西部劇と懐かしのカントリー&ウェスタン日記

現代とはかけ離れたOld Countryの世界ですがずっと続けていきます。興味のある方は時々のぞいてみて下さい。

ジョージ・ジョーンズ ハンク・ウィリアムスを歌う

2009年06月01日 | ハンク・ウィリアムスを歌う
George Jones (2) 
米国盤 Mercury Records 822 646-1 George Jones salutes Hank Williams (原盤 SR-60257)

(1)Cold Cold Heart (2)Hey Good Lookin' (3)Howlin' At The Moon (4)There's Be No Teardrops Tonight (5)Half As Much (6)Jambalaya (On The Bayou) (7)Why Don't You Love Me (8)Honky Tonkin' (9)I Can't Help It (10)Settin' The Woods On Fire (省かれた曲は「Nobody's Lonesome For Me」 と 「Window Shopping」)


毎月1日のハンク・ウィリアムズ関連の第6弾はジョージ・ジョーンズです。
ジョージ・ジョーンズ(1931年~現在 テキサス州出身)は Mercury Records 時代(1959~1962年)と United Artist Records 時代(1962~1965年)とハンク・ウィリアムスを歌うLPレコードを2枚出していますが、私のこのレコードは2曲少なくてジャケットも変更されたマーキュリーレコード時代の再発売LPです。
ジョージはハンク・ウィリアムスよりも7才ほど後輩ですが2枚も Hank Williams を歌うレコードを出しているところをみると 若い頃いかにハンクに傾倒していたかが判って何だか微笑ましい感じがします。
このアルバムではやや粗っぽいスティール ギター、フィドル(バイオリン)、ホンキートンクピアノを目いっぱいフューチャーして 聴いている方が恥ずかしくなるくらいの典型的純カントリースタイルで通していて もう元気いっぱいに歌い飛ばしている・・・・・・という風です。その頃のジョージのバンドは The Jones Boys というんですが録音もそうなのかは不明?
ある曲があって、自分ではこんな風に進行して欲しいな・・・・・とイメージを描けるような場合がありますが(例えば、ここでスティールギターがは入って、このサビのところではフィドル(バイオリン)、ここではピアノ演奏があると映えるだろうなあ・・・・といったイメージ)、このアルバムではジョージはことごとくその通りにやってくれている印象です。    ハンク自身の曲ではスティールギターのサウンドに特徴があってHank Williams Sound ともいえる雰囲気があるのですが、ここでのジョージはそれとは違って独自の George Jones Style で通しています( 曲のほうはハンク・ウィリアムスの有名曲ばかり)。 
まあとにかく気合と魂が入り走っていて唾きでも飛んできそうな元気よさです(smile)・・・・・・・でも、こんなのを聴いても若い頃のジョージ・ジョーンズて何となく憎めない可愛げがあって(髪型もGIカットの刈り上げだし)、思わず smile してしまいます。

ところで、この再発売レコードの解説をエルビス・コステロ(1954年イギリス生まれのロック、パンクロック歌手)が書いています・・・・・・僕はこの人についてはほとんど知りませんが面白そうなので補足を加えながらその訳を載せておきます。

「ハンク・ウィリアムスの歌を作る力量を実感するにはAl Green(1946年~現在 アーカンソー州出身の黒人シンガーでリズム&ブルース、ゴスペル、ソウルを歌う人らしいですが、私は全く知らなくてどの辺にハンクとの歌の接点があるのかも判りません) や Jerry Lee Lewis(1935年~現在 ロカビリー、カントリー歌手で ハンクの曲は若い頃からたくさん歌っている ) がレコーディングしたものを聴くのがよいでしょう。ハンク・ウィリアムスの heart and soul を残しながらも二人の歌手のそれぞれの個性で完璧なまでにre-fashioned されているものですから。 
このアルバムのタイトルはそれだけで強力な企画そのものといえます、つまり 最高のカントリー歌手(George Jones)が最高のソングライター(Hank Williams)に出会ったものという意味で。 またハンクが作った歌へ-と同じくらい歌手としてのハンクに敬意を払っている-ということにも注目すべきです。 一方、バンドの方はオリジナルの演奏、アレンジに実に忠実に従っているようです・・・・・”Setting The Woods On Fire(森に火をつけて)”に聴かれる wild walking bass などは注目すべきものです。 また、ジョージ・ジョーンズのファンにとってはいつものジョージ節とは違った歌い方に接する珍しい機会です。長く伸ばしながら高音で泣き叫ぶような歌い方と低い音でのドラマチックに震わせるように歌うやり方は はじめはいつもながらのジョーンズ節・・・・に聴こえるかもしれませんが親しみやすいものではあります・・・・それも出し抜けに出てくるのらりくらり型ジョーンズ節ですから。 風変わりで息を呑むほどのblue noteの多用、間の取り方、目がくらむほどの音の氾濫、もう一度いいますがこうしたやり方はジョージ・ジョーンズの財産でもあるといえるでしょう。
彼がオリジナルスタイル(彼なりの純カントリースタイル・・・のことを指しているんだと思います)をいつまでも維持し続けていると 聴いている人達は何か新しいジョーンズ節(スタイル)を待ち望んでイライラすることがありますが、そんな人はちょっと ”Honky Tonkin' ”の最後の verse をプレイするやり方を聴いてごらんなさい・・・・・(途中省略)・・・・・・・・”There's Be No Teardrops Tonight(今夜は涙なんか見せないぞ)”と”I Can't Help It(どうにも出来ない)”では真に説得力のある悲劇性をジョージが表現しています・・・・・ハンク・ウィリアムスのレコーディングの中で表わされていたloneliness(孤独な寂しさ)という救い難い悲しみの境地はジョージだけが理解し、それを表現できるといえるかもしれません。

アップテンポの曲では偉大な rock'n'roll singer としての”Thumper Jones”を聴くことが出来ます(ジョージの ghost と表現してあります。彼はロックンロールを歌う時にそう名乗っていたらしいのですが、僕は過去のレコードなどでそのような表現をしたものを全く見たことが有りません)。  ここでは本来のジョージのサウンドとは違った”Hey Good Lookin'”がそれに当たると私は思っています。

さて、このアルバムは20年以上前のものですが、ハンクのオリジナルに比べても時代遅れというようなものではありません。唯一の欠点は続編がないと言うことです・・・・・私はジョージ・ジョーンズの究極のシングル盤と云われている ”I'll Never Get Out Of This World Alive "( B面は ”Too Many Parties And Too Many Pals”)を切望しています・・・・・まだ時間がありますから期待しましょう。」・・・・・・・とのこと。

エルヴィス・コステロはジョージ・ジョーンズのファンなのか、アル中でどん底状態にあったジョージの再起を願ってウィリー・ネルソン、ウェイロン・ジェニングス、リンダ・ロンシュタット、エミルー・ハリス達が集まって1978(昭和)年に作られたジョージ・ジョーンズの「My Very Special Guests」(Epic Records JE-35544) にも参加して1曲歌っていました。

尚、このアルバム(salutes Hank Williams)がCDになっているのか判りません・・・・・私は見たことがありません。
コメント (4)
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