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タウトも絶賛した桂離宮、多少手続きは面倒でも一度は訪れてみたい日本の宝の一つです

2019-04-28 08:00:00 | 日本の町並み
 平安遷都以来天皇の居所として1200年以上の歴史があるのが京都御所で、京都の人にば東京の皇居は仮住まいとまでおっしゃる方もいます。武士社会になって政治の中心は京都から離れた期間も多かったのですが、公家文化の中心は、やはり京都でした。徳川が金に飽かせてキンキラ文化の日光東照宮を建てたほぼ同時期に、これに対抗するように、渋さを前面に打ち出して作られたのが桂離宮です。昔に比べて参観の手続きが、やや楽になりましたが、まだまだ敷居の高いことは事実ですが、それでも一度は参観したい場所の一つです。

 
 桂離宮は、正親町天皇の孫の八条の宮の別荘として江戸時代初期に桂に建てられ、後に離宮の一つになったものです。八条宮は戦国時代から江戸初期を生きた皇族、歌人そして八条宮(桂宮)家の創設者です。東京国立博物館にある茶室の一つ転合庵が建てられるきっかけを作った宮様でもあります。転合庵は、小堀遠州が八条の宮から握りこぶしより少し大きいくらいの小さな茶入れ一つをプレゼントされ、そのお披露目のためにだけ建てられた草案茶室なのです。桂離宮も小堀遠州の作庭との説もありますが、定かではありません。





 
 離宮のある場所は、阪急の桂駅の東、南北に流れる桂川の西岸にあり、駅から歩いても1kmほどです。入口は庭園の北側にあって、周りは穂垣と呼ばれる竹垣で囲まれ、素っ気ない通用門から入門します。入門の後はガイドの方に付いて右回りに一周しますが、あまり落ち着いて写真を撮る雰囲気でれる雰囲気ではなかったように思います。池の北辺を廻って最初の建物が松琴亭で、外部から内部が見渡せます。襖の幾何学模様が現代的な感じがします。ここから眺めると池とその向こうには書院群と月波楼亭が望めます。

 

 賞花亭、園林堂を通り過ぎて笑意軒は、寄棟の田舎家風ですが、内部はとても田舎家なんぞというものではなく、神経の行き届いた繊細な造りになっています。こちらからは、池の向こうに通ってきた園林堂が望めます。

 
 池を回り込むと芝生の向こうに雁行に配された書院群が現れます。残念ながら雨戸が閉められていて、内部の様子はうかがうことができません。やがて、書院の陰から月波楼が現れます。池に向かっていい気な開口部が取られていて、お茶室としては随分と明るいものだったようです。お茶室というより、月見の宴を行う、松本城の月見櫓と同じ役割なのかもしれません、

 皇室関連の施設や文化財は、なぜか国宝にも重文にも名勝にも指定されないんです。たとえ個人の私有財産であっても重文はいくらでもあり、現在の状況は民主主義の日本にはそぐわないように思います。桂離宮などは、国宝というよりは、世界遺産に登録されても不思議ではないとも思います。
 かつては、参観の申し込みは往復はがきでの申し込みだけでしたが、ネットで申し込めるようになり、最近では当日に行列すれば参加できるようになり敷居は少しづつ低くなってきているようですが、まだまだ気軽にとはいきません。ただ最近の倫理観の欠如による文化財の被害状況を見ると、現状くらいの開放度が限度かなとも思いますが。かといってVRで見るのでは現場の空気が伝わらないので、単に見た!にすぎないでしょう。この現場の空気を伝える技術って、いつ頃実現するでしょうか。


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