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世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

姫路駅の西の旧因幡街道の分岐点に虫籠窓や格子の並ぶ町並みが残るのが青山地区です

2014-12-21 08:00:00 | 日本の町並み
 神戸と姫路を結ぶ山陽電車の沿線にあって塩田で財を成した商家の遺構が残る町が姫路市の大塩でした。山陽電車の起点にあたる姫路市は、法隆寺などと共に日本で最初に世界遺産に登録された姫路城のお膝元です。この姫路市内は、城下町だけあって、大塩だけでなく市域のあちこちに古い町並みが残されています。今回は、これらの町並みの中から、西国街道から因幡街道が分岐する場所にある姫路市青山の町並みを紹介します。

 
 
 姫路市青山地区は、姫路城の南を走る西国街道であった国道2号線を西に4kmほど、夢前川を渡った先で因幡街道であった県道724号線が分岐するあたりから西に伸びている町並みです。正式な宿場ではなかったようですが、江戸末期に流行った「おかげ参り」の一団が宿泊地として利用したようで、その役割を担った旅籠が並んでいたそうです。ただ、現在は旅籠の遺構は残されておらず、漆喰壁に虫籠窓それに格子の並ぶ商家が町並みを形作っています。

 
     
 
 町並みは、国道2号線の1本北側に東西方向に伸びています。因幡街道のからの分岐点になる東の端には教専寺があって、入り口には「播磨仙人了空翁生誕地」の石碑があります。さらには、「旧庄屋屋敷」の石碑や、「宗全寺跡」という石碑も建っていて、町並みの中には他にも石碑があって、探せばかなりの数になるのではないでしょうか。この中の宗全寺というのは、室町時代の武将の山名宗全の菩提寺であったとされるお寺です。

 
 通りの北西方向には最近は珍しくなった稲岡神社の鎮守の森が残されています。地名の青山は、この鎮守の森が青々としていたことに因んでいるそうです。また、お菊さんで有名な播州皿屋敷(東京バージョンでは番町皿屋敷)の登場人物で敵役の青山鉄山に因む町とも言われています。ただ、町並みの中には痕跡は見られないようです。お菊さんの痕跡は、姫路城のお菊井戸の他に、姫路駅の西北西にあるお菊神社が有名です。

 播州更屋敷は、お菊さんが過失で大切な皿を壊してしまい手打ちにされてしまう、という単純なストーリーではないようです。姫路藩の乗っ取りを企てた家老の悪巧みを聞いてしまったお菊さんが、皿にかこつけて抹殺され、亡霊になって敵討ちをする結末で、お菊さんは藩主の恩人ということになっています。お菊さんは盗聴をしたわけでは無さそうですが、現代で盗聴は日常茶飯事なのだそうです、それも最も設置が多いのは一般の住居だとか。IT技術の発展で、装置は超小型になって、信頼性も高く故障しないので電源さえあれば、ほぼ半永久的に稼動し続けるので厄介です。盗聴器は無線で情報を飛ばしていますが、同じように無線を使う携帯電話では複雑な暗号を使ってるので、簡単には盗聴できなさそうです。

シャガールのステンドグラスのある大聖堂に混じってローマ時代の凱旋門も残るランスです(フランス)

2014-12-14 08:00:00 | 世界遺産
 ヨーロッパ列強がアジアに進出する拠点として入れ替わり侵略をして、宗主国が変わる植民地になり、文化の混沌さが世界遺産登録の要素となった町がマレーシアの町がマラッカとペナン島でした。そのうちペナン島では宗主国イギリスの国王の名前が町の名前となったジョージタウンがその中心地です。このイギリスは、東南アジアに進出しただけではなく、ヨーロッパ大陸との間で領土争いを繰り返し、その中でも百年戦争はジャンヌダルクの活躍で有名です。これらの争いごとで、イギリス領とフランス領との間を行き来した町の一つがランスです。ランスのノートルダム大聖堂などが世界遺産に登録されていますが、かつてフランス国王の戴冠式が行われた場所です。今回は、世界遺産のノートルダム大聖堂やランスの町を紹介します。

 ランスは、フランスの北東部にありパリからTGVで45分ほど、さらに50kmほど行くとベルギーとの国境です。ちなみに、ルーブル美術館の分館ができたランス(Lens)は、今回紹介のランス(Reims)の北北西100kmほどの町です、紛らわしいですがLとRとが区別できない日本人だからでしょうか。

 
 
 
 ランス駅は世界遺産のある町並みの北東方向で駅から遠いサン・レミ聖堂までは南南東に1.5kmほどです。11世紀に建てられたバシリカ様式という空から見ると十字架の形をした聖堂です。半円形を描く内陣の上部は数多くのステンドグラスで華やかで、外部から見ると数多くの飛び梁で支えられているようです。内陣を取り巻く壁には聖人のレリーフ像が並んでいます。正面の2本の尖塔も目立つ聖堂の一つです。

 
 
 
 ノートルダム大聖堂は、ずっと駅寄りにあって、現在の建物は、火災で焼失した教会の代わりに13世紀に建てられたゴシック様式の聖堂です。名前が同じせいかパリのノートルダムとも似ているような感じがします。9世紀から19世紀までの25人のフランス国王が戴冠式を行ったという歴史を持っています。この聖堂を有名にしている一つに「微笑みの天使像」があります。正面入り口の左側上部に並んだ天使のうち右端の天使なのですが、口の両端が上に向いていて微笑むように見えるのでしょうね。もう一つは、祭壇後方にあるシャガールのステンドグラスで、青を基調としたデザインは、ドイツのマンハイムの教会で見たシャガールのステンドグラスと似た印象です。



 もう一つの世界遺産はト宮殿で、ノートルダム大聖堂の隣に建ち、ノートルダム大聖堂で体感氏のある時には国王の御座所となっていたようです。現在は、大聖堂にかかわりのある品物を展示する博物館になってます。





 
 
 
 
 ランスの歴史は古く、駅の近くにはローマ時代の凱旋門のマルス門の遺構も残されています。この門の近くからノートルダム大聖堂近くを結んでLRTがあり、ボルドーにあるLRTと同様に架線が無いすっきりとした路面電車が走っています。この路面電車が走る旧市街は、ハーフティンバーの家や塔のある市役所の建物など、町歩きが楽しくなる町並みが続いています。

 ランスの属しているシャンパーニュ地方は、シャンパンの産地として有名です。発泡性のワインであってもシャンパーニュ地方以外で作られたもの以外はシャンパンとは名乗れないとのことで、コニャックやアルマニャックと同じ制約のようです。シャンパンの製造では、ベースとなるワインの醗酵の後、発泡の元となる炭酸ガスを得るために二次醗酵を行いますが、これは石灰岩の地下深くの洞窟で独特の手法で作られるそうです。日本酒や他のお酒の製造においても、門外不出のノウハウのかたまりのようですが、これらのノウハウは数値化できないものなのでしょうか。いくつかの技術分野では、熟練工の不足や、後継者の問題で、ノウハウの数値化とコンピュータ管理が進んでいますが、お酒造りの分野では、ありがたみが無くなってしまうので難しいのでしょうか。

塩田の跡地は緑地になっていますが塩で財を成した商家の邸宅は健在の大塩です

2014-12-07 08:00:00 | 日本の町並み
 水軍と製塩業で栄えた島が塩飽諸島の本島でしたが、瀬戸内海は晴天が多いという気象条件から製塩で栄えた町が多く存在したようです。忠臣蔵で有名な赤穂もその一つで、松の廊下の事件も塩にまつわる利権が絡むとの説もあるようです。今回は、その赤穂ではなく、同じ兵庫県で赤穂より東に位置し、地名に塩も付いている大塩を紹介します。

 
 
 大塩は、神戸と姫路とを結ぶ山陽電車の姫路寄り、行政区域は姫路市の一部で、姫路を出た山陽の特急電車だと2つ目の停車駅です。ちなみに、この山陽電車の駅の中には塩屋という駅もあり、こちらは神戸市垂水区の一部で、知る人ぞ知る異人館の残る町です。(2007年8月27日の本コラムで紹介しています)大塩駅の北側は、家が建て込んで塩田があったことは想像も付かないのですが、40年ほど前までは流下式塩田が残っていたそうです。駅の南側に広がる緑地帯がその名残なのかもしれません。一方、駅北側には、塩で財を成した商家の大きな邸宅が残されています。その中で駅の北東に巨大な敷地の中に建つ梶原家住宅が目立った存在です。現役の会社の建物として使われ非公開なので、表通りに面した立派な門ととそれに続く漆喰で上部を塗られた板塀や塀越しにのぞく大きな瓦屋根しか見ることはできません。ただ、駅の東に山陽電車の越線橋があって、そこに上ると内部の様子がちょっとだけ垣間見えます。

 
 
 一方、駅の西北の地域には、白漆喰や黒漆喰の土蔵造りの平入り民家が残されています。こちらは、道路に面して建てられているために、先ほどの建物群より建物そのものはよく見ることができます。この町並みの中には、お祭の屋台を収納していると見られる、背の高い倉庫があり、これは大塩天満宮の祭礼で使われるものではないでしょうか。

 
 毎年の秋期例大祭での一ツ物神事の時で、毛獅子舞と共に全部で6台の屋台が町内を練り歩くようです。また、一ツ物神事とは、氏子代表の稚児が神前において献酒をする儀式で、毛獅子は胴回りが毛に覆われている獅子で、他ではあまり見ない獅子舞のようです。この祭礼がある大潮八幡宮は、菅原道真が大宰府に流される途中に立ち寄ったとの由緒だそうで、大塩駅の南側に隣接しています。

 現在の食塩の大部分は、イオン交換膜によって作られているようですが、自然食ブームも手伝ってか、流下式塩田も復活しているのだそうです。イオン交換膜で作られた純度の高い塩にわざわざ「にがり」などの不純物を混ぜて、天然の塩もどきを謳う商法は規制されたようですが、工業用では超純度の高い物の生産に塩がかかわっているようです。塩化ナトリウムを電気分解すると金属ナトリウムと塩素ガスになりますが、この塩素ガスと聞いて、水道水の殺菌や毒ガスを思い起こされる方は多いでしょう。ところが、この塩素ガスは、ITを支える超高純度のシリコン結晶を作るために使われていることはあまり知られていないでしょうね。