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29日(日)、「昭和の日」の今日、加東市秋津(常田)の住吉神社で、「昭和の日」奉祝祭・秋津百石踊りの奉納が行われました。
雲一つない青空が広がり、住吉神社の杜の木々も新緑がまぶしく光っていました。大喜多宮司さんから、県議も神事に参列してはと勧められ、厚かましくも氏子村の区長さん等に続いて、初めて正式に参列させていただきました。
本殿祠跡での神事、拝殿での正式参拝、伊勢神宮遙拝、そして湯立て神事と奉祝神事に参列をさせていただきました。
午前11時、隋身門から保存会の会長さんを先頭に踊り手さんらが、かけ声と小太鼓とともに入場。境内の本殿と舞殿の間に設けられた場所で百石踊りが披露されました。
今年は太鼓打ち、踊り手のメンバーが新しく替わり、そのことが保存会の新会長さんから紹介がありました。
踊りは、太鼓の独特のリズム、踊り手の問答形式の掛け合いなど、少しコミカルな動きに見ている方も思わず体が反応してしまいます。約40分ほどで6番の踊りが奉納されました。始めはゆっくりと、最後は早く強いリズムで太鼓が打たれ踊りも激しくなります。その動きは、まさに天に雲を呼び、雨よ降らせと乞うもののようでした。
今は五穀豊穣を願って毎年奉納されるようになりましたが、元々は雨乞い踊りです。今何年か前に地元西戸地区の古老から聞いた話では、昭和32年に地区で寄り合いがあり、その席で当時の年寄りたちが百石踊りの地唄を歌いはじめ、大いに盛り上がったそうです。そこで、当時(東条町)で始まったばかりの有線放送局からテープレコーダーを持って来させて録音し、それを放送で流したところ、反響が大きく、百石踊り復元のきっかけになったということでした。旱魃のときに雨乞いの踊りとして踊られていたために、この踊りを継承していくことは難しく、今では西戸地区だけとなっています。
ここで、百石踊について説明しておきたいと思います。秋津百石踊は、「旱魃の時には住吉神社の神前で踊って雨乞いをせよ」という神功皇后の言葉があったと伝えられている住吉神社の神事です。パンフレットの説明によれば、実際は室町末期から桃山初期の頃に雨乞い踊りとして始まったものだろうとされ、この踊りを一度催すと、百石分の経費を必要とすることから百石踊りと云われているそうです。もとは住吉神社の氏子村が参加していたそうですが、今では西戸(さいど)地区保存会だけが伝えています。
昭和47年に兵庫県の重要無形文化財に指定されました。最近では、平成6年の日照りの年に雨乞い祈願で奉納されています。その後、東条とどろき荘で披露され、さらにその後は、踊りの保存継承の必要性などから、毎年日を決めて披露しようということになり、4月29日に奉納することになったということです。
現在では、東条ダム(鴨川ダム)が築かれ、用水路網を通して、加東市、小野市域のため池、田圃に水が送られています。台地にも水が送られ、土地が拓かれました。しかし、この地域は全国的にも降水量が少なく、昔から川に堰を築き、水路をつくって田に水を引く、あるいは池を築き、水を溜めて田に水を引く、そうした血のにじむような努力が積み重ねられてきた歴史があります。水争いの歴史も伝えられています。そうした地域の環境の中で生きてきた先人の生き方、すなわち文化を伝え、教えてくれているものの一つが百石踊りです。
東条川がすぐ近くを流れています。ダムと用水路、ため池、田園、そうしたものを軸に営まれる地域の祭りや人々の生活をひっくるめて、疏水文化とよんでいますが、まさに伝統の百石踊りは東条川疏水ネットワーク文化館を代表する歴史的な文化遺産です。
人口減少、少子高齢社会が進行する中で、こうした地域の貴重な伝統芸能の維持継承はますます困難になってきます。しかし、そうした状況を乗り越えて大切に守り続けておられる保存会の皆さんに敬意と感謝の気持ちでいっぱいです。ふるさと加東の、そして兵庫の大切な宝ものであるこの秋津百石踊りを、みんなでファンになって応援していきたいと思います。今年もそのことをご挨拶で申し上げました。
境内には、地域の方々や家族の姿がありました。踊り手の近くで手振りを教えるように手を動かしているおばあさん、孫の晴れ姿に嬉しさが満面にあふれていました。また、去年まで太鼓を打っていた方が時には心配そうに、あるいは手で太鼓を打つポーズをしながら息子さんの晴れ姿を見つめる姿もありました。こうして継承がなされていくんだなあと感銘を受けました。