梅雨入りが発表され、水が張られた田圃に稲の苗が植えられていきます。代かきが終わって田植えを待つ田圃はまるで小さな池が出現したように見えます。
雨が降らなければ稲は育ちません。昔からこの地方では川に堰をつくり、水路をつくって水を引き、あるいはため池を築造して水を貯めて、農業用水を確保してきました。
しかし、雨が降らない年もあり、旱魃に苦しんできたことも少なくありません。このブログでも紹介してきた、加東市には、雨乞いの踊りで知られる「秋津百石踊」や吉馬の「笠石」が今も伝えられています。
『滝野つたえぐさ』(滝野町老連編、平成5年刊)に、この「笠石」のことが紹介されていました。田圃の中にすくっと立つ岩と、その岩の上に被せる笠の石の写真とともに、実際に被せられた姿を見た覚えがあると記されていました。この歴史ブログでも何度か紹介してきましたが、この岩は田圃の地下の大岩から突き出ているもので、取り除くことはできないと聞いたことがあります。そして、笠は普段は、田圃の畦のところに無造作に於かれています。ちなみに私は被せられたところを見たことがありません。