風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

「利休にたずねよ」

2013-12-09 | 映画・芝居・TV
原作は山本兼一さんの直木賞受賞作。
そしてこの本に出会ったことで
ワタシは茶の修行を始めることとなった。
「茶道とは定形を身につける作法」
という、それまでのワタシの固定観念を
「茶は自らの美意識表現方法」と変えてくれた。
(だから茶を始めた今も「茶道」とは言いたくない)
そんな茶の湯に生きた侘び茶の始祖の人生を
大胆に想像し悲恋物語にした新たな利休像。

普通は原作にハマると映画にはがっかりするが、
本作はそんな心配は全く無かった。
何と言っても海老蔵さんの利休が素晴らしい。
そしてセリフは少ないものの目で鬼気迫る演技の
利休の妻宗恩役の中谷美紀さん。
この2人の存在が映画全体をきりりと締める。
そしてこの映画が最後の作品となった団十郎さん。
孤独と戦い虚勢を張る秀吉の大森南朋さん。
寂しく美しい韓国女優のクララさん。
必要最小限の描写を残し、
大胆にエピソードを削り取って
緊張感溢れるストーリーを作っている脚本と演出。
まるで長次郎作の黒楽茶碗のようだ。

個人的には海老蔵さんのお点前に目が釘付け。
ブランクがあったというが
必要にして簡潔、無造作にさらりとこなすお点前は
これぞ利休のお点前と目からウロコがたくさん。
とにかく所作ひとつひとつがかっこいい。
DVDが出たら買って何度でも見よう。
あんなお点前ができるようになるのが、
まずはワタシの当面の目標。

映画「利休にたずねよ」12月7日~ 東映系
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