風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

世の中に本は必要か

2017-11-24 | 文化
絶対に必要。
情報でも、調べ物でも、なんでもネットで手に入る時代だが
哲学や、理念や、想像力は手に入らない。
あふれんばかりの膨大な情報を簡単に手にして
それを頭の中にしまいこむことで知識を得た気になるが
その本質や、底辺にある事象、
あるいはそこに出てくる人々の思いにまでは至らず
表面的な「知識」で終わる場合がある。
文章を読むことにより、想像力を働かせ、人の思いを慮り
本質まで考えて自分のものにすることができる。
だから「読書」そのものよりも
もしかしたら「読書後」の方が大切なのかもしれない。
読んだ内容をもう一度反芻し、自分の中の栄養分とする行為。

それならば本ではなく電子BOOKでも良いように思うが
デジタルな字面はやはり表面的にしか心に入ってこない気がする。
新聞や週刊誌のような、瞬間的な情報ならいいかもしれないが、
心に刻み、自らの栄養とするためには
紙のページをめくる作業の介在が必要だと思うのだ。
ページをめくって本を読む。
読みながら前に戻って確認する時
読んだ内容がしっかりと心に残っていさえすれば
必要なページにすぐ戻ることができる。
それができて初めて本の内容が、植物に水を与えるように
心に、体に、頭に染み込んでいくと思うのだ。
そして考える。
それらの行為すべてを総じて「読書」という。

本の作りは日本で進化した伝統技術だと思う。
表紙デザインは帯のことまで考えられ、
見返し、扉のデザインに思いを込め、
上製本なら花裂れやスピンの色にまでこだわり
レイアウト上の書体や体裁をつきつめ
余白までもがデザインされている。
ここまで考えられた本は世界で一番の芸術品とすらいえる。
この技術を絶やしてはいけない。
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