小さい頃、昭和30年代はじめ頃のことだと思います。今の加東市社の田町通りの北側の一角に牛市場がありました。現在は北播磨建設業組合、社三区集会所がある所です。
毎月4のつく日、4日、14日、24日だったと思いますが、牛のせり市が行われていました。朝の4時頃には、牛の鳴き声がよく聞こえてきました。田圃一枚をはさんでわが家がありましたから、その鳴き声、牛のうんこの臭い、そして道にぼたぼた落ちたうんこがあちこちにありました、
この牛市場には、南は紀州(和歌山県)、西播の山崎、但馬など近畿一円から牛が集まってきて、セリが賑やかに行われていると聞かされていました。その後、道池の埋め立て地、今の社郵便局に移転し、市が開かれました。
田町通りは馬喰さんが泊まり、宴会などして賑やかだったと聞いています。地元の大先輩からもそうした昔話をよく聞かされました。
家の近くの牛市場は、その後、映画館になりました。懐かしい昔の話でした。こんなことを思い出したのも、27日(日)に、県立播磨中央公園(加東市下滝野)で、第106回兵庫県畜産共進会が開かれ、世界に誇る兵庫の寶但馬牛のセリを観覧したためです。これまで、淡路や但馬で開催されていた共進会が県央の播中公園で開催されるとあって、本当に懐かしく、嬉しい気持ちで楽しませてもらいました。
去年は県議会の農政環境常任委員として、但馬牛博物館(新温泉町)や畜産農家を訪れ、但馬牛について調査をしていたこともあり、共進会が楽しみでした。
小さい頃、農家だった母の実家は、同じ屋根の下に牛が飼われており、農作業にとって牛はなくてはならない存在でした。お祖父さんが牛のえさを炊いていたことや、庭につないだ牛のお尻にこびりついたうんこをきれいにしたり、牛の散歩する光景も目に焼き付いています。牛はえらいもので、お祖父さんの声一つで動いていましたが,若いいとこが牛を使おうとすると、田圃の真ん中でどうばってびくとも動かなくなった姿も見ました。大きな目でぎょろっと見られると、子供の頃は怖かったものでした。