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因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

横濱リーディングコレクション#2宮沢賢治を読む!『オツベルと象』

2007-02-23 | 舞台
*宮沢賢治作 構成・演出 鳴海康平(第七劇場) 公式サイトはこちら 公演は25日まで。
 昨夜より開場時刻が5分遅い。劇場に入ってその理由がわかった。既に俳優が板についているのである。布のかかった寝台のような箱の上に一人が横たわり、それを取り囲むようにして数人が立つ。微動だにせずひたすら立っている。今夜の舞台は『オツベルと象』のほかに賢治の評論や詩集『春と修羅』からも引用があって、一筋縄ではいかない構成になっている。俳優の演技には緊張感が漲っており、舞台にはただならぬ熱気が渦巻いていることは感じられるのだが、それが客席に伝わって観客の呼吸と交じり合い、劇場ぜんたいの空気を熱くしていたとは言いがたい印象がある。演出家の手法、作品の解釈という面が強すぎて、『オツベルと象』という作品そのものが遠のいているのではないか。波長の合う舞台があるのと同時に、合わないものもある。単純に好みの問題とするのは残念だが、たとえば宮沢賢治のことをもっと勉強したら、今夜の舞台を充分に理解し楽しむことが果たしてできるのだろうか。

 うちに戻って『オツベルと象』を読み返す。するとオツベルの姿や「もう、さようなら、サンタマリア」という象の声がいろいろなイメージで広がってくることに気づく。おそらくあまりに強烈な舞台をみたために、それまで自分の中にあったイメージが消え去ってしまい、解放されたのだろう。「リーディング効果」である。

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1 コメント

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私も2作品目を観にいきましたよ。 (C・M・スペンサー@えびす組)
2007-02-27 09:04:53
私も2作品目を観にいきましたよ。
最初は'『オツベルと象』という作品そのもの'が、美しい演出手法の中で浮かびあがってこないな・・・と思いました。が、この'兄が妹を見つめる想い'が作品そのものかもしれない、と感じ、その気持ちを書きました。
もう1作品も観たかったな。
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