風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

バカなことを

2010-11-06 | 世界・平和
60年安保、70年安保の頃、
日本国内は「反アメリカ」「反米軍」の嵐が吹き荒れた。
アメリカ政府高官の来日が延期になるほど苛烈だった。
その時、攻撃対象とされたアメリカ政府はどう反応したか。
何もしていない。
せいぜい苦笑いしながら状況の推移を見守っていただけだ。
その結果いつか嵐は止み、日米関係は特に問題もなく
(実はいろいろあるけれど、人間関係同様何もない方がおかしいだろう)
今日を迎えている。
根本的に、「反アメリカ」「反米軍」のデモに参加した人達も
一部の人たちを除き、直接アメリカと対峙しようとしたわけではないだろう。
みんなアメリカから輸入したジーンズ穿いてデモってたわけだし。

先の尖閣諸島でのゴタゴタの後、
中国国内では反日デモがあちこちで盛んになった。
でも果たして彼らは直接日本と対峙しようと思っていたのだろうか。
単なる普段の生活の不満を「反日」という形でぶつけただけではないのか?
きっと「何かが変わる」「変える」などコレっぽちも思っちゃいない。
言いたいことを言ってるだけだ。
それに対し、かつての日本のように政府が暴力で弾圧すれば
ますますその流れは大きく、凶暴になっていく。
しかもその矛先は日本ではなく政府批判という形になって。
だから当局も、その嵐をどう納めるのか難しい舵取りをしている最中。
日本の立場としては、かつてのアメリカ同様
苦笑いしながらコトの成り行きを眺めていればよかった。
友人同士や夫婦関係でも同じだろう。
相手が怒りをぶつけてきても、こちらが鷹揚に構えていれば喧嘩にならない。

中国政府内では、今回の漁船の船長がただの酔っぱらいであり
明らかに彼が船をぶつけてきた事件であることは承知の上だったようだ。
その上で、自国内の世論をうまく鎮めながら
コトを納めるべく細心の舵取りをしていたと感じている。
反日デモについても、一番神経を尖らせていたのは中国政府だ。
大きな問題に発展しないよう、かといって政府批判につながらないよう、
相当気を使ってコトに当たっていたと思う。

そんな状況の中の映像公開。
こんなことをして何の役に立つというのだ。
まるで火に油を注ぐようなものだ。
中国政府もこんな状況になったらサジを投げるしかない。
そうなったら日本としても打つ手はなくなる。
国益上も、国際関係上も、そして情報管理能力を問われる日本の立場も
すべてにおいてぶちこわしだ。
これで日本は世界の笑い者、誰もまともに相手にしなくなる。
今回の映像公開は日本国自体を貶めるテロとしか思えない。
なんというバカなことをしてくれた。
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