山頭火が終焉を迎えた庵が残され、子規の故郷でもあって俳句につながりの多い町が松山でしたが、その子規の終焉の地は東京の根岸になります。子規が住んでいた家は子規庵として保存されていましたが、戦災で焼失し、戦後になり復元されています。今回は、子規庵周辺の根岸を紹介します。
根岸は東京都台東区のJR日暮里駅と鶯谷駅の東側にあり、戦災を受けなかった古い町並みも残されている一帯です。子規庵は2つの駅のちょうど中間辺りにあって、案内板が無ければ通り過ぎてしまうような普通の民家です。旧前田候の御家人遥の長屋で、松山から出てきた子規が母と妹を呼び寄せて暮らしていた家で、子規の存命中だけでなく没後も俳句、短歌の文人の拠点となっていたようです。子規というと結核をわずらって、病弱のイメージを受けますが、発病前は盛んに野球をやっていたようです。根岸から南東に丘を登り上野も森あたりでゲームをやったようで、ポジションは捕手を務めていたのだそうです。

上野公園には、アマチュア向けに子規の名前を冠した球場があります。
子規庵の斜め向かいには区立の書道博物館があり、重要文化財を含む書道関連の資料が公開され、世界的にもトップクラスのコレクションだそうです。また、本館の建物は東京都の指定史跡で門の意匠も優雅な感じがします。
さらに、子規ゆかりの場所として、子規庵から鶯谷方向に行くと豆腐料理の笹の雪があります。子規が愛したというにがりだけを使った豆腐料理を味わえるお店の前には、子規の句が彫られた石碑も立っています。
子規ゆかりの場所が続きますが、子規庵を日暮里方向に行くと羽二重団子があります。羽二重のようにきめの細かい団子で焼き団子と餡でくるんだ団子が串に刺して売られています。この羽二重団子は子規の「道潅山」や「仰臥漫録」などの散文作品や俳句の中に取り上げています。子規と交友の深かった夏目漱石は甘党で知られ、「ぼっちゃん」にも笹飴が登場しますが、子規も甘党だったのでしょうか。店の前には王子街道の席もあり、街道を行く人々は、ここで一休みをし団子を食べて血糖値を上げて再び街道に出て行ったのかもしれません。
根岸というと、落語ファンなら初代の林家三平を思い起こされるかもしれません。子規堂のすぐ近くに「ねぎし三平堂」という博物館があります。この建物は、生前に三平が家族や弟子たちと暮らしていた家を改造したそうで、三平ゆかりの品々が展示されています。また、月に一回は落語の口演も行われているようです。「どーも、すいません」という決まり文句にならって、土曜、水曜それに来訪者の便宜を図って日曜日に開堂されています。
山手線のすぐそばの根岸は、今では失われてしまった、何処にでもあった町並みが残っています。戦災に遭わなかったためなのか、住む人たちが頑固に町並みを守っているせいなのか、入り組んだ路地に低層の住宅が密集して、一面のツタが張り付いた廃屋風の家などもありました。土曜か日曜の午後に一駅だけの散歩をされてはいかがでしょうか。日暮里から鶯谷に向かって、最後を笹の雪の豆腐料理とするか、逆コースで羽二重団子とするかは、好みと予算とでお決めください。
文字数が少ないアルファベット世界では、早くからタイプライターが普及して、手書き文字や文字そのものへのこだわりは少ないように思います。一方、中国を起源とした漢字文化の国においては、文字そのものへの愛着が大きく、書道はそれが芸術に発展したものです。中国を旅行すると、有名な石碑のところでは、かならず拓本を撮る人を見かけますし、筆、硯、墨、紙を文房四宝といって、どこのお土産屋にも並んでいます。この手書き文字風のフォントを作ってくれる会社があるそうなのです。指定された文字を手書きで送ると、その特徴を抽出して4,000文字のフォントを作成してくれるのだそうです。3万円ほどと少しコストがかかりますが、手書き文字に自身のある方は、試されてみてはいかが。



上野公園には、アマチュア向けに子規の名前を冠した球場があります。
子規庵の斜め向かいには区立の書道博物館があり、重要文化財を含む書道関連の資料が公開され、世界的にもトップクラスのコレクションだそうです。また、本館の建物は東京都の指定史跡で門の意匠も優雅な感じがします。




文字数が少ないアルファベット世界では、早くからタイプライターが普及して、手書き文字や文字そのものへのこだわりは少ないように思います。一方、中国を起源とした漢字文化の国においては、文字そのものへの愛着が大きく、書道はそれが芸術に発展したものです。中国を旅行すると、有名な石碑のところでは、かならず拓本を撮る人を見かけますし、筆、硯、墨、紙を文房四宝といって、どこのお土産屋にも並んでいます。この手書き文字風のフォントを作ってくれる会社があるそうなのです。指定された文字を手書きで送ると、その特徴を抽出して4,000文字のフォントを作成してくれるのだそうです。3万円ほどと少しコストがかかりますが、手書き文字に自身のある方は、試されてみてはいかが。