ原発では、1~3号機の使用済み核燃料約2万本が、敷地内の貯蔵施設にある燃料プールなどで冷却保管されている。
 東京工業大の二ノ方寿名誉教授(原子炉工学)は「燃料は数十年たっているので、発熱量が相当少ないとみられる。核燃料の本数にもよるが、仮に電力供給がなくなっても大事故には至らないだろう」と話している。

2022.3.10

●AERA dot.

「プーチンは人格が壊れた指導者」 ロシア政治専門家が語るウクライナ侵攻の「誤算」と核攻撃の可能性
2022/03/10 10:00

 第2次世界大戦以降、欧州での戦争としては最大規模となる、ロシアによるウクライナ侵攻。首都キエフを包囲するロシア軍の攻撃は激化し、市民の犠牲者も増え続けている。それにしても不可解な戦争である。ロシア、ウクライナとも、相手国民に対してほとんど悪感情を抱いていないにも関わらず、大戦火を交える事態となってしまった。ロシア研究の第一人者で政治学者の筑波大学・中村逸郎教授は、「ロシア、ウクライナの国民は何も悪くない。これは『プーチンの戦争』」と指摘し、「人格が壊れた指導者」が核攻撃さえしかねない脅威を訴えた。
 *   *   *
 「今回の戦争は、プーチン大統領がNATO(北大西洋条約機構)の脅威を意図的につくり出し、政治に利用した、いわば『プーチンの戦争』です。祖国ロシアを守るための戦争ではない。だから、彼の行動についていけないと感じているロシア軍の将校クラスからは公然と辞任要求が出ている」
 中村教授はそう話し、同様に不満を抱くロシア国内の一部勢力、FSB(連邦保安庁。旧ソ連KGB)や軍などが、軍事機密をウクライナ側に流している、という情報もあるという。
「圧倒的な兵力を誇るロシア軍の侵攻が思うように進まず、いまも(ウクライナの)ゼレンスキー大統領の身柄を拘束できない背景には、ロシア側の情報がウクライナに伝わっているのではないか、というわけです」

◇8年前から始まったウクライナ侵攻計画
 中村教授によると、今回のロシアの軍事行動は8年にわたり綿密に練られたもので、2014年2月の「ウクライナの危機」に始まる流れの最終段階という。
そこで暗躍してきたといわれるのが、ロシア政府に代わり秘密裏の活動を行ってきたロシアの民間軍事会社「ワグネル」だ。
「ワグネルというのは7千~1万人の兵士が所属する世界最大規模の民間軍事組織。それが初めて実戦投入されたのが14年のウクライナ危機です」
 このときロシアはクリミア半島を一方的に併合。さらにウクライナ東部ではドネツク州とルガンスク州の一部を親ロ派の武装勢力が実効支配するようになった。
 欧州連合(EU)は、ワグネルがウクライナ東部に戦闘員を送り込んで破壊活動や拷問など行っていると指摘し、制裁措置を課してきた。
 そんなワグネルのオーナーとされるのがプーチン大統領の側近、実業家のエフゲニー・プリゴジン氏で、「プーチン氏の料理人」の異名を持つ。
 中村教授によると、ワグネルは14年以降、ウクライナ国内に潜り込み、今回の侵攻の下準備を着々と進めてきた。
「ワグネルの戦闘員は『自分はウクライナ人』と称して、ウクライナ兵のなかに紛れ込み、ロシア軍の侵攻が始まれば、内側からウクライナ軍を切り崩す。そんな役割を担ってきた」

◇ロシア軍が侵攻を開始した2つの要因
 ロシアは昨年秋からウクライナ国境に近いベラルーシに兵力を集結。大規模な軍事演習を行い、ウクライナに圧力をかけてきた。このタイミングには2つの要因があると、中村教授は説明する。
 1つ目は、昨年9月にドイツで16年間首相を務めてきた旧東ドイツ出身のメルケル氏が退任したこと。
「これまでエネルギー資源の多くをロシアに頼るメルケル首相はプーチン大統領に気をつかい、さらに、アメリカなど西側同盟国との間を取り持つ調整役となってきた。そんなメルケル首相が退任したことで、『重しが取れ』、ロシアはウクライナに対する攻勢を一気に強めた」
 2つ目は、ゼレンスキー大統領の支持率低迷だ。
「ゼレンスキー氏は19年にウクライナ大統領に就任しましたが、彼は元コメディアンで、政治手腕がなかった。それで、支持率がどんどん低下してしまった。」
 一時は約70%もあった支持率は、昨年後半には30%台と低迷。さらに成果を出せない政権と財界の関係も悪化した。
「口うるさい財閥を疎ましく感じていたゼレンスキー大統領は昨年11月に『財閥解体法』を制定したんです。それで財閥との対立が決定的となり、人気もさらに下がった。そんなタイミングを狙ってプーチン大統領はウクライナへの攻撃準備を本格化した」
 さらに、プーチン大統領とバイデン米大統領は、ウクライナをめぐる因縁の仲という。
「あの14年、ウクライナにポロシェンコ政権が誕生し、欧米路線をとるのですが、それをサポートしたのがバイデン副大統領(当時)だった。しかも、バイデン氏は息子ハンター氏をウクライナのガス企業ブリスマに送り込んで、テコ入れした。ですから、プーチン大統領は、ウクライナの後ろ盾となったバイデン大統領に対して大変な怒りがある」

