一葉の使った井戸が残り、古風な旅館や現役の下宿がある町が東京の本郷でしたが、下宿をしている学生が休みになっても自宅に帰らずその町に留まっていると言われる町が金沢です。香林坊などの繁華街は、何処にでもある県庁所在地の顔をしていますが、ちょっと表通りを入ると、しっとりとした金沢独特の顔を見せる魅力に取り付かれるのでしょうか。今回は、金沢の町並みの中から武家屋敷の残る長町あたりと、茶屋町の一つの主計町(かずえまち)を中心に紹介します。
金沢はいわずと知れた石川県の県庁所在地で、北陸3県の中で最も人口の多い都市になります。加賀藩の城下町として、江戸、大阪、京都に次ぐ第4の人口を擁する都市として栄え、美術工芸などの伝統文化が現在まで引き継がれていることも、金沢の魅力の一つでしょう。武家文化の香りを残す長町は繁華街の香林坊の西に、一方お茶屋遊びの文化の主計町は金沢駅の東に位置します。
長町は、城に物資を運んだ運河の一つの大野庄用水に沿った町並みです。大野庄用水は犀川から取水され、長町などを流れ分流と合流を繰り返して、河口付近で犀川に合流します。現在の用水の浅い流れを見ていると、この川で荷物を運ぶ船が行き来できたのだろうかとも思います。用水沿いには武家屋敷の遺構として美しい日本庭園を持つ野村家住宅や

加賀の伝統工芸を紹介する老舗記念館など

の公開施設の内容はなかなかの見ごたえがあります。これらの施設に増して、石畳と土塀の続く町並み

や微妙に曲がって流れる用水

の作り出す風景は絶妙で、むしろこちらが町の主役かもしれません。
主計町は、駅から金沢の台所の近江町市場に至る道をさらに東に進み、突き当りを左折して浅野川を渡る手前にあります。浅野川を渡ると、もう一つの茶屋町の東山茶屋街に至ります。国道から1本入ると泉鏡花記念館があり、茶屋街はさらにその裏側の浅野川寄りにあります。表道路から下って行く坂には暗がり坂

という名称も付いて、下った先には格子のある家々が建ち並んでいます。ただ、薄暗い狭い路地に密集した木造住宅の建つ光景は、艶やかさを通り越して、ちょっと異様な感じすらします。

この土地の低さのため、最近は浅野川の増水で浸水被害に遭ったようです。
金沢の伝統工芸の一つに金箔工芸があります。純金の展性が高いことを利用して、極限まで薄く延ばした金箔を使ったものですが、この金箔の厚さは0.1ミクロンだそうです。新券のお札の厚さがおよそ0.1mmですから、その1/1000という薄さになります。金箔は簡単には錆びず、いつまでも美しい輝きを保つために、やはり保存性の高い漆と組み合わされて独特の工芸品を生みました。この錆びにくいという特性は、IT分野でも利用価値が高く、接点などの材料に広く使われています。新製品が売り出されるたびに、大量に廃棄される携帯電話の中にも多くの金などの希少金属が含まれているため、一種の鉱山資源だとも言われています。ただ、リサイクルのための工程で、公害を出さないために、エネルギー負担をかけるようで、本当にエコロージーになのかな、とも思います。むしろ、本質的ではないと思われる機能追加のたびに、まだ使える機器をあっさり捨ててしまう文化を捨てるほうがエコロジーではないでしょうか。
金沢はいわずと知れた石川県の県庁所在地で、北陸3県の中で最も人口の多い都市になります。加賀藩の城下町として、江戸、大阪、京都に次ぐ第4の人口を擁する都市として栄え、美術工芸などの伝統文化が現在まで引き継がれていることも、金沢の魅力の一つでしょう。武家文化の香りを残す長町は繁華街の香林坊の西に、一方お茶屋遊びの文化の主計町は金沢駅の東に位置します。
長町は、城に物資を運んだ運河の一つの大野庄用水に沿った町並みです。大野庄用水は犀川から取水され、長町などを流れ分流と合流を繰り返して、河口付近で犀川に合流します。現在の用水の浅い流れを見ていると、この川で荷物を運ぶ船が行き来できたのだろうかとも思います。用水沿いには武家屋敷の遺構として美しい日本庭園を持つ野村家住宅や

加賀の伝統工芸を紹介する老舗記念館など

の公開施設の内容はなかなかの見ごたえがあります。これらの施設に増して、石畳と土塀の続く町並み

や微妙に曲がって流れる用水

の作り出す風景は絶妙で、むしろこちらが町の主役かもしれません。
主計町は、駅から金沢の台所の近江町市場に至る道をさらに東に進み、突き当りを左折して浅野川を渡る手前にあります。浅野川を渡ると、もう一つの茶屋町の東山茶屋街に至ります。国道から1本入ると泉鏡花記念館があり、茶屋街はさらにその裏側の浅野川寄りにあります。表道路から下って行く坂には暗がり坂

という名称も付いて、下った先には格子のある家々が建ち並んでいます。ただ、薄暗い狭い路地に密集した木造住宅の建つ光景は、艶やかさを通り越して、ちょっと異様な感じすらします。

この土地の低さのため、最近は浅野川の増水で浸水被害に遭ったようです。
金沢の伝統工芸の一つに金箔工芸があります。純金の展性が高いことを利用して、極限まで薄く延ばした金箔を使ったものですが、この金箔の厚さは0.1ミクロンだそうです。新券のお札の厚さがおよそ0.1mmですから、その1/1000という薄さになります。金箔は簡単には錆びず、いつまでも美しい輝きを保つために、やはり保存性の高い漆と組み合わされて独特の工芸品を生みました。この錆びにくいという特性は、IT分野でも利用価値が高く、接点などの材料に広く使われています。新製品が売り出されるたびに、大量に廃棄される携帯電話の中にも多くの金などの希少金属が含まれているため、一種の鉱山資源だとも言われています。ただ、リサイクルのための工程で、公害を出さないために、エネルギー負担をかけるようで、本当にエコロージーになのかな、とも思います。むしろ、本質的ではないと思われる機能追加のたびに、まだ使える機器をあっさり捨ててしまう文化を捨てるほうがエコロジーではないでしょうか。