
山田洋次監督最新作「母と暮らせば」を観た。
当時の匂いまで感じられそうなほどリアルでな画面を作った山田監督。
悲しみに耐えながら静かに、けれども必死で生きる母の吉永小百合。
彼女にそっと寄り添いつつ、やがて自分の新たな道を見つける黒木華。
自らも戦争で傷つきながら他人を気遣う黒木華の婚約者役浅野忠信。
母に少し甘えつつ、現世に心残りを見せる息子の二宮和也。
それぞれの気持ちのこもった製作と演技で
静かな慟哭が感じられる、穏やかながら哀しい作品となった。
人間の心の機微が表現された佳作。
とはいえ、これは個人的な感想だが
山田監督はあまりにも井上ひさしさんを意識しすぎたかな?
とても良い作品だっただけに、終わり方に少しがっかり。
あんなラストシーンまではいらない。
余韻が吹き飛んでしまった。
残念だなぁ。
とはいえ一見の価値はある。
特に若い世代の人たちに観て欲しいと思う。
モノクロだ始まる冒頭シーンの過酷さ、リアルさ。
感情を押し殺しながら肩を寄せ合って生きる母と遺された婚約者。
吉永さんはもちろん素晴らしいのだが、
黒木華さん、いい女優さんだなぁ。