◇ウクライナ侵攻は「2人」で決めたか
 プーチン大統領の怒りの背景にはNATOの「東方拡大」がある。1949年、設立時のNATO加盟国は12カ国だったが、現在は30カ国に増加。ゼレンスキー大統領もウクライナのNATO加盟を求めてきた。米国もそれを支持した。
 これに対して「プーチン大統領は非常に敏感に、神経質に対応してきた」と中村教授は指摘し、こう続ける。
 「実は、NATOは自主的に東方拡大したのではなく、東欧諸国やバルト3国はあまりにもロシアが怖いので、仲間に入れてほしかったわけです。NATOはロシアに圧力をかけるためにこれらの国々を引き込んだわけでは決してない。ところが、プーチン大統領に限ったことではありませんが、ロシアの一部の人たち、特に安全保障に関わる人は、実際に外から圧力がかかっていなくても、それを非常に過大にとらえて反応する。プーチン政権はそんなメンタリティーを利用して国内を固めてきた」
 中村教授よると、3年ほど前からプーチン政権内では軍やFSBの影響力が弱まり、代わりに対米強硬派である安全保障会議の発言力が強まってきた。そのトップを務めるのがパトルシェフ国家安全保障会議書記である。
「とにかく彼は、ロシアの安全保障が第一、という思想の人。NATOに対して、どれだけ安全を確立できるかがロシア国家の存立基盤だと考えている。14年のウクライナ危機以来、ずっとロシアは経済制裁を受けていますが、安全保障が揺らぐくらいなら、どんなに経済制裁を受けても構わないと思っている」
 実は、今回のウクライナ侵攻は、軍事作戦のプロが立案したのではなく、プーチン大統領とパトルシェフ書記、この2人だけで強引に推し進めたのではないか、と中村教授は推察する。その結果、冒頭のような「誤算」が生じているのではないか、と。

◇指導者としての人格が壊れている
 そんな侵攻後の誤算への焦りが、3月4日、ウクライナ南東部のザポリージャ原子力発電所への攻撃となって表れたのではないか、と中村教授は見る。
「現場の兵士たちが暴走してやったこととは到底考えられない。ロシア指導部の何らかの関与は絶対にあったはずです。原発を狙うという、正気の沙汰とは思えないような判断に対してブレーキが効かなくなっている。プーチン大統領がこれから何をしだすか、予測できない」
 これまでロシアはNATOの脅威を訴え、ウクライナに非武装化と中立化を求めてきた。しかし、今回の侵攻に衝撃を受けた西側諸国はロシアとの亀裂をこれまでにないほど深め、NATOの中心的存在であるドイツは防衛力を強化する動きを見せるほか、NATOに加盟していないフィンランドでも、加盟を求める声が強まっている。ロシアの狙いが完全に裏目に出たかたちだ。「もう、プーチン大統領はウクライナに侵攻した明白な目的を失ってきて、戦争のための戦争という状態に陥っている。合理的な判断ができなくなっている」と、中村教授の目には映る。
 欧米諸国や日本はロシアへの制裁措置として国際銀行間通信協会「SWIFT」からの排除を決定。これによってロシアは貿易代金を得られなくなるなど、国際的な孤立を深めている。
「この経済制裁を受けて、プーチン大統領の取り巻きの富豪たちは大打撃を受けています。プーチン離れが急速に進んでいる。側近たちの心もどんどん離れていって、いまではおそらく、パトルシェフ書記しか彼を支える人がいないのではないか、というところまできている」
 プーチン氏が大統領そして首相と、ロシア国内で権力を握って22年。長年、冷徹な現実主義者と評されてきた。
 「ところがもう、政策の良し悪し以前に、一国の指導者としての人格が壊れてきたことを感じます。そんなプーチン大統領の暴走を誰が止められるのか? 最悪の場合、戦術核兵器を使用する可能性だって否定できません。現実的に、いまのプーチン大統領の精神状態からすれば、そこにいつ踏み込むか、わからない状況。まさに一瞬一瞬が危機といえます」
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)

 以下、随時掲載。

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