西部劇と懐かしのカントリー&ウェスタン日記

現代とはかけ離れたOld Countryの世界ですがずっと続けていきます。興味のある方は時々のぞいてみて下さい。

ラリー・スパークス ハンク・ウィリアムスを歌う

2009年08月01日 | ハンク・ウィリアムスを歌う
Larry Sparks (1) 米国盤 County Records-759 Larry Sparks Sings  Hank Williams
(1)No One Will Ever Know (2)Dixie Cannonball (3)Someday You'll Call My Name (4)I'm So Lonesome I Could Cry (5)Battle Of Armegeddon (6)Waltz Of The Wind (7)Singing Waterfall (8)Mind Your Own Business (9)My Heart Would Know (10)I Saw The Light (11)Mansion On The Hill (12)Blue Love


毎月1日のハンク・ウィリアムス関連の第8弾はラリー・スパークス(1947年~現在 オハイオ州出身)です。私のブログで初めて採り上げる Bluegrass Music 畑の人のレコードがくしくも Hank Williams へのトリビュートアルバムになりました。ブルーグラス畑の歌手がハンク・ウィリアムスの唄を歌う・・・・・というのはありそうでなかなか無いと思います。 解説にもあるように Larry Sparks のものが全く初めてのアルバムではないか-と思うのですが?? 今では超ベテランになった Larry Sparks がまだ20代の頃の1977(昭和52)年に出したもので、29才で亡くなったハンクと同じ年齢の時のアルバムになるのは意図してのことなんでしょうか・・・・・。  日本盤があってもおかしくないのにたしか出なかったと思います。
先づ補足しながら 解説を訳して載せておきます

「 カントリーミュージックの世界にはダイナミックで影響力のある人物が大勢いましたが、若くてのっぽでやせ型の悲しそうな表情(sad-looking)をしたアラバマ出身のハンク・ウィリアムス(本名 King Hiram Williams)ほどインパクトのある人はいなかったでしょう。まったく心身ともに病んだ人物で、その人生は30才になる前に終焉を迎えたのでした。 しかし、短い人生の中でハンクの人を魅了する存在感と基礎的ではあるけれど力強い歌の数々、情感いっぱいの歌声は Country Music の世界ではジミー・ロジャース以来もっとも追従されたり影響力のある人物になったのでした。
何年にもわたってハンクの音楽は沢山の歌手に演奏されてきましたが・・・・・・残念なことに まるでさめたおかゆみたいに興ざめなものもあれば、逆に十分にその意を汲み取られて 歌に力強さや情感が伝わってくるものもありました。 もしハンク・ウィリアムスの音楽を最高に理解して歌った歌手達のリストが作られるとするならば このラリー・スパークスの名前はそのトップの位置に挙げられてもいいでしょう。
ラリー・スパークスはまだ20代の若者ですがその複雑で独特の lead guitar work と優れたボーカルが認められて10年になるかならないうちにブルーグラス界では最も尊敬されるミュージシャンの一人になったのでした・・・・・普通ならそんなことはずっとキャリアのある先輩達に送られる賞賛の言葉ですが ラリーはそれに値するものを持っているのです。  ハンク・ウィリアムスの熱心な崇拝者であるラリー・スパークスは ハンクの音楽が意図するものの本質を捉える卓越した能力を持っていたのですが、今回のアルバム製作のオファーがあるまでは その能力をほんの少しばかり発揮する程度にとどめていたのでした( -能ある鷹は爪を隠す-といったところでしょうか ?)。
ブルーグラスの世界で Hank Williams のレパートリーは知られていないという訳ではないのですが、少数のよく演奏される曲を除けば大部分は採りあげられないままです。このアルバムは ブルーグラスバンドとしては初めてのハンク・ウィリアムスへの Tribute Album である-というだけではなくて、ハンクがレコーディングした曲の中でもめったに聴かれない曲の幾つかを選んでいる-という点でユニークなものであります( 一例としてジーン・オートリーの Dixie Cannonball)。

少数のスタンダード曲が含まれていますが よく聴かれる曲なのでここでは詳しく述べません。ハンクの歌で有名な曲群の大部分は彼自身の作曲のものですが、Mel 'Foree とか Odell McLeod (Mac Odell)、Fred Rose(Floyd Jenkins)といった Acuff-Rose 出版社の作曲家たちの作品もかなりの数含まれています。楽器演奏の面でもこのアルバムは通常のブルーグラスのものとは違っていて 厳密な意味での Bluegrass sound ではありませんが、1940年代に盛んだった電気を使わない Traditional Country Style により近いものだといえます。しかし多くの現代的な要素も多分に含まれています。
”I'm So Lonesome I Could Cry” のような胸の張り裂けるような淋しいもの から”Dixie Cannonball” のような暖か味のある歌まで各歌を生き生きと甦らせるようなラリーの心に残る歌声と素晴しいフレージング、非常にパワフルで壷を得たサポートをする The Lonesome Ramblers のバックアップ陣(素晴しいチャビー・ワイズの fiddle とトミー・ボイドの dobro guitar 、リッキー・スキャッグスの jazz-like mandolin )、そしてラリー・スパークスの流れるようなギターの即興演奏。   
このアルバムは Country Music の歴史の中で最も尊敬に値するミュージシャン Hank Williams への最高の Tribute album であるばかりでなく、将来にわたって愛聴され-話題にのぼり-賞賛されるであろう Larry Sparks & The Lonesome Ramblers のレコードであることに疑いの余地がありません。」・・・・・・・・・・・とのこと。

私は買ってから1~2回聴いただけで仕舞い込んでいたレコードでしたが、今回久し振りに聴いてみてとても感動してしまいました。ラリー・スパークスの渋い歌とそれを支える演奏陣・・・・・特にトミー・ボイドという人が弾く Dobro Guitar とチャビー・ワイズの fiddle は素晴しくて、ハンクを歌うアルバムとしてはベストテンに入れてもいいかなと感じました。私の感想ですが、ハンク自作の曲に限っていないので選曲が非常に珍しくて新鮮な感じです。 (1)No One Will Ever Know を1曲目にしているところなんかかなりのハンクへの傾倒ぶりだと思います。(1)の他に (2)Dixie Cannonball (5)Battle Of Armegeddon (7)Singing Waterfall (12)Blue Love など はハンク自身のものもめったに聴かれないし、まして他の歌手が歌う Tribute Album には入っていないと思います・・・・・おかげでハンク自身のものを聴いてみたくなりました。

五弦バンジョーが入っているのは演奏のみの (10)I Saw The Light だけなのでブルーグラスアルバムとは云えませんが それでも大したもので・・・・・現代のカントリー歌手でもここでラリー・スパークスが演っている程の純カントリースタイルのハンク・ウィリアムス集は聴かれないでしょう。
原盤は今はなき Rebel Records ( Bluegrass 専門の独立レコード会社)だったようで、その後 County Records が引き継いでから出されたもののようです・・・・・現在CDとして出ているのでは(REB-1694-CD )??・・・・・ハンク・ウィリアムスが好きな人にはお奨めアルバムです( 感涙 )。

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