世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

比叡山の麓の坂本と言えば比叡山の里坊や日吉神社など有名な神社仏閣が並びますが穴太衆の積んだ石垣の連なる古民家の町並みも魅力的です

2024-06-30 08:00:00 | 日本の町並み
 猫の島というキャッチフレーズで観光客を誘致しましたが、猫にはあまりお目にかかれず、斜面に張り付いた古民家を支える石垣が見事だったのが高松の沖合に浮かぶ男木島でした。男木島の石垣は斜面を支えるものでしたが、天守閣などの盛土をを支えるには石垣が必須で、この石垣を積む技術に長けた集団が穴太衆でしした。今回は、この穴太衆が積んだ石垣が町中に残る比叡山の麓の坂本の町並みを紹介します。

 坂本の里坊は、京阪電車の坂本駅の西に広がっており、西の端に日吉神社があります。ただ、今回紹介するのは、これらの場所よりずっと駅の近くで京阪線をまたぐ東西両側と、駅から北に延びる横小路と呼ばれるあたりの古民家や神社、それに小さな祠などが点在するエリアです。

 
 
 京阪電車を降りて出口を出ると目に飛び込んでくるのは左手の石垣で、坂本は石垣の町なのかなと思ってしまいます。右手には茶畑があって、これは最澄が中国から持ち帰った茶の種を植えた場所で、日本最古の茶畑なのだそうです。通りに出ると、左手方向にダラダラ坂があって、はるか先には日吉神社があると思われます。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 日吉神社には向かわずに、すぐに左手に曲がって線路に平行に南に行くことにします。右手にすぐ現れるのが手打ちの蕎麦屋さんで、さらに進むと古民家が連なります。古民家の間に福成神社や榊神社の鳥居が現れます。榊原神社を行き過ぎて左手に京阪の踏切を越えても右手にも神社があって、北陸にある石動に縁があるという石動神社があります。榊原神社の手前の福成神社の角を左に降りてやはり京阪の踏切を越えると、明良地蔵尊と明良弁天が並んでいます。東に向けて緩やかな下りになっていて、通りに面して石垣が積まれた家が目立ちます。駅の南側を左回りにぐるりと回ってきて、駅に戻る手前、東側の大通りに面した建物が公人屋敷で、江戸時代に僧侶の身分でありながら苗字台頭を許され地域のまとめ役を務めた公人の屋敷の遺構です。

 
 
 
 
 
 次は、駅を少し西に行って北に入った横小路です。通りの左手の西側は里坊の寺院が連なっていますが、右手には古民家が残っています。この道路が里坊の境界のような形です。石垣のある家や、茅葺の家まで残っています。驚いたのは、京都の町家のシンボルのような「犬矢来(いぬやらい」と「ばったり床机(しょうぎ)」を隣り合う民家で見つけました。この二つは京都でもあまり見かけなくなってしまった町家を象徴するもので、すごく貴重な風景でした。


 ばったり床机は、格子戸などの前に作られて、使わない時には跳ね上げて邪魔にならないようにし、天板の裏に組み込まれた足を出して下ろした時には床机となるものです。商店では、床机の後ろの格子戸を開けて店頭の接客エリアとして使ったそうです。一方、犬矢来は、道路に直接に接する家屋の格子戸を道路からの泥や犬の小便から守るためのガードとして作られたものだそうです。どちらも狭い町中で空間をうまく使ったりガードしたりの工夫の結果生まれたもので、狭い空間を多用途に使いまわす日本文化の産物の一つです。使いまわすといえば、小さなスマホ一つに、あらゆる機能を集約して使いまわすのは、日本文化をまねたのかもしれませんね。たしかに便利にはなりますが、スマホの場合はリスク分散の意味からはあまりいただけないように思います。


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