世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

河岸段丘に広がるポルト旧市街は、河畔からの坂道にも町の表情が見える楽しい散歩道があります(ポルトガル)

2018-04-08 08:00:00 | 世界遺産
 ブダペストはドナウ川の両岸に広がった都市で両岸ともに平野が広がっていました。一方、ドウロ川の河岸段丘の上に広がった都市がポルトガル第2の都市のポルトです。ブダペストでは、世界遺産はドナウ川の両岸に広がっていましたが、ポルトでは、大部分が右岸(北側)にあります。今回は、このポルトの町を紹介します。

 
 
 
 ポルトの中央駅は、カンパニャン駅で、リスボンなどに行く列車はこちらから出発します。しかし、旧市街の中心地にあるのはサン・ベント駅で、カンパニャン駅から盲腸線が一駅延び、ローカル列車が発着しています。ローカルな駅なのですが、駅の中のアズレージョ(陶板画)が素晴らしく、列車に乗らなくても、これを見に行くためにだけ立ち寄る値打ちがあります。旧市街は、このサン・ベント駅の西側、ドウロ川の北側に広がっています。この旧市街の南側をドウロ川に沿って河口近くまで走っているのが路面電車で、なんともクラシックな電車が走っています。集電はポール式で、モータは吊り掛式と呼ばれる古い形式のため、電車が走るとうなり声をあげます。座席は籐で作られた転換クロスシートだったように思います。


 
 路面電車の東端の出発駅のそばにあるのがサンフランシスコ教会です。15世紀にゴシック様式で建てられ、外観は素っ気ないのですが、バロック様式の内部は金箔で装飾されていて、それなりに豪華で見ごたえがあります。地下にはカタコンベがあって、ちょっと不気味です。サンフランシスコ教会の隣はボサラ宮で、最近まで証券取引所として使われた建物です。内部には裁判に使われた部屋もあり、英国の議事堂のように向かい合わせの椅子が並んでいました。

 
 

 ボルサ宮から北へ河岸段丘を上って500mほど、ちょうどサン・ベント駅の西あたりにあるのがクレリゴス教会で、18世紀にバロック様式で建てられています。76mの鐘楼があり、市内のどこからも見えます。一方、ボルサ宮から東北東へ、サンベント駅との中間あたりにはポルト大聖堂があります。市内で最も古い建物で、ロマネスク様式で建てられファサードにはバラ窓があります。要塞として建てられただけに、眺めの良い河岸段丘の端あたりにあり、北側は旧市街の建物群の中にクレリゴス教会の鐘楼が、南側はドウロ川の対岸まで見渡せます。

 
 
 
 これらの建物の間の町並みは、河岸段丘を上り下りする曲がりくねった石畳の道が続き、露店で小動物や鳥が売られていたり、またドウロ川の河岸には、露店のカフェテラスもあります。また、マーケットの広場では、民族ダンスのコンテストらしき催しもありました。観光ポイントを観光バスで回る旅では味わえない町の雰囲気が楽しめます。

 
 
ポルト大聖堂の下からドウロ川を渡って南側に行く橋がドン・ルイス一世橋です。19世紀後半にエッフェルの弟子が設計したアーチ橋で、上下2段の構造になっています。かつては、上下ともに道路橋として使われ、筆者が訪問した折もそうでしたが、2005年に橋を渡るメトロが開通して、上段はメトロと歩行者用となったようです。師匠のエッフェルは、ドン・ルイス橋の上流に架かるマリア・ピア橋を設計し、同じ頃に開通しています。こちらもアーチ橋で、ポルトとリスボンとを結ぶ鉄道の橋として使われてきましたが、1991年にさらに上流にサン・ジョアン橋が完成してその役割を終えています。ドン・ルイスは完成当時の国王の名前、マリア・ピアは王妃の名前に由来しています。

 
  橋を渡った南岸には、数多くのワイナリーがあります。ポートワインの醸造所です。試飲付きのワイナリ内見学ツアーも催されていて、工場内を一周した後は試飲が待っています。工場内はいい香りが漂っていますが、下戸の筆者は、見学だけの参加にしました。

 かつて我が国ではポートワインという目0柄の国産のお酒がありました。しかし、このお酒は、酒精アルコールを薄めて甘味料を加え赤く色を付けただけの代物で、本家のポートワインとは似ても似つかないものでした。ついにはポルトガルからのクレームで名称を変更したことがありました。赤玉ポートワインが登録商標だったかどうかわかりませんが、登録商標というのは、特許と違って新規性は関係なく、先に登録したものが原則的に受理されます。特許庁のサイトで、先行登録の有無は、ちょっと慣れれば簡単に検索が可能です。このシステムは、大変に便利で重宝しますが、悪意のある人が使って、売れそうな名称で未登録のものを探し出して登録してしまう危険をはらんでいるようにも思います。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。