世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

自治組織の箱本が現在まで息づく大和郡山は、古い町並みが冷凍保存ではなく現役で使われている感じを受けます

2022-09-25 08:00:00 | 日本の町並み
五島列島の福江には江戸時代最後に作られたお城の一つ石田城跡がありましたが、城跡には県立の高等学校が建っていました。城跡はグランドなどに利用されているところが多いようですが、同じように高校の敷地として利用されているのが大和郡山の郡山城です。今回は、郡山城の東に広がる古い町並みを紹介します。
  
 
 
 大和郡山は、奈良市街の南南西10kmほど、近鉄の近鉄郡山とJRの郡山が最寄りの駅になります。郡山城跡は、近鉄郡山駅の西北の線路に接しています。また、古い町並みは、西の近鉄と東のJRに囲まれた1km四方程の場所です。ちなみに、大和郡山の名産の金魚は、近鉄戦の南西に広がる数多くのため池で養殖されています。

 
 
 
 大和郡山は、金魚の池だけでなく、町の中に水路があって水の豊かな街といった感じがします。通常、水路は道の片側にあることが多いのですが、こちらでは中央にあって、中央分離帯の役割も果たしています。島原にも道路の中央に水路のある町並みがありますが、水路が小さく道路も未舗装の歩道です。郡山は舗装された広い道路で水路の深さもかなりあります。この水路があるのは、近鉄郡山駅のやや北100m程のところから東に延びる通りで、紺屋町と呼ばれる一郭です。名前の通り藍染を生業とする店が数多くあった場所です。

 
 
 
 
 紺屋町などは箱本と呼ばれた自治組織で中心となる会所に箱本と染めぬかれた旗を立てていたそうです。郡山城の外堀の内側、現在の近鉄郡山駅の屋や北側から、東へJR郡山駅の西側近くまで、内町十三町と呼ばれる町並みで、郡山の古い町並みが残されている地域です。格子の連なる家、土蔵造りの家、板壁の柔らかさが残る家などに交じってレトロな洋館もありました。

 
 歩き疲れて、血糖値を上げるのに良いところが近鉄郡山駅の北北東300m程のところにある本家菊谷本店です。400年以上も続く和菓子どころで、いろいろな和菓子がそろうだけでなく、格子の連なる建物も味わい深いです。

 大和郡山では金魚すくいの協議会があります。全国から予選を勝ち抜いた強者が一堂に会して、決められた時間内に何匹すくえるかを競うものです。コロナで中止となっていましたが、今年は3年ぶりに開催されて盛り上がったようです。ポイと呼ばれる道具で、通常は1匹づつすくうところを4匹同時という巧者も要るようですが、どのように救うとポイを傷めずに数多く救えるかは、出場者のノウハウのようです。これってAIで学習できないんでしょうか、一度に多く救うのがいいとか、迎え撃つように救いあげるのがいいとか。ただ、相手は生き物、定式通りにはいかないんでしょうね。

大都会のチューリッヒなどと違って落ち着いた時間が流れる首都のベルンは市域のコンパクトさも魅力です(スイス)

2022-09-18 08:00:00 | 世界遺産
 丘の上にある旧市街に日図を引くために巨大な水道橋が新市街をまたいでいるのがスペインのセゴビアでした。セゴビアの旧市街の丘は河岸段丘ではありませんが、河岸段丘の上に市街地が発展した町は、世界遺産に登録されている市街地でも多いような気もします。ポルトガルではドウロ川のポルト歴史地区、カナダではセント・ローレンス川のケベック歴史地区があります。また、スイスではアーレ川のベルン旧市街があります。今回は、このアーレ川がΩ状に蛇行する河岸段丘上に発達したスイスの首都であるベルンを紹介いします。

 
 ベルンはご存じのようにスイスの首都ですが、アメリカの首都がニューヨークと誤解すのと同様に、スイスの首都はジュネーブと思う方も多いかもしれません。ベルンはスイスの中央北寄り、大都市のジュネーブとチューリッヒの中間あたりに位置しています。人口38万人程のチューリッヒや19万人のジュネーブに対して14万人と小ぶりで、町の表情が穏やかなように思います。これだけ小ぶりな都市ですが、市内には路面電車やトロリーバスが走っていてエコな環境です。スイスは4種類の言語が話されますが、ベルンではドイツ語がメジャーなようです。ベルンの地名の由来は、12世紀にこの地を収めた侯爵が、狩猟の時に最初に捕まえたのが熊'Bar)だったからとの説がありますが、異説もあるようです。この故事にちなんで、市内にはクマ牧場が作られています。

 ベルン駅はヨーロッパに多い頭端式のホームが東向きにに突き当たっていますが、旧市街はここから東にアーレ川に出した舌のような形で伸びています。東西1.5km、南北400m程で、川を越えた南側の丘から見る旧市街は、典型的なアーレ川の河岸男優の上に発達した町と感じます。

 
 
 旧市街で一番高い建物が大聖堂で、南側の丘からも聖堂の尖塔が天をついています。旧市街で道に迷っても、この戦闘はどこからも見えるので、目印にはもってこいです。聖堂の入り口には最後の審判のレリーフが掘られています。15世紀に建造が始まったものの、建築家の死亡で工事がストップし、およそ400年後に再開して1893年に完成しています。中断の理由は違いますが、同じゴシックのケルン大聖堂と似たところがあるようです。

 
 
 大聖堂の塔ほど高くはありませんが、ベルンのシンボル的な塔が時計塔です。壁面に大きな文字盤があって、からくり時計になっているようですが、からくりの様子は見損ねました。この塔は、市の周りを囲む城壁の門の一つだったそうですが、市域が西に広がり城壁が消えて塔だけが残ったようです。この塔と似た塔が時計塔の西にある牢獄塔で、時計塔に代わって町の防御のために建てられましたが、市域がさらに西に延びて役割を終えた後は牢獄に使われたようです。内部が公開されていて、時計のメカも見ることができ、窓の外には塔の下を通り抜けるトラムの姿も見られます。

 
 
 この牢獄塔から川に向かって南に行くと連邦院があります。スイスの国会議事堂ですが、中央には白い建物の上にドームが乗ったなかなか綺麗な建物で、両翼には渡り廊下でつながった東棟と西棟がありますがこの渡り廊下の意匠も威圧感もなく美しい建物です。

 スイスと聞くと時計産業を思い浮かべ、時計産業で発展したジュラ地方の町は世界遺産にもなっています。スイスの時計は、精密な機械式の時計で、実用面よりも美術品や希少価値を前面に打ち出しているように思います。精度の面では、機械時計はクォーツには到底及びませんし、コストの面でもかなりの精度のものが100円ショップでも手に入るクォーツとでは勝負になりません。ただ、腕時計型のクォーツを1969年に世界で初めて商品化したには外ならぬ我が国の時計メーカーでしたが、その時の価格はファミリータイプの車が買えるほどだったそうです。価格を1万分の1にしてしまった50年ほどの間の電子技術の発達は脅威的だったんですね。

五島列島の福江島には江戸時代最後のお城といわれる石田城など思いのほか見どころが散在しています

2022-09-11 08:00:00 | 日本の町並み
 前回は五島列島の最大の島である福江島に散在する教会群を紹介しました。福江島は教会も素晴らしいのですが、海が青く空も広い自然が残されています。そのような福江島の中心地の福江には、城跡や武家屋敷の遺構など人間臭い町並みも残されています。今回は、このような福江の市街地周辺を紹介します。

 
 
 福江島の市街地は、長崎へのフェリーが発着する福江港の西に1km四方程に広がっています。市街地の中心的な存在が福江城(石田城)跡で、五島氏の居城として明治維新の5年前に築城されたお城です。幕末の会場防衛を担う城として、築城当時は四方を海に囲まれた海城だったのだそうです。現在は内堀や石垣の一部が残り、二の丸跡には城主の隠居所として作られた石田氏庭園が往時の様子を残しています。また、本丸跡には県立五島高校があり、裏蹴出門に高校の看板がかかっています。

 
 
 この石田城を築く時に北東からの波よけに作られた防波堤が、福江港の北、福江川の河口に作られた常灯鼻で、福江川と平行に突き出した堰堤の先には石造りの灯台も建っています。170年以上たった今も、漁船の船溜まりを風や波から守っているようです。

 
 
 
 石田城の西300m程のところに武家屋敷通りがあって、五島藩の中級武士の屋敷跡が残っています。同じ九州の知覧の武家屋敷通りと似た景色ですが、知覧では道路より屋敷の方が高く、圧迫感がありますが、そのような感じは受かません。屋敷を囲む石垣は鬼岳などの溶岩を利用して作られ、通常の石垣の上に「こぼれ石」と呼ばれる小さな医師が詰まれ居ます。敵が侵入したときに、小石の崩れる音で侵入を知ることができるというもので、さらに、こぼれ石が崩れるのを防ぐために端には脇石と呼ばれる円盤状の石が置かれています。

 
 五島列島は、江戸から随分と西に離れた僻地と思われるのですが、伊能忠敬の測量チームが来島して測量をしたようです。この測量は、随分と過酷な仕事だったようで、当地の測量隊長であった坂部貞兵衛は過労のために43才いう若さで病死してしまい、宗念寺の墓所にほうむられています。

 
 江戸から遠いということは、逆にお隣の明国には近いわけで、室町時代末期に福江に来て交易をしたようで、当時の領主は現在の唐人町一帯を居住地として与えたそうです。明の人が航海の安全を祈った廟堂の跡には明人堂が建てられ、彼らが使ったと思われる六角形の井戸が残っています。

 常灯鼻が灯台として機能させたときには、おそらく燈明か蝋燭ではなかったかと思います。現在の灯台とは比較にならないほど貧弱な明かりでしょぷが、周りに光がほとんど無かった頃には、それなりに機能したのではないかと思います。灯台の光源は、白熱電灯からキセノン放電管などを経て、現在では90%近い灯台の光源がLED化されているのだそうです。ただ、効率が高くて長寿命のLEDも大光量を得るには数多くの素子を束ねる必要があり、100%化は困難とのこと。なかなか、灯台の光のように全方位に使える光源って難しいのでしょうか。

環状の城壁のあるネルトリンゲンと凸凹の城壁のローテンブルグ、共に中世の世界が冷凍保存されたような町並みです(ドイツ)

2022-09-04 08:00:00 | 世界の町並み
 ロンドンからさして遠くない所に緑の草原が広がり、かわいらしい家々が建っているのがコッツウォルズでした。イングランド北部の世界遺産にもなっている湖水地方は、この草原の中に湖水が加わった景色が広がり、童話のピーターラビットが出てきそうです。どうもイギリス人は、緑豊かな草原の広がりが好きなように思います。同じ童話のような町並みも、ドイツではやや人間臭い感じもします。有名なところではグリム童話にちなんだメルヘン街道で、ドイツ北部のハーフナウからブレーメン間での町並みです。一方、南部にはドイツの街道を代表するロマンティック街道があり、こちらも直接童話には結びつきませんが、童話に出てくるような街並みが続きます。今回は、ロマンティック街道の町の中からネルトリンゲンとローテンブルグを紹介します。

 ロマンティック街道は、南のノイシュバン・シュタイン上で有名なフュッセンから北はヴュルツブルグまで、およそ400km続く街道です。ロマンティックの語源は恋愛物語のロマンティックではなく中世ロマン主義を感じることから命名されたようですが、恋愛物語の舞台となりそうな町並みが続きます。完工の足としては、ローテンブルグに支線が伸びているくらいで鉄道は不向きです。筆者は、ヨーロッパ・バスと呼ばれたアウグスブルグからヴュルツブルグまでを走るバスで移動しました。一日に1~2本ですが、3か所ほどの町で観光の時間を取ってくれます。

 
 
 
 
 ネルトリンゲンは、アウグスブルグの北50km程の所にある、800mほどの楕円形の城壁に囲まれた人口2万人ほど、日本の町では静岡県の下田程度の町です。ネルトリンゲンは、今から1,500万年前に落下した隕石による直径5kmもあるクレータの中にあって、ネルトリンゲンの町はその中心点から南西に6kmの地点になります。ネルトリンゲンの素敵な町並みは、この時に宇宙人がもたらしたもの・・ではありません、人間の歴史と比べて2桁ほども違います。鉄道駅は、城壁の外の東側にありますが、ローカル列車しか止まらず、あまり便利ではなさそうです。町を取り囲む最初の城壁ができたのは13世紀ですから、せいぜい800年ほどの昔です。こじんまりした町並みはドコモ綺麗で、町なおほぼ中心に聖ゲオルグ教会が建っています。15世紀に後期ゴシック様式で建てられた建物は、高い建物のない町並みのどこからも見えて、町のシンボルと道しるべになっているようです。

 
 

 
 
 
 
 ローテンブルグは、ネルトリンゲンからディンケルスビュールを通り越して北に50km程に位置する南北にやや長い1km四方ほどの町です。丘の上にあって、周りは緑一面の畑が続き、緑の海に浮かぶ小島のような人口は1.1万人ほど、日本の町でいうと高知県の室戸市程度のこじんまりとした町です。、鉄道駅は町の南東隅にあって、ローカル列車が発着しているようですが、ネルトリンゲンと同様に鉄道で町に入るのは一般的ではないようです。ネルトリンゲンと同様に城壁に囲まれていますが、ほぼ環状のネルトリンゲンと比べて凸凹が多く、要所に門が作られたいます。また、水路があって景色に変化を付けていて、ちょっと田舎っぽい感じも受けます。ドイツでよく見かける、商売の内容が一目でわかる看板も随分と見かけました。

 恐竜が絶滅したのは6,550万年前の巨大隕石の衝突が原因という説が有力です。ネルトリンゲンに隕石が落ちる、もっともっと前ということになります。隕石の衝突は現代科学をもってしても回避するのは難しいようですが、人工衛星の残骸やロケットの在外が落下して害を与える可能性が高くなっているそうです。打ち上げっぱなしで、跡はほったらかしの国の残骸が多いようで、この国は被害が出ても補償はおろか謝罪すらしないようです。人工衛星がコントロールを失うのは、制御系の故障ではなく燃料切れによるようですが、この人工衛星に搭載する制御系の電子回路は、地上で使っている部品とは比べ物にならない頑丈さが要求されるようです。温度や宇宙線という障害に打ち勝つ必要からですが、某国の衛星はこの信頼性でも怪しそうです